異国の荒波にもまれ、いろいろ学ぶ
『サン!留学生だろうが、坊ちゃんだろうが容赦しない。キビキビ働け!』
「サン!インターナショナルスチューデント、アンド、プリセスト。アイドントショウメシィ。ワークハード!」
ナイスミドルな筋肉が豊満な船長、ケルプからの激が飛ぶ。
「イエス、キャプテン!」
余も、負けじと強く叫ぶ。
揺れる船の甲板、潮水に塗れながら、必死に足を踏ん張る。
余は、今荒波の真っ只中の船に乗ってる。
乗っているのはマシャーフィン家が所有する大船の一つ。
木だけではない金属と石、魔法も入った船は、多少の大波でも沈まない。
そこにモンスターがいなければ。
『我が船、アンジェは第三漁船団の援護に回る。』
船長が厳しい目線を送る先には、この船より明らかに小さい気でできた船がいっぱい集まって、半球の結界を貼って、巨大なウミヘビ、リヴァイアサンからの水鉄砲に耐えている。
モンスター避けの魔法は他の生物も避けていくから、漁船にはついていない。
だから、モンスターに狙われる。
そのモンスターから、漁船を守る役割を任せられている船の一つがアンジェだ。
『第一魔道班、氷結魔導弾、用意!』
対象は、リヴィアサン。
使うのは、大きな魔導砲と。
『サン!お前が入る第二魔道班は海上の波を消し、船の位置を固定する。教えた通りにやればできる。』
「イエス。キャプテン」
甲板から二十人ほどが飛び降りる。
そうして、降りた人たちが水の上にたち、中心に凪になったかのように水面の波が落ち着く。
余は、マシャーフィン家から渡された長杖を携えて、海へと降りる。
他の人たちと同じように、凪を広げる。
『サン、本当に初めてか。範囲広いし、うまいな。無理してないか。』
先に海に降りた人たちから、心配の声が上がる。
『大丈夫、あとどのくらいで撃つんですか?』
魔導砲は、威力ゆえに反動が大きいらしい。
ここにくる時の船にもあったが、使う機会がなかった。
『もうすぐうつ(ドウィットスーン)』
そう近くの班員が行った直後。
「ヒットザット」
ケルプ船長の大声が響く。
頭が割れそうなほど大きな音が聞こえた。
そして、余はそれと同時に意識が吹っ飛んだ。