ツマをなんとか守った。
「ツマには重要な役割があるんです。ゴミみたいな添え物なんていうな。」って心から思った。
だけど、言葉足らず片言でしかいえなかった。
『ワイフ、インポータント、ノッタデコレーション
(ツマ、重要、飾りじゃない。)」
余は、留学先の令息の腕を握り潰してでも、動きをためいる。今にツマだけが入っている刺身の皿を、令息が留学先の令嬢にぶつけようとしているのを止めている。
令息は派手なキラキラとした鱗が取り損なった下処理ができていない魚のような白いスゥツをきていた。
この国特有の青白い肌をタコのように真っ赤にして、動きを止める余を睨みつけて、何か叫んでいるがわからん。
令嬢は新鮮なマグロの赤みのような真っ赤なドレスをきていた。
彼女は顔を青くして、今にも倒れそうだ。
支えたい。
けど、令息を止めるのが先決だ。
この国にもつきものが存在するのか。
この様子だと侵食がずいぶん進んでいる。
早く取らないと、余も周りも危ない。
ちょっと反則を使おう。
「スリィプ(眠れ)」
囁くような小さな声で言った。
覚えたこの国の言葉の発音があっていたようだ。
途端に令息の体の力は抜けて、それと同時に倒れる。
皿と令息を支える。
そしてゆっくりと、皿とともに床におく。
そして、会場は騒ぎになった。
余は、会場の衛兵に取り囲まれた。
ああ、余の留学終わった。
「センキュウ、ヒーヘルプミー。ドントバインド」
令嬢が何か叫んでいる。
お礼を言われているようだ。
こっちも何か返したいが、言霊の反動で話せない。
喉が痛い。
反動で喉を痛めた。
口を押さえて、むせる。
自分の燕尾服のシャツが血で赤く汚れる。
「守れてよかった。」
周りの騒ぎがより大きくなる。
余は大失態をしてしまった。
他の留学生に咎が飛ばぬようにせねば。
視界が真っ暗になる。
ぐらりと倒れる。
初めからしゃがんでおけばよかった。
この国の床は硬いから痛いだろな。
そう思ってたら、柔らかな感覚に抱きしめられたあと、余は意識が飛んでしまった。
日本語と英語の意味の取り違い。
言っている本人は真剣。
主人公は、食べ物と人を守りたいがために必死でカタコトながらも話しています。
ストーリー上、食べ物を貶す表現があります。
人の嗜好はそれぞれ違いますし、年月で変わります。
作者も小さい頃はピリリとした味の刺身のツマが苦手でしたが、今は美味しく感じています。