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第5話

「浸っているところ悪いんだけどそろそろ出発しようか」

「ええ、どこまでも着いていきますわ!」

 バスケットに食べ切れなかったおかずをパンに挟んで詰めている。

「それは?」

「これはサンドウィッチ。()()()()()()()()()()サンドウィッチ伯爵が開発したレシピだよ」

 何だか不思議な言い方ですわね。

「まぁそういう人が居るんだよ。よし、これ持って」

 サンドウィッチが入ったバスケットを渡される。

 家の外に歩いて行くカルミアさんを追いかける。くるりと手首を回した彼女の手に箒が現れた。何故、箒?そしてこちらを見て少し悩んだ顔をして箒を押し付けて家の中に戻って行った。あら、どうすればいいのかしら?

「お待たせ」

 悩んでいるとすぐに戻ってきた彼女の手にはクッションとリボン、それから縄が握られていた。

「前と後ろどっちがいい?」

「えっと、何の話でしょうか……」

 検討もつかない。片手で箒を再び手に取った彼女は横向きに置いた。空中に。箒が何の支えもなく浮いている。そしてその上にクッションを置いてリボンで固定していっている。もう何も分かりませんわ。

「前に座る?後ろに座る?」

「え……っと、安定する方でお願いいたします……そもそも箒って乗れるんですの?」

 カルミアさんはクッションの位置を調整している。満足したらしくよしと頷いている。

「乗れるよ〜基本的に座る部分があった方が安定するからね。私は箒無くても飛べはするけどやっぱりあったほうが安定はするよ。じゃあお嬢さんはクッションに座っちゃって」

 乗馬する時の様に横向きにクッションの上に腰掛ける。これでよろしいのでしょうか……?

「なるほどねぇ」

 前に彼女が座った。箒の棒に跨るように。あら、もしかして違ったかしら……?

「ドレスじゃ跨がれないもんね。大丈夫」

 振り返った彼女によって二人の腰にロープを巻かれた。

「これでまぁ落ちないでしょ。しっかり掴まっててね。低空飛行で行くけど落としたらごめん」

 バスケットを(わたくし)の腕の中から回収し、箒前方から通し残りのロープで柄の部分に固定している。

「じゃあ行くね」

 急激な加速にひっくり返りそうになる。反射的にカルミアさんにしがみつく。

「あ、ごめんごめんいきなり速かったか」

 速度を落としていただけたようですがそれどころではないですわ……!

「今日のところはこのままで行くからしっかりそのままつかまっててねぇ」

 ああ、足元、足元の地面が遠い……。

 (わたくし)はカルミアさんの背中に顔を埋め、早く着くことを祈るのだった。

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