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ハッピーエンドになんかならない
バットで頭を殴られたような衝撃とはまさにこの事である。
高校の時から付き合い続けておよそ1年半。彼の卒業間近にして苛烈に振られた女は、泣いて縋るがそんなの露知らず
男はたいそう愛したはずである女に対してまるで別人かのように煙たがる。
「俺が合わせられなくなったから。」
「俺よりも良い人がいるよ」
目が充血するほど泣きじゃくっている女はトーク画面を開き、ふつふつと怒りが湧いていた。自分という良い女を振ったのだから、悪者になりたくないだけの男に対して冷静に激情が湧いている。
「悪者にならないなんて無理だよばーか!!!」
真っ暗な部屋の中で賃貸の壁にスマホを叩きつけた女は、元彼の残り香がする布団の中で静かに泣いた。