サンタのおしごと
俺はサンタクロースだ。
もふもふのファーのついた赤い三角帽子と、同じ色の衣装。
口元にたっぷり白くたくわえたつけひげ。
『クリスマス大売り出し』のプラカードをかかげ、商店街をねり歩くのがイブの今夜九時までのお仕事だ。
本業の収入ほぼゼロなので、クリスマスも盆も正月も関係なくアルバイトだ。
サンタの太鼓腹のなかみは、ぎゅうぎゅう詰めのクッション。夢でお腹はふくらまないのだ。
「サンタさん!」
すぐそばから幼い声がする。
小さな女の子が、俺を見上げていた。
「メリークリスマス。良い子にしてるかな」
しゃがみこんで曇りなき瞳と目線を合わせ、マニュアル通りの言葉をかける。
「うん! でも今日はね、わたしのおうちに来なくていいから」
「……なぜだい?」
「かわりに、入院してるママのところに、なんでも治るお薬をプレゼントしてほしいの」
去りぎわ、彼女は祖母に手を引かれながら、なんどもふり向いて反対がわの手を振っていた。
その夜。
バイト終わりの俺は衣装のまま、小雪ちらつく路地裏の暗がりに立つ。
しゃん、しゃんと鈴が鳴り、月が照らしだすのはトナカイに引かれた無人のソリ。
荷台の大きな袋の口から、微かに虹の光が漏れている。
──さあ、ここからは「本業」のお時間。
手始めに、あの子の母親の病室までひとっ飛びだ!
メリークリスマス\(^o^)/