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第2話

全身筋肉痛から一日で解放されました。若いってすごい。

軽くストレッチをして自室を出る。



第2話



空木家は喫茶店を経営している。

父がマスターを務めており杏也は後を継ぐかは検討中、というのがゲームの設定。

喫茶店は『Snow White』という名前で、母の名前が由来となっている。

マスターの淹れるコーヒーと手作りケーキが自慢のお店。


ちなみに母は考古学者で家を空けることが多い。今はどの国にいるかは不明。

お父さんが教えてくれたのは、

「ママは寒い国で頑張ってお仕事しているんだよ」

という内容であったため、国名までは分からなかった。寒い国、どこだろう?


ゲームでは文章で説明があったぐらいしか登場しなかった空木家の両親。

二人とも美形です。

お兄ちゃんも含めて美形家族。家族そろって顔面偏差値が高すぎる。

眩しくて直視できない……! ってなりそう。


朝食の準備を手伝おうとキッチンに入ると、すでに準備が整っていた。

「おはようございます」

「おはよう、杏花音。体調は大丈夫かい?」

お店用のエプロンを身に付けたお父さんが優しい声音で尋ねる。

「うん、大丈夫。心配かけてごめんなさい」

頭を下と、お父さんの手が頭に置かれ優しくなでられた。ごつごつした手、安心するなぁ。これが父親パワーか。


因みに、お兄ちゃんはまだ寝ている。朝が弱いのだ。萌えポイントか。

これが乙女ゲームではなく美少女ゲームだったら、幼馴染とかが起こしに来てくれるパターンだよ。

……まぁ、実際に起こしに来るのは男だけどね。

たまに、幼馴染で親友の男友達に起こされているのを見かける。

私が腐の者であったら、いろいろ捗っていたところだよ。


「杏花音、バスケットボールに興味があるのかい?」

「きょうみ……?」

どうなんだろう? 体力づくりの一環だし。

前世で好きだった漫画の影響ですって正直に言うのも、ちょっと気が引ける。

「じゃあ、バスケットボールは楽しかったかい?」

悩んでいた私に、お父さんが助け舟を出すように尋ねた。

「うん!」

あれをバスケットボールと呼んでよいのかはさておき、楽しかったのは間違いない。

今度の質問には素直に頷けた。

そんな私を、お父さんは優しげな表情で見ていた。


翌日、バスケットボールがプレゼントされました。

お父さんが作るケーキは甘い。それ以上に娘に甘い。

……ズルくない? そりゃ、お母さんも惚れるよ。ベタ惚れだよ。


更に数日後、ミニバスに入る手続きまでしてくれた。


吾輩は病弱である。体力はまだ無い。

……練習とか、ついていけるのかな。不安この上ないのですが。




ーー何だか不思議な子どもだな。

佐藤は、自身が監督を務めるミニバスに最近入部した少女ーー空木杏花音ーーを見ながら、そんな感想を抱いた。


入部してすぐにエースになっただとか、そういったものではない。

どちらかと言えば、今のところは特に目立った様子は無い。

基礎練習を黙々とこなしている。


そう、嫌な顔一つせずに地味な基礎練習をやり続けている。

どちらかと言えば楽しそうにすら見える。

これが、佐藤には不思議だった。

あのくらいの子どもと言えば、どちらかと言えば基礎よりも派手なプレーなどをやりたがる。

きちんと基礎を積み上げる姿は、ぱっと見は目立たないが、珍しいという意味では目についた。




基礎っていいよね。

練習についていけるか不安で仕方がなかったけれど、きちんと基礎から教えてくれるのは助かる。

そもそも体力をつけるのが目的なので、地味だろうが何だろうが、どんと来いだよ。


バスケなら攻略キャラやライバルキャラに関係するスポーツではなかったので、関わることもないし安心。

目立たず地道に気長に体力づくりしていこう。


あと基礎練習って言っても、

漫画で見たやつだ!

ってテンション上がるんだよね。隠しきれぬオタク心か。

ニヤついてないかちょっと不安。気を付けよう。



そんな風に、バスケの基礎練習に励んでいたある日。

うちのチームが、小さな大会に出場することになりました。

私はベンチメンバーです。

まぁ、そんなもんだよね。いきなりレギュラーに選ばれたりするのは主人公とかの役目だよ。



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