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容姿と瞳

お金は正直インフラしたりするのであまり深く考えてません。必要にかられたら設定します。宿とかやり取り毎回するので面倒……

 受付で教えてもらった宿、夜明けの月に辿り着く。太陽と月が描かれた看板があったのでわかりやすい。


「すみません。ギルドで教えてもらってきたんですけど」

「あっ、はい。お泊りですか?」

「えっと、そうです。……とりあえず一週間程」

「料金は前払いになります。食事は朝と夕はついていますけど、食べても食べなくても料金は変わらないので、できるだけ食べるのがおすすめですよ。今いるホールが食堂になっているので、声をかけてくれれば用意しますよ」


 ショートヘアの可愛らしい少女が受付を務めている。ギルドで情報料をもらっていたため、無理なく泊まることができそうだ。いきなり野宿ならなくてよかった。食べなくちゃ損だよなと思うが、冒険者などは依頼が立て込んで急に帰れなくなったりすることもあるため、決まって食べる訳ではないそうだ。そこで料金の調整をすると面倒なため、学がないものが多い冒険者にとってはこのほうがいいのだろう。


「毎食必ずいらないよっていう方は、割り引いた料金でご案内していますけどね」


 疑問が表情に出ていたのか、嫌そうな顔をすることなく、笑顔で簡単に説明してくれた。ギルドがおすすめするだけあって、初心者が使うことが多い宿屋だということもあるのだろう。


「身体を拭きたいときは、お湯を持っていきますので私に言ってくださいね」

「わかりました」


 部屋のカギを受け取り、案内される。ベッドと簡素な机があるだけの簡素な部屋だが、やっと安心できる空間に一人になれたことに、どっと疲れが出て、意識が遠のいてしまった。


「……さん。お客さん」

「はっ! はい! なんでしょう!」

「うふふ、夕食出来ていますけど、どうしますか?」

「食べます食べます!」


 ノックの音と声に慌てて飛び出すと、先ほどの受付の少女が驚いた表情で立っていた。すぐにおかしそうに笑うと、手を引いて案内してくれた。


「疲れた顔してたから、居眠りしちゃったのかなって思って……あっ、思いまして」

「あー、僕には普通に話していいですよ」

「……いいの? じゃぁアニムスさんもいいよ? 私のことはサシャって呼んで?」

「わかった。よろしくねサシャさん。正直助かった。お腹ペコペコだよ」

「うーん、まっ、最初はそうだよね。よろしくね」


 首を軽く傾げたあと、すぐに花咲くような笑顔になり、こちらも思わず笑顔になる。プライベートな空間となる宿でぐらい気を抜きたいものだから気軽な感じの方が助かるのだ。


「それじゃぁここで待っててね。持ってくるから」

「ありがとう」


 席に案内されしばらく待つと、パンとスープ、ステーキのような肉が並べられ、あっという間に食べてしまった。パンは固かったが、周りの真似をしてスープにつけて食べるとおいしく食べることができた。一口目で固さにぎょっとし、キョロキョロとしていたのをサシャさんに見られて笑われていたのは、ちょっとだけ恥ずかしかった。

 

 部屋に帰り際にお湯を頼んでもどり、渡された布で顔を拭こうと桶をのぞき込むと、銀髪の見知らぬ人物が映り思わず固まってしまった。えっと、どなたですかね? 思わず顔をペタペタと触ると、同じように桶の中の人物も顔をペタペタと触っている。


『ぷっ』


 モイラが噴出した声が聞こえ、これが現実であると認識する。中性的な顔つきに、サラサラの銀髪、瞳に関しては金色であり、だれこのイケメンって感じである。


『ねぇねぇ、右目を強く意識してみてよ』

「……おい」


 おかしくて仕方がないという声に、しょうがないから従うと、意識した右目がぼやぁっと青白く光る。中二病である。まごうことなき中二病キャラである。かっこよいとは思うが、なんだか勝手にキャラメイクされた気分だ。


『あー笑った。さて、そのまま自分を注視してごらん』

「なんだか癪に障るが、どうにもならないしいいか……。っと、またカード?」


【コモン】ソウルワーカー ☆アニムス

――美しく気高い運命神モイラの使徒 目覚めたばかりでとっても雑魚い。


「なんだこのふざけたフレーバーテキストは! 断じて認めんぞ!」

『いや、なんで娘の交際を認めないお父さんみたいな口調? ……なんとまぁ』


 内容がふざけていたので強い否定の意志を見せると、フレーバーテキストがぼやけ、内容が変わった。


【コモン】ソウルワーカー ☆アニムス

――目覚めたばかりであり、力の弱いモイラの使徒。モイラの言動に振り回されるも強く生きる。


『へぇ……』

「ふん、使徒とかいうところも、あんまり納得いかないけどこっちのほうがましだな」


 自分のカードはホルダーに入ることなく消えてしまったので、だんまりを決め込んでしまったモイラを気にしていてもしかたがない。桶のお湯が冷めないうちにと一緒に渡されていたタオルで身体を拭いてさっぱりすると、桶を返し、ベッドにまた身体を沈めた。いてて、脇腹内出血になっててまじ痛い。

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