星屑の浸し酒
ふらり星月夜
星月夜
あるいては ぐびり
ひとり星月夜
星月夜
あるいては くるり
金と銀との星の下
傾ける瓢箪は
紫陽花色の磨りガラス
ちびりちびりと舐めながら
ふらり くるり
この酒は
星屑の浸し酒
美しい髪の少女が
ほんのり頬を染めて通る
君は夢の中
恋の夢の中
強い瞳の若者が
だらしのないシャツで踊る
君は夢の果て
霧の夢の果て
銀と青との月の舟
寝そべって持つ瓢箪は
紫陽花色の磨りガラス
とぷりたぷりと舌の上
ごろり ひらり
この酒は
星屑の浸し酒
通りすがりの老人は
四弦の小さな楽器を抱き
光たちを跳ねさせて笑う
雲の流れるより速く
駆け抜ける幼女は
夢の先 夢の彼方
遥かな 夢の梢
黒と藍色の風に乗って
高く掲げる瓢箪は
紫陽花色の磨りガラス
ごくりするりと嗜んで
よたり よろり
この酒は
星屑の浸し酒
今宵は良い夢が手に入りました
肴に持参致します
今からそちらへ参ります
ですから あれのご用意を
紫陽花色の磨りガラス
そんな瓢箪から大盃に
なみなみと注ぐあの酒を
その酒
は
星屑の
浸し
酒
お読み下さりありがとうございました