HOTコラム〈2〉『二大政党制とは?』
自民党、一党「55年体制」、つまり、独裁支配が終焉しようとしている。自民党は良くも悪くも、現代の日本の構造を構築した、世界一の名大工だった。民主党に追い風となる今、もはや、政権交代は実現したような感が、世間を覆っている・・・・・・未来は予測不可能であるから、8月30日の衆院選で何が起こるかは、誰にも分からない・・・・・・
そう、分からないはずである・・・・
だが、果たして、そうなのか?
本当なのか?
この、民主党、躍進というシナリオを綴っている、ゴーストライターはいないのか?
筆者は、献金問題などの問題を抱えつつも、民主党がもはや敵なしの状態で、独走する様子に、なにか、釈然としない疑念をもっていた。
なぜ、自民党が?有権者の意識が変わったから?
そう自問しつつ、こんな記事に出会った。
「安倍内閣は、社会保険庁を解体して、一度全員クビにして、民営化すると言っている。社会保険庁の役人というのは官僚だ。官僚というのは決してクビにならない、決して倒産しない、さらに天下りできるという、非常に安定した身分だ。それを「解体!」と言った。」・・・「だから僕は、社会保険庁がこぞって、いわばクーデターをしかけたのだと思っている。つまり、社会保険庁の年金がめちゃくちゃな状態であるということを、社会保険庁自らが広めたということだ」(http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/column/tahara/070719_20th/index1.html
より引用)
さらに、今回の衆院選候補者予定に、民主党は新人の21パーセントが官公庁出身であるという。(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-10-06/2008100602_04_0.html、より)新聞赤旗だから、共産党の機関紙だが、事実は歪曲すまい。むしろ、大手マスコミよりも、信頼性が高いかもしれない・・・
というのは、この自民党が悪、民主党が善という構図を作ってきたのは、他ならないマスコミだからである。では、なぜ、そんなことをするのか?
自民党の総裁の、ここ数年の動向を鑑みるに、橋本内閣が行った省庁再編は、公務員改革の初めの一手であった。このことは、日本の政治において、内閣府の権限を増大させ、官僚主導の政治から抜け出そうともがいてきた一環であるともいえる。その後の、一連の首相は、公務員改革に着手しようとしてきた。麻生内閣の霞ヶ関への弱腰は、この改革を後退させた。気力だけでは、腹黒エリート衆とは戦えない。知識が不可欠であるが、麻生氏には知性も知識もなかったといえる。
マスコミに記事を提供するのも、官僚の仕事である。なぜ、「特別会計」の記事が依然として、一面に飾られないのか?それは、記者クラブ制により、マスコミは、官僚に情報を依存しているからだ。「特別会計」のことをさらせば、省庁の権益を損なうことになりかねない。記者も家族もちだ。もし、記事を取ってこれなければ、首切りである。それだからこそ、食い扶持をあげる代わりに、官僚は、記事の内容を、なんなく操作できるというのが、裏のロンリネスだ。
霞ヶ関は、執拗な公務員改革に腹を立て、自民党を捨て去ったのではなかろうか?マスコミを、反自民にし、民主党に政権を渡すことで、新たなパブロフの犬を飼おうとしているのではないか?そんな憶測が、以上の記事を読むと可能である。まあ、憶測に過ぎないが・・・・
で、ここで問題となる、「二大政党制」の問題とは―。
政治学者・デュヴェルジェという人が提唱した、有名な法則がある。
「小選挙区制は、二大政党政になる」
実際、日本の得票率を見ると、自民党と民主党が投票数を二分している。それゆえ、日本も二大政党制へ行き着くかもしれない。もともと、小選挙区制は導入したきっかけは、政権交代を起こそうと考えたものだ。(まあ、これにも、いろんな説があり、筆者は、自民党が選挙区を修正して、平成の大合併を合わせ、ゲリマンダリングを行ったのではないかと考えている)・・・・・*ゲリマンダリングとは、自党に有利なように、選挙区を区分けすること。
アメリカは、二大政党制の国である。共和党と民主党しかない。
それゆえ、イラク戦争のとき、共和党も民主党も、戦争賛成であり、ここに如実に、二大政党制の欠点が表れている。つまり、戦争反対の意思表示が、国民に与えられていないのだ。戦争に、「YESかNOか」ではなく、「YESかYESか」ということしか残されていないのだ。イタリアには、国民投票によるレファレンダムという制度があり、中絶法や離婚法が、レファレンダムで廃止された実績がある。このような国民の政治参加の制度をもたない日本では、二大政党制は、かなり危険な部分も多いのである。
もし、民主党が、官僚と裏で取引をしていれば、日本人は、「脱官僚」に「YESかNOか」ではなく、「NOかNOか」という一者択一を迫られているのだ・・・
まず必要な改革は、今の既得権益と戦う、国民政権を樹立することだろう。これは、石井さんの著書にも綴られている―、
真の構造改革の断行を可能にするには、総選挙において改革のプログラムを明確に問い、政治責任を明示した公約を掲げ、四年間の信任を得た、強力で有能な国民政権の樹立が必要になる―。
民主党が真の国民政権となれるのか、それとも、全く新しい新党が結成されるのか?・・・・それまで、日本の住民は、蛇の目で、政治を、マスコミを、見なければならない。