「補助金」は何を助ける?
「特別会計」が、裏予算の大黒柱であれば、屋台骨は「財政投融資」でだろう。しかし、これだけで家は建たない。瓦が必要だ。そう、「補助金」が、それにあたる・・・・・・・
「利権財政の御三家」
と―、石井さんは著書で名づけている。
「補助金」とは、名目どおり、補助である。が、国民の生活を補助するものではない。いや、本当は、そうであらねばいけないのだが、日本の「補助金」がホジョしてくれるのは、国民生活ではない・・・・・・
それでは、何を補い助けているのか?・・・・
議員の「政治献金」と「票数」である。
「補助金」は、公益法人や特殊法人、業界団体、一般企業に直接支払われているものと、地方公共団体や公益法人、特殊法人などを経由して支出されるものがある。その数は、数万社にのぼり、これらが「補助金」の恩恵にあずかるわけだ。
「集票」の格好の一例は、農林水産省のそれである。(以下、農水省)
日本の農地政策に、「土地改良区」というものがある。農家が15人以上集まって、公益法人をつくり、農地の改良・開発を推進しようというものだ。
これは、戦後直後、荒れた農地を改良するため、昭和24年にできた土地改良法に基づいたものだが、米が食料過剰の状況にある現代では、むしろ足かせにしかならない。
話はそれるが―、
なぜ、米の食料自給率ばかり上昇したのか?
もちろん、問題の本質はここにある。「補助金」を受けるため、土地改良事業を増やし、何の将来的展望もなく、米の作付面積を増やしたためだ。それが、今、食料自給率は低いのに、減反政策をとらざるをえないという、悪循環に陥っている。もっと早い時期に、米以外の食料自給率を増やす政策を打つべきだったのだ・・・・
こうした事業は、農水省の、構造改善局が取り仕切る。当然、事業は、地元の有力建設業者に任せられる。地方の建設業は、競争の激しい民間の仕事だけでは食べていけないから、査定の甘い官需事業を待ち望んでいる。これで儲けたお金を、政治家に献金して、また来年、補助金事業をいただくわけだ。農協は「補助金」を受けて、土地改良事業に金がないと渋る農家に融資する。しかし、このような事業で採算がとれるわけもなく、農家は借金まみれになる。結局、儲けるのは、融資する農協と、建設業者だ・・・・・・・
こうした利権構造が、日本の農業を疲弊させている。「補助金」は、農家の生活を助けるのではなく、政治家の「票」と「政治資金」を「補い助けている」のである・・・・
最後に、石井さんより抜粋―「地方で金持ちになる、最善の方法」―
地方で金持ちになり、よい暮らしをするにはどうすればよいか。農業団体でのし上がるか、与党の政治家とつき合って献金することだ。土木、農畜産業なら補助金がある。こうして“名士”となった人は数知れないし、権勢を誇った政治家も枚挙に暇がない・・・・・・・・・・・・・・・・
参考までに; 石井 紘基 (著)『日本が自滅する日―官制経済体制が国民のお金を食い尽くす (単行本) 』
―が、アマゾンにて、発売されています。ほとんど、筆者は、この著書によっているため、詳細に政治の実状を知りたい方は、筆者の書いたものを読むよりも、こちらをお薦めします。
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本日の参考文献;『自民党が負けない50の理由』土屋彰久著;自由国民社
『餓死迫る日本』小池松次著;学習研究社