本当に、デフレなの!?【2】
さて、消費税増税、法人税減税の仕組みについては、まとめてみよう。
適正な逆進性対策を行わなければ・・・
消費税増税 → 商品価格の値上がり → 低所得者層に打撃 → 購入意欲の減退 → 地域経済の衰退・・・
法人税減税には、筆者は、断固反対である。
法人税減税 → 企業の利益増大 → 買収・投資が活発に → 国際競争力の上昇 → 海外企業の誘致 →全体的に、法人税の減税分、投資は活発になり、GDPは増大・税収は上がる(?)という・・・(イギリスの例)
だが、買収や投資、または、株主の配当に、利益が分与されるということは、サラリーマンの給与は、ことさら変わらない
むしろ、法人税の減税分、国の歳入が減り、国民一人当たりの負担は大きくなる恐れがある。
実際、法人税を減税しても、消費税が増税されれば、その分、国民の負担は大きくなる。給与が増えるとは限らない!から・・・さらに、国民保険料や介護保険の掛け金、いまだに負債を抱える旧国鉄の馬鹿高い運賃、公共料金(美術館やプールだってそう・・・)、役所の手数料(日本は高い・欧米は無料)それら「見えない税金」で、日本国民の負担率は、高いのである。
いまの日本は、デフレだといわれる。
デフレとは、短銃明快に言えば、物価の値段が下がることだ。だが、これを読んでいる読者の皆様には、デフレで商品が安くなったという実感があるだろうか??・・・筆者にはない。
なぜなら、その分、給与が下がっているからだ。デフレで、企業の売上が減少し、人件費が圧縮され、給与は減るばかり・・・それゆえ、デフレという実感はない。
【デフレスパイラル】
・・・→景気が悪いから物が売れない → 仕方なく安い買い物をする → 物を安くした分だけ会社の利益が減る → 儲けがへるから、従業員の給料も減る → 家計が苦しくなり、購入意欲の減退 → 物がさらに売れなくなり、景気悪化 → ・・・(物価下落の悪循環)
これが、デフレというものだが、原料は高い。穀物価格、原油価格、鉄鋼資源の価格・・・それゆえ、日用品などは安く感じても、ガソリンは高いし、住宅は高いし、車も高い・・・
こうしたことは、なぜ、起きるのか。
デフレならば、すべての物価が下落してもおかしくないはずだが、物価の下落は、全体的に見られるわけではない。つまり、デフレという認識は正しくない。現在は、インフレとデフレが同時に起きる、スタグフレーションの状態なのである。日銀が、中小企業にむけて、資金を供給してようという姿勢に、それがよく表れている。
土屋彰久氏は、次のような見解を『政治家にダマされないための経済学』(自由国民社)で述べている。
長いが引用しよう。
「これはデフレか??
バブル崩壊以後、不況に陥った日本経済について、デフレという言い方が一般ではありますが、私自身は、強烈なスタグフレーションにすぎない、つまり、本当のデフレではないという見方をしています。
簡単に二つの理由を示すと、
一つは独占価格(原油・穀物など・・・)や公定価格(公共料金なども・・・)には高止まりや値上がりの傾向が強く見られ、物価の下落が、必ずしも、全体的に見られるわけではないという話です。
そして、もう一つは、ゼロ金利政策に、量的緩和の追い討ちまでかけて、マネーサプライそのものは史上空前のレベルまで膨れ上がった一方で、その金を金融システムの上層だけが抱え込んでしまったいる結果、下層には流れず、上層はインフレ、下層はスタグネーション(停滞)に分離し、量的インパクトに勝る、下層の影響で、政府が公表する数字に、デフレっぽい数字が表れているに過ぎないという過程です。」
この構造が、いま。世界的な不況の原因となっている。
あまった金が、先物取引に回り、国民経済を圧迫しているという状態であり、国内で見れば、格差社会という構造的な貧困の問題として表れている。
「スタグフレーションが発生するメカニズムは、基本的に、富と権力の独占によって説明がつきます。
資本主義国家では、多かれ少なかれ、国民の経済的地位は、ピラミッド型の階層構造になり、それは、そのまま政治的影響力の格差にも投影されます。その結果、景気対策の資金は、ピラミッドの上層に、優先的に投入され、下層の人々が必要とする財貨を、先回りして、買い占めることにより、投機的利益を得ることができます。この物価膨張効果が、不況時に強く表れると、スタグフレーション(物価上昇と経済の停滞)として観察されます」
毎年3兆円余りの赤字を計上する独立行政法人、不良債権化する公共事業、こうした行政の無駄を省かずして、消費税増税、法人税減税で、市民の生活を犠牲にするのは、絶対に許してはならない。