HoTコラム『思いやり予算』(1)
民主党政権の爆弾-「普天間基地移設問題」。いったい、なにが問題となっているのか、余談も交えて、このトピックで考察していきたい。
まず、マスコミの批判的な姿勢である。なぜ、一転して、マスコミが沖縄基地の問題を揶揄しはじめたのか?
彼らは、お抱えの「御用学者」「御用コメンテーター」を登場させ、民主政権のぶれを批判する。その論調は、「アメリカとの外交関係の悪化」、それによる「日本の安全保障能力の低下」である。だいたい、番組、新聞は違えど、この論理で、民主党の外交姿勢を危険視している。
しかし、アメリカとの関係悪化により、日本の防衛能力は、ほんとうに低下するのだろうか?
近年、軍事においての技術革新は目覚しいものがあり、アメリカの対ミサイル防衛は、ブッシュ政権の軍需産業万歳路線により、格段な進歩を遂げた。北朝鮮の動向も、軍事衛星により、水を漏らさないほど、詳細に、監視できている。
したがって、この時代、他国を侵略するに当たり、先制攻撃などあるはずがないのである。おそらく、アメリカは、中国の軍事動向も、逐一、監視しており、中国の軍事的な情報統制など無いに等しいのである。それは、中国が近年行った、大規模な軍事パレードに見られよう。覗かれるなら、素っ裸になり、全部さらけ出してしまえというのが、ストーカー・アメリカに対する、中国のサービスだ。
それゆえ、アメリカは、事前に、他国の軍備状況に従い、先発的に迎撃の準備が可能なのである。よって、日本が、もし、他国に侵略されたとしても、世界有数の軍事力を誇る自衛隊がこれを迎撃し、グアム基地から駆けつけたアメリカ空軍、海兵隊により、支援攻撃してもらえば、充分、日本の防衛は可能なのである。なにも、沖縄県民の生活を犠牲にする必要はないのである。
冷戦下にあっては、中国、ソ連、北朝鮮の脅威があった。また、日本の内部では、戦後の混乱により、共産党が勢力を拡大していた。このため、アメリカは、日本を資本主義国家の防波堤にするべく、9条に違反して、再軍備化、沖縄の永久基地化を推し進めた。戦争による日本の国力の疲弊はすさまじく、警察予備隊などでは、ソ連の侵略を防衛するのは不可能であった。よって、アメリカの軍事基地は、必要悪であったといえる。
それが、21世紀になると、日本は経済大国となり、自衛隊は世界有数の軍隊となった。現代の仮想敵国は、北朝鮮、若干、中国といったところだろう。しかし、戦争より経済が得意な中国人は、近年、自国の急激な経済発展にしたがい、外交も穏健路線化が進んでいる。どちらかというと、日本のほうが、従来の中国悪という考えに支配され、いまだ、アジアでのイニシアティブが取れていず、アメリカに出し抜かれるという滑稽な役回りを演じているといえよう。
こうしたことから、北朝鮮のみが、仮想敵国であり、日本は、憲法上の違反はあるものの、たとえ、北朝鮮に侵略されようと、充分、自衛隊で迎撃可能であると思われる。「御用学者」「御用コメンテーター」の論調は、はっきりいって、冷戦時代の名残といった感すらある・・・要するに、時代遅れである。
では、いったい、なにが問題なのか?