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「自民党」とは、なんだった? (2)

 自民党とは、「利権の政党」である。

 良くも悪くも、この一言に尽きる。


 自民党内部は、(1)保守本流・・・利権と福祉

      (2)傍流・・・・・ネオ・リベラル


に分かれる。ネオ・リベラルとは、グローバリズム、つまり、規制緩和、アメリカ型資本主義、いわば大企業至上主義、といっていいだろう。


 自民党は、所得倍増を提唱した、池田内閣以来、(1)のスタイルで貫き通してきた。

 すなわち、利権と福祉の政策を行き来していた。自分たちの利権、そして、時には、福祉政策と、彼らなりにバランスをとってきたのである。簡単に言えば、白いご飯を食べながら、味噌汁、たくあんを食べるみたいな感じだ。


 いまだ、社会党が健在であった頃、自民党は、社会党への対抗策として、利権ばかりを追求するわけには行かなかった。そんなことをすれば、社会党に、政権をとられかねない。今からでは、想像もつかないが、社会党は、自民党の宿敵であったのだ。ゆえに、自民党は、利権で、狭く濃い利益を吸いながら、同時に、福祉政策で、広く薄い利益をも還元しなければならなかったのである。これが、簡単にいえば、政権交代以前の、自民党の(1)スタイルである。

 この構造は、田中角栄により、ほぼ構築されたといっていい。「コンピューター付きブルドーザー」と言われた、田中は、官僚機構をシステム化した。今で言う、「大きな政府」である。日本は農業国である。だから、自民党は、農家に補助金を送ることで、地方の票を、確実に取り込んだ。こうして、自民党の55年体制を確固たるものになる。田中は、「利権政策の五年遅れで、社会党の政策をやっていれば、自民党は不滅だ」とまでいった。それは、つまり、利権政策をやりながら、それに遅れて、福祉政策さへやれば、国民の大半の支持は得られるということである。高齢者医療の無料化など、過剰な福祉政策は、この一環である。その裏で、赤字国債を増発し、全国に利権のパイプを構築したのである。このシステムは、竹下により、徹底されるに至り、小泉政権まで続くことになる。


 ところが、小泉政権で何が起きたか?

 小泉は、自民党を「ぶっ壊し」た。確かに、壮絶なほど・・・

 簡単に言えば、この構造を破壊したのである。つまり、(1)と(2)が逆転したのである。というより、(1)を消し去ったといってもいい。小泉は、アメリカの指示(http://www.news.janjan.jp/government/0901/0901246070/1.php)

で、どうしても、日本を大企業先行型の、経済社会にする必要があった。平たく言えば、日本の大企業の株を、アメリカ系外資が買う。規制緩和により、派遣労働者の自由化など、大企業がいくらでも、儲ける制度を作る。儲けた大企業は、アメリカ外資系に配当を渡す。郵政を民営化して、国民の貯蓄を外資系ファンドに運用させる。その運用益は、アメリカに流れ込む。400兆円あまりのお金が・・・・・・・

 これが、小泉政権での、経済での変革である。いってみれば、小泉は、自民党をぶっ壊したことにより、当然だが、社会構造まで壊したことになる。思い出してほしいのは、小泉政権後、大企業が次々に、過去最高益を出す中で、なぜか、所得格差が広がり、貧困率が上昇したという事実である。(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4663.html)

自己責任では、すまされまい・・・


 (2)のネオ・リベラルが、台頭することで、小泉以後の首相は、舵取りさえできなくなった。たぶん、福田は、この辺りを、修正しようとしたのではないか?・・・ところが、自民党内部は、小泉チルドレンをいわれる、ネオ・リベラルの信奉者で埋め尽くされていたのである。

 こうして、自民党は、大敗を余儀なくされた。景気の悪化を肌で感じた国民が、自民党を見限ったからである。

 

 政権交代は、こうした、自民党の、(1)から(2)への変化を物語っている。たとえ、利権を追求したとしても、というより、政治家が利権を追及することは、歴史上、なくなることはないだろう。だが、たとえ、利権をむさぼっても、政治の使命を忘れてはなるまい。それは、「生活の安寧」、「安全保障」を実現し続けることである。

 自民党には、もはや、政党たる資格はないだろう。

 



 

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