「構造改革」のプログラム
批判するだけして、対策を何も書かないのは、卑怯だから、「革命的改革」に対する、筆者の考えを提示していきたい。
というより、石井さんが、その著書に、命と引き換えに、書き残してくれたのである。だから、それを、基に、簡略化して、「新しい社会」へのプログラムを提示していきたいと考えている。25もある・・・そのうち、いくつかを紹介したい。興味がある方は、原本『日本が自滅する日』(PHP研究所)より、発行されていて、amazonでも入手可能なので、ぜひどうぞ。市内の図書館にも、入っているのではないか?・・・筆者は、東京市内に在住だが、辺鄙な図書館に置いてあった。
まず、必要な改革として、以下のことが挙げられる。(このプログラムは、すべて、故・石井衆議院議員による。*マークは、筆者の考え・・・)
(1)すべての特殊法人廃止を急ぐ
すなわち、行政の仕事は、「福祉」、「教育」「医療」、「治安」、「防衛」に限定する。他はすべて、民間の仕事として、これを解放する。特殊法人の民営化は、結果的に、独占企業をつくることになり、市場になじまないため、すべて「廃止」とする。*小泉政権下において、道路公団改革がなされたが、この「まやかし」については、また、別の機会にとりあげる。
(2)高速道路、建設の凍結
日本の道路事情を考え、安全、輸送の効率、経費の削減と、道路建設の「理念」を明確化し、基本構想を構築する。
(3)日本道路公団の借金は20年で償却する
*これについては、また、特集したい。小泉政権の「特殊法人改革」で、2005年(平成17年)10月1日の日本道路公団分割民営化に伴い、解散した。その聖域なき邪な「改革」ぶりについては、また、みなさんにお伝えするつもりだ・・・
(4)政府系の許可法人、公益法人を即時廃止する
(5)地方公社・第3セクターを清算・整理する
(6)200万人が失職するが600万人の職が生まれる
以上の、「廃止」に伴い、200万人以上の離職者が出る。だが、この廃止に伴い、民間では、資本の拡大生産活動により、600万人以上の仕事が生まれる。200万人の中には、退職金をもらった、天下り役員もいるし、共済年金の受給者もいて生活には困らないだろうから、*「革命」の犠牲になってもらう。・・・とはいえ、一般職員には、次の職を見つけるまでに、「失業手当て」をだす。・・・*天下りの金を削れば、こんなもの、微々たるものだ。いったではないか、「改革に痛みはつき物だと」・・・それを、公務員にしてもらうまでのこと。彼らは社会の奉仕者として、職務を全うすることになる・・・
(7)特別会計、財投、補助金を原則廃止する
*これにぜひ付け加えたいのは、「こくみん情報センター」の設置である。つまり、今の財務省がやっていることを、すべて、市民団体が監視し、財務情報を整理し、一般に公開する場所を設けるのである。場所は、議員会館とする。そこでは、手数料など要らずに、財政情報を発行できる。もちろん、国防に関する情報は、行政の仕事とする・・・国民に、財政への「監査請求権」を与える。陪審員制度ができたのだから、できないことはない。
(8)「開発」「整備」「事業」法を撤廃する
(9)公共事業長期計画を廃止する
国が直接手がけるのは、基幹的整備に限定する。
(10)新しい民間の公共事業勃興策を打ち出す
*食料自給率90パーセント目指し、大々的な農業の育成、改革、高齢化社会への対応、つまり、福祉施設の改善、児童施設の改善、学校の修繕。下水道の整備。環境保全、共生への、新たな生活事業の展開・・・こうして、公共事業で職を失った人々に、新しい仕事を提供する。
(11)政治農業をやめ、産む農業をとりもどす
(12)徹底した地方分権を断行する
(13)五年以内に、予算規模を二分の一に縮小する
*これについては、また詳しく取り上げたいが、100兆円規模の縮小は、現実的に可能だと、石井さんはいう。その内訳は、今度。
(14)国債の新規発行をゼロにする
(15)大規模減税を実現する
(16)「公務分限法」を制定する
これは、行政は、「福祉」、「医療」、「教育」などの分野に限定することを法律で明記する。もはや、特殊法人などというものを、繰り返してはならない。
(17)天下り禁止法を急いで制定する
公務員の退職金は生涯一回のみにすべきである。この法律により、中央省庁にとって、公益法人やファミリー企業を作る意味は半減し、税金の無駄遣いも減ることになる。地方自治体も、条例で、天下り・退職金を規制する。
(18)新しい社会を創生するため、「中高年100万ボランタリー公務員制度」をつくる
改革の混乱や失職を解消するため、将来の高齢化・健康文化社会の創設のために、地域の自立的活動を支援する、中高年の有能な人材を登用する。
蛇足・・・
*(19)議員数は半数か、三分の一にする
あのどでかい、アメリカでさえ、定数は、上院100名、下院435名である。単純な比較はできないものの、衆議院480名、参議院242名というのは、多すぎるのは一目で分かる。どちらも半数でいい。もちろん、政治献金は禁止、議員特権の廃止、議員宿舎の一般開放など、政治家階級を撤廃する。
このプログラムを、今、発表されている各党のマニフェストとつき合わせて、○×表にしてもらえれば幸いだ。なお、25個は紹介し切れなかったので、またの機会に、随時、その実現可能性を個別で取り上げていきたい。筆者も、石井さんの著書を初めて読んだときは、噴飯ものだと思ったが、日本の政治事情を知るにいたった今は、これが、必要なことだと、痛感したしだいだ・・・今の政治家に、これだけ明確な改革を立案できる人間はいまい・・・これが、石井さんの残してくれた、ボクラの「遺産」である。これがあるだけで、「あるべき」政治の姿と現状がつき合わせられることは、うれしい限りだ・・・