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「特殊法人」パラダイス

 いよいよ、この国の病巣、「特殊法人」の闇について迫ろう・・・


 特殊法人とは、「公共的な性格を持ちながらも企業的な経営を国が実施させようとして設立された法人。公社、公団、事業団がこれにあたる。政府の保護がある。」(『教科書が教えられない政治学』土屋彰久より)


 なにが問題なのか!?


 第1に、「法的違法性」・・・「すべての団体はどの法律によって設立されたかによって、行政機関か民間団体かに色分けされる。しかし、特殊法人には根拠法がなく、いきなり、「設置法」がつくられた」(『日本が自滅する日』石井こうき)


 なぜ、法を改正しなかったのか―

 それは、収益や投資活動は行政の仕事でなく、その団体を作ることは、「憲法第七章」に抵触するため、許されないから。


 第2に、その巨大さだ。でっぷり肥えた特殊法人は、民間企業を圧迫し、自由な経済市場を硬直化、停滞させる。たとえば、公団、事業団、公庫などの特殊法人が、商売にしているのは、「金融」、「建設」、「住宅」、「運輸」、「不動産」、「保険」、「食品」、「レジャー産業」、「空港」、「農業」、「漁業」、「林業」、「通信」、「電力」・・・・・こうした特殊法人は、無数のファミリー企業をつくって、民間の仕事を奪っている。


 第3に、もし、これで健全な経営をして、毎年、黒字を出し、「財投債」をきちんと利子を付けて返済していれば、これは、国民にとってプラスになる。「財投債」の資金源は、年金、保険であるから・・・しかし、これは、前にも書いたとおり、平成12年度時点で、特殊法人の赤字は344兆円あり、このうちの257.3兆円が「財投」から出ている。ほとんど、返済不可能な、潜在的不良債権と見てよい。


 なぜ、新しい、数字が分からないのか?石井氏の著書より―

「特殊法人の経理は正確には誰にも分からない。どんなに借金が膨らもうと不良債権に漬かろうと責任を問われるものがいない。民間企業のように「株主」に監視されることもないし、行政機関として議会で承認される必要もない。」


 第4に、その子会社は、公益法人も含めると、約2,000社・・・・役職員数、100万人以上。さらに、政府が大半の株を保有しているJRやJTを含めると、関連企業は、1,000社以上増え、就業者数も計150万人は下らない。不況で中小企業が切迫しているとき、330兆円規模が特別会計から支出され、こうして、半年で1万7,000人が自殺する生活苦の世の中で、特殊法人だけは、インフレの風がふきまくっている。


 第5に、官僚の天下り先となっていること。もはや、これは、官僚界の慣例といってもよく、「天下り廃止」を叫んだ麻生は、即座に人事院から猛烈な非難を受けたのは記憶に新しい。ほかすべての政策が失敗しても、もし、「天下り廃止」を実現していれば、麻生は、歴史に残る

首相になっていただろう。それぐらい、「天下り」は根深いのである。


 なぜなら、一方で、天下りは、民間と比べ給与の安い(?)官僚の余生を保障するものであり、彼らの、意欲向上につながるからだ、といわれている。だが、それも、この未曾有の大不況にあって、ほとんど根拠のない空論である。

 しかも、一例をとると、これほどのまでのことをしている―、

 元日銀総裁の松下康雄氏は、旧大蔵省から5,856万円、日銀から3,405万円、これに旧さくら銀行からの退職金を合わせると、それだけで、2億4,000万円もらっている・・・また、日銀の三重野康・元総裁は、日銀だけで、1億8,221万円の退職金をもらっている。


 こうした、特殊法人は、資金調達は自由自在、監査、会計もなく、株主不在の、実質上、独占企業である。官僚の天下り先となり、民間で勤めるサラリーマンが一生稼いでも稼ぎきれないほどの、退職金をもらって、赤字経営には無関心・・・良心のかけらもないように見える彼らを支えるのは、おそらく、エリート官僚として日本を支えたという、強烈なエリート意識と自己顕示欲だろう・・・特殊法人の『革命的改革』が行われない限り、この国に未来はない。

                       

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