「無党派層」の投票
投票率が低くて、何が悪いのか?
しかし、これでは、問題の具体性が示されず、論点がはっきりしてこない。もう一つ、踏み込んでみよう・・・
投票率が低いことで、得をするのは?
こう観点を変えるだけで、政治教育の不徹底ぶりと、選管の気味悪い宣伝手法が、なぜ、こうも時代にそぐわないのかが明らかになる。それは、わざと、都市部の若者の投票率が低いように、与党がマスメディアを駆使して、操作しているからだ。
まず、日本には三割近くの無党派層がいるが、この人たちは、選挙に行かない。
政治への無関心が主な理由だが―、
1・本当に、興味のない人。
2・政治への関心は高いのだが、支持できる政党もなく、また制度に疑問を持ち選挙にいけない人。―
と、二つに大別できよう。
制度に疑問をもつとは、自分の一票に重みを感じない、つまり、「一票の格差」という問題である。
こうして、多くの無党派層がいることは、与党に、多大な恩恵をもたらす。与党には、無数の支持団体、利益集団がついていて、基本的に、彼らが、与党の支持母体となる。彼らは、政策からぼろぼろこぼれる利益、補助金や公共事業などと、そういった餌をもらう代わりに、与党の投票者層となる。こうして、与党は、不動の地盤を手に入れ、たとえ、低い投票率であろうが、政権を維持できるのだ。
だが、もし、無党派層が動くとどうなるか?
割を食うのは、与党である。なぜならば、無党派層が投票しなければ、それは、結果的に、現状を追認したことになり、信任投票と同じことになるからだ。もっと詳しく言おう。小選挙区制の下では、三割が投票しないことは、その三割が死票となるから、与党・当選者に投票したのと同じことになるのだ。
こうして、投票率の低さは、与党に、さらにいえば、小選挙区制では、当選者を多く抱える大政党に有利に働く。それだけ、利益集団が、自分たちの利己的信条にしたがって、いくらでも政権を交代させることができる。つまり、たくさんお金を産む政策を実行する政党が、「善い政党」なのであり、与党も、支持団体の投票を取り付けるために、『税金垂れ流し政治』を続けなくてはならないという、悪のスパイラルを生むことになる。簡単にいえば、与党を狙う政党は、どうしても、「自民党化」しなくてはならない。民主党の政策と自民党の政策が似ているのは、こんな理由もあるのだ。
だから、投票率の低さは、安定した「利権政権」を維持していく上で、とてもとても喜ばしいことなのである・・・・・もし、無党派層が政治意識を高めてしまえば、獲得投票数は不安定となり、政権は流動的になるからだ。まあ、今の選挙制度、二大投票制では、自民、民主以外に、政権獲得は実現不可能だから、もし、この二大政党が、保守的になり、政権を交互に与えあう密約が交わされれば、新しい「安定した利権構造」ができることになるのだが・・・・
この先は、余談・・・・・
都議選で、新宿区から立候補した、「後藤まい」をご存知だろうか?・・・・・彼女は「純粋無所属」として、都議選に立候補したわけだが、彼女は「純粋」どころか、見た目どおり、「汚れまくって」いる。
彼女の選挙参謀は、自民党で神奈川県議を三期務めている。加藤堯久氏(62)である。(http://woman.infoseek.co.jp/news/society/story.html?q=10gendainet05019833)
そんな選挙参謀が、なぜ、後藤まいをかつぎ、都議選に、しかも新宿区から、出馬したのか?・・・ここからは、憶測だが、この仮説には自信がある・・・・
彼女の目的は、「純粋無所属」とうたい、無党派層の取り込みにあったのだ。つまり、郵政民営化で、小泉が炙り出してしまった無党派層が、構造改革の失敗で貧困に突き落とされ、『蟹工船』人気の高まりに見られるように、反自民となり、共産党や社民党に流れるのを阻止したのである。簡単にいえば「浮動票の取り込み」である。
だから、後藤さんの「無所属」は有名無実であり、選挙参謀・加藤堯久氏の愛人であるかどうかは知らないが、「純粋」自民党として、色気いじょうに、お役に立ったわけである。実際、彼女は、たしか、3,500票も獲得した。もし。これが自民、民主の接戦であったならば、3,500票が、どれだけ大きい価値かは分かる・・・・・まあ、3,500がいったい、どんな人たちなのか、筆者は、そっちに興味がある・・・・・
選挙には、その筋書きを描く、選挙のプロがいる。彼らの手段は巧妙であり、魔術師顔負けの、トリックをいくつも用いるのが通例で、投票率の低さも、彼のマジックによるものだといえる・・・・政治はキレイでない。
「純粋」なものなど、政治には存在しないのだ・・・・・・・・