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・ある新人の話・
「ニノ、これ貼ってきて」
「あ、待って。これも」「これも」
「おいニノ、コーヒーくれ」
「ニノ君、資料室からこの記事の」
総合ギルド冒険課調査部
メインとなる仕事はダンジョンのランク調査があげられるがバンバンダンジョンが乱立する訳ではない為毎日の業務は資料のまとめや依頼を引き受けそのレベルを定めたりする
俺は今年今年この課に配属となった
まぁ入った当初はバリバリに働くものかと思っていたが毎日雑用のように動いている
でもこの重要性は知っている
最初は嫌だったのだがある日気づいた
先輩達の雑用を順番付けして行うとすぐに終わるようにできていることに
まぁ最初はいや、たまたまと思って次の日次の日と繰り返してこれは絶対だと気づいた
昼の休憩の時に先輩達のダンジョン調査の話を聞かされていた
命懸けも命懸け
なんせダンジョンのランク変化は突然性が高く上がり幅が正確でなく変化する期間も正確でない
斥候部が先行しその次調査部で大まかな点をつけ最後に部隊をしっかりと組みランクをつける
冒険者にとって安心出来る情報は何よりも優先されギルドの情報はあてにされる
その信頼を壊せばどんなに損害になるかと脅されるし実際にそう思う
ある時先輩の1人に聞いてみた
「そういえばどこかに整理課って言うのがあるって聞いたんですけど、どんなとこなんですか?」
「ん?ん~、まぁ強いて言うなら雑用がメインの課だねー」
「へ?」
「尻拭い、雑用、何でも屋。色んな言い方があるとこだよ」
「へ~、じゃあどこかの課で雑用してるんですか?」
「いやいや、あ~まだちゃんとしたとこに触れてないから言われてないかー」
「何がですか?」
「いいか、これは全部の課に言われてることなんだけど
『整理課に仕事を回すな、回したとこは無能である』ってね」
「んえ? 雑用とか言われてるんですよね?」
「そうだね」
「なのに仕事回さないんですか?」
「あーまぁ、分かりにくい言い方だからなこれ、これの真意ってどの課にも雑用と呼ばれるし何でも屋、尻拭いだからなんだろうね」
「……?」
先輩の言っている意味がわからず首を傾げていると先輩は続けて話してくれた
「どの課でも部でも言えるということはどの課でもこなせる、どの課でも尻拭いできるってことになるんだと思う」
「もしかして課長のあれが関係してるってことですか?」
「そ、『使えない人間を使いこなせ』」
「それ、かっこいいと思ってましたけど」
「はは、そうだな、でもすごい言葉だよ。使えない人間を使いこなせ、教えることが出来ない奴も悪いことになるし出来ない奴も悪くなるし両方殺しにくる文だよ」
「でも、使えない人間を使いこなせってここ、超難関ですよね」
「うわぁー自分で言うの」
「事実です」
「そうだな、まぁ総合ギルド自体元々は国に認められたとこじゃなかったわけだしその名残だしな」
「前身の自警団時代のやつですか」
「あの時代の人はすごいよね」
「おい! ニノいるか!」
「は、はい!」
ある日部長に呼ばれた
緊張気味に行くと
「ダンジョン調査がある、『狼の魔回廊』で変動があった。課長からどんな奴でも良いと来た、経験させたいやつに任せとけとな」
「はい」
確かそれって受付嬢の人達が昼に話してたな……なんだっけ?
「ちょ、部長! ニノにですか? 大丈夫ですか?」
「問題ない、俺も課長にそう聞いた、今回主導するのは整理課だ」
「「「「「あ~」」」」」
えっ!?みんななんか納得してる
「まぁ初めてをあいつにするのは可哀想だがあいつから学べるものは多い。しっかりと学んでこい。そして生きて戻って来い」
「はい!」
俺の初任務のダンジョン調査が決まった
「はは、大変だなニノ」
整理課のことを教えてくれた先輩と昼飯を食っている時に言われた
「何がですか?調査初めてなんで緊張してますが……」
「違うってそっちじゃなくて『狼の魔回廊』だろ?」
そういった後に耳元に顔を近づけて来て
(冒険者のパーティが違反した可能性のあるとこのダンジョンだぜ? あれは十中八九やってる、他の冒険者達がお前見つけて根掘り葉掘り聞いてくるぜ)
あっ! それか……
『狼の魔回廊』、聞き覚えあるのは当然
受付嬢だけでなく仕事中にもこの話があった、先輩たちが話していた……
確か、あるパーティが後方支援職の1人を残して囮にして生き延びたと言う話だ
報告ではその男の人が殿を務めたことになっていたが後方支援職が殿務めることは少なく後方支援職ほど自分の身の程を知っている人達はおらず危険察知が強くこんなことになること自体が怪しいとの話もあった
「それか……」
「しかも、整理課」
「で、出来ますかね……」
「まぁ失敗はないだろ、そこは安心だぜ? 整理課が出るんだし」
「そんなにですか?」
「整理課のししょが出てくるからな」
「ししょ?」
「別名とか通称とかみたいなのだよ詳しくは知らんけど。整理部は人員1人でその人しかいないんだよ」
「マジですか? そんなとこあるんですか?」
「まぁ強いって聞くがちゃんと武器とか持って行っておいて損はないぞ」
「はい」
その後別の先輩からも脅された
実際に整理課に挨拶しておけ
とのことで挨拶に行くと他の部と違って暗く広いところだった
書類の山が二つ、あるとこに人がいた
近づいていて声をかけるとムクっと立ち上がって声をかけられた
その後ジッと見られて少し冷や汗が何故か出た
それを緊張と取られてそれに合わせて話した
あなたが怖すぎますなんて言えなかった
少し挨拶したあと調査の話をすることなくどこかに行ってしまった
誰もいなくなり紙の山が気になりチラッと見ると
「ん? 国印!?」
国印は国への申請を出して通ったことを示す書類についている
そしてそれはもう1つの山にもあり、さらに驚くのが国への再提出の書類ということ
おそらく不備が確認されたものでなく正式にもう一度出さねばならない書類
総合ギルドで言うと関わるのは部長でも関わることが年に数度くらいのものらしい(先輩情報だが)
それが上にあるので2枚、触ったら怒られる気がするので触れないがおそらくこの下のいくつかにも同じ印があるのだろう
しかも、再提出書類はそうそう聞かないものなんだが……
「何者なんだ……どういう場所なんだ、整理課」
とりあえず分けてみました。
次話もよろしくお願いします。