4ページ
=4=
・とある奥様の独白・
元々私はこの街で生まれて大きな商会の幹部に名を載せる父親とその父親を支えると同時に自分自身でもしっかりと稼ぎを持っている母親に育てられた
兄が2人妹が1人いて家族6人で幸せに暮らしていた
母はよく私と妹に「あろうとなかろうとしっかりと自分を持ちちゃんと生きなさい、そして男どもの心を奪い取って生きなさい」と言っていて
家事から野宿の仕方、野菜の作り方にちょっと口で言えないことも教えてくれた
いや、今思うとそれ教えるの早くない?と思うけど
結果私は小さい頃から夢だった雑貨屋を開いた
母に仕込まれたものを全部使って準備を整え父の商会の投資課に父の名に関係なくしっかりと実力でお金を引き出し店を開店した
もちろん全ての準備を整えれば売れる、繁盛するなんてことは無い
最初は苦しい生活に店を開きど入りもしない人を待つ日が続いた
ある時男の人が来て私の店で自分の趣味で作ったものを物珍しそうに買って行ってくれた人が常連になってくれた
そのうち店に人が全然入らないこともありその人と話すことがあった
そこでその人が冒険者だと知った
その人が買って行ってくれていたのはタオルで水で濡らして体を拭くと清潔を守れる一種の魔法具
昔から母に色んなことを仕込まれた中で裁縫と魔法道具にハマってある時その二つを混ぜる方法を知って試している内にいいものが出来て両親や兄達に褒めてもらったことがある
ちなみに妹はそういうものより私の料理を褒めてくれた。そっちも自慢できる
次第に「こういう魔法具作れない?」とオーダーしてくれるようになった
そうしたのを作っていくうちに冒険者の話を聞かせてもらったりした
それでいくつかの商品が誕生して今ではいい売れ筋の商品になっている
彼は「後方支援職で新人パーティとかには入れてもらえるけど中堅以上になるとどうしても足を引っ張ってしまうんだ、だから固定パーティって言えないんだよ」と言っていて自分からパーティが中堅以上になったなと思うと抜けているらしい
彼の紹介で何人かの冒険者さん達が言っていて本当にお世話になってるから「贈り物をちょっとね」と言って誕生日に近づくと買って行ってくれる
ある意味私にも後方支援してくれていたのかもしれない
店を開店して10年、彼と会って9年目に
彼から告白されてその1年後に私たちは結婚するはずだった
彼を見送って2日たった日だった
今回帰ってきたら結婚だ。
最近珍しくパーティの愚痴を言っているな~と思っていた
なんでも魔法職の女の子にリーダーがキツく当たっているとか言っていた
魔法職は文字通り魔法に精通している職でパーティでは魔法支援に魔法攻撃とパーティの中核にいる職らしく彼いわく「俺の上位互換だな」との事
太陽がいつもより高くいつもより白かった
私は今日も一日人が入ってくださるようにと
店の前で祈ってから店の椅子に座って編み物をしていた
今日は暑いな~なんて思っているとローブをズタボロにした女の子が入ってきた
「ちょっ、だ、大丈夫ですか?」
「ご、ごめ、ごめんなさい!」
そういうと私に抱きついて声をあげて泣いていた
その状態のままで私はその女の子の背中をさすってあげていると
彼が最初に連れてきてくれた冒険者の人が歩いて来た
その顔はいつもと違い沈んだものだった
私の心の底から冷たいものがぐるぐると回っているのを感じた
その人の話は案の定に近かった
彼の訃報だった
その女の子は彼が最後に所属したパーティの魔法職、彼の話にあった子だった
訃報を教えてくれた冒険者の人から聞かされたのは
彼がダンジョンに潜っている中で事故としてダンジョンのレベルが上がったこと
そして、彼がパーティを逃がすために囮になったことだった
私の胸の中で泣いていた女の子はその後目に光が無くなり何も喋らない、何も食べない状態になっていて、唯一動く感情は目からこぼれ落ち続ける涙だけだった
私は話を聞いている最中に話が聞けなくなっていた
女の子が来た時から感じていた冷たさは胃に来ている
耳がさっきからキィィィーーーーンとなっていて
頭は変に熱いものが零れるようだった
それは突然消えた
訃報を教えてくれた冒険者の最後の話だった
「自分で殿を務めるとと言い残ってとのことだ。だが……彼が囮になるとは思えない」
との事だった
後方支援職として彼はかなり優秀で有名らしく囮なんてものは彼の技術で代わりを作れるし、まずまず、彼は囮を立てなければならない状況をみすみす作ったとは思えないとの事だった
その後私は話だけでもギルドに言うなら俺たちが付くと言われギルドに向かった
受付嬢の人に話をすると明らかに話を隠していた
もちろん犯罪、ギルドでも国でも禁止している囮の実態を隠すのに加担しているのでは無いのは分かる
私は一応父が商会の人間だし母から色んなものを仕込まれた。相手の隠したい部分を会話で測れる
それに、ここで揉めたところであの人は帰って来ない
そんなことを思っていると受付嬢の後ろから女の人がその受付嬢に耳打ちをしなんか話した後私だけでこちらに来て貰えますか?と言われついて行くと男の人がカウンターの向こうに座ってい微笑していた
変わった話をされた
基本的に人が亡くなった時は火葬をするのが普通だと思っていたというか
そんな話は頭から抜けていた
囮、最後に残ったのだから私の手元に彼の何かが来るとは思っていなかった
そんな話に引き込まれつつある中で目の前の男がはっきりと彼の死に様は隠されると言ってきたそれも笑顔で
つい私はその男の胸ぐらを掴んでしまった
それからその男の話を聞いて私の心の無さ、焦り、そういうものを突きつけられたような気がする
それに今思えば最初に見た笑い顔と違って張り付いたような、仮面のような顔だった
結果私は目の前の男の話に乗った
目の前の男は自分で命懸けと言っているのに最初からなんの気配が変わることが無かった
つい契約ノ書に私は反応してしまったけど
数日後にその男のは前にあった時となんら変わらない様で私の店に訪れた
1冊の優しい緑色の厚い本を持って
「話し合いをしましょう」
今頃気づいたんですけど一話一話がバカなげぇー……
ワクワクと話をバーーって書いていて文字数気にしていませんでした。
ごめんなさい。
前話(3ページ)が5000文字近くで自分で再確認して引きました
次からは分けますやっぱ2000文字~3000文字くらいがいいですね
さて、壱話の中に入れるか分からない情報を小話で。
今回の話で出てきた奥様の兄二人は父親と同じ商会に入っており父親と同じ所まで行くのを目標に仕事に励んでおります、今は地方に行っていて互いに一番下の職持ちとなっておりその内上にまで来ると言われおります。 妹はすでに自分の好きな人と結ばれています。その人は自営を目指していますが結婚相手の親の名前を使って――と言うことのしない人です。
奥様の夫(なる予定だった人)の両親はすでに他界しております、父親も冒険者で動ける歳まで動いていたが自分で動く限界を感じ引退、引退後はギルドの後進育成に携わっていた。数年前にある事件で死亡、母親もその事件で負傷しそれが原因で事件の一年後に他界しております。
以上、設定が無駄に細かい小話でした
面白いと思っていただければ是非ブックマークと評価、感想をお願いします
ではでは。