表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ししょの備忘録  作者: ロキューノス
壱話目
2/6

2ページ

=2=


「どうも、こんにちは」

「ど、どうも」

「あ~聞きました聞きました、ご安心を」

「いや、あなたは誰ですか?」

「あ……そこですか、ご安心をギルド職員です。総合ギルド冒険課の整理課に所属しています」

「整理課……」

「はい。主な仕事は雑用と言いたいですが今私の多くの仕事は書葬と言われるものです」

「書葬ですか……?」

「はい、亡くなられた方を本に変え最後を送るというものです」

「ほ、本に!?」


 少し引いた顔をされた……


 まぁこの書葬を話すと毎回こんなもんだけど


「まぁ今回の問題はそこでは無いですね。今回のアヤトさんを書葬しませんか?という話をさせてください」

「はい?」

「困惑は分かります、まずは話だけでもお聞きください」

「は、はい」

「書葬は魂を本に封じるものでなく体とそこに残る魂の、意志の残滓を本に変え世に残すものです。多くのがこの話をすると忌避的な反応をなさいます。まぁ確かに分かりますが最後にまで死者に口無し。それはあんまりじゃないですか? 最後の意志をアンデッド……魔物にしてしまったり焼いて灰に帰してありがたむのもそれは1つの送り方と思いますが私は最後に死者の言葉を、願いを聞きたいと思うのです。まぁもちろんそんなものが正しいとは言えません、これは生きている者のエゴ100%と思っていいと思います」

「……今回に関係しますか?」

「はは、まぁ細かい話をしてもそこが重要ですよね、はい関係します。この書葬は体の1部があれば行えます」

「え!?」

「今のままでは現場証拠があって少ない遺品が運よければ手元に来ます。ですが彼の……アヤトさんの最後の状況を詳しく知るなんてことはもう無理だと思います」

「ッ! なんで笑顔なんですか……あなたは!」

「いえ、これは癖なんです」


 あぁ……またやってしまったな


 目の前の女性が胸ぐらを掴んで揺すってきた


「はい!?」

「私も大切な人の死を目の届かないところで失いました。あの時の底のない感覚は今でも肝が冷えます」

「………」

「それから私は親族を転々と回されました。はは、いつまでも泣いてなんかいられなかった…」

「……」

「感情を出さないでゆっくり普通に~なんて思っているうちに悲しい感情が出ようとすると自然と張り付いたような笑顔が出るようになってしまいました」

「ご、ごめ――」

「大丈夫です、謝らないでください。この癖は良くないものですから」

「……すみません」

「話を聞いてもらっても?」

「はい」

「では、この書葬で重要なのは魂と体。ただし、体に関しては一部でも行えるとわかっています」

「つまり?」

「つまり、今ダンジョンでどんな惨殺現場になっていてもアヤトさんの体の1部があれば書葬が行えます」

「惨殺……」

「はい、そこに関しては確実に近いです」

「な、なんでですか?」

「一部が残れば人の魂がそこに宿るからです。そうなると魔物達に有利な魔力が多くの放出され循環して魔物達に利益が出る。それはあいつらは自然と学ぶんですよ」

「……ぅぅ……」

「依頼を出して下さればギルド職員として私が動きます」

「え?あの……ダンジョンのランクが上がって入れないみたいな……」

「まぁ私はギルド職員なので」

「……」

「………」

「お願いします」

「わかりました。では、依頼料の話をしましょう」

「お金ですか」

「はい、ここは下がれませんから。え~まず、私に入るのが大銀貨1枚、ギルドに紹介金等を含めて大銀貨1枚、国への報告書紙、特殊インクの料金諸々で銀貨15枚、その他を含めて……はい、合わせて大銀貨3枚ですね」

「うっ……」

「……足りませんか?」

「いえ、かなりの痛手になるな……と」

「まぁそうですね……まぁゲスい話だと書葬は他の送り方と比べると安いのですよ」

「そうなんですか?」

「ええ、詳しく知られてないことが多んですが個人委託の送りをする火葬で金貨25枚、埋葬で大金貨3枚ほどかかります。えっと……普通の仕事に就いて生涯に稼ぐのが大金貨30枚と言われてます。このほとんどが生活する内にほとんどを消費してしまうまぁそこに漬け込んでるなんて言われることがありますけどね」

「正直思ってしまいます」

「いえいえ、よく思われたり、直接言われたりしますから。なので辛い時もありますけど送ることも命懸け、お金に結果が欲しいものですから」

「はい、大丈夫です。払います。あの人をお願いします」

「はい、では最後に契約書にサインをおねがいします」


 1冊の本を取り出し1ページを破りとる


「それは?」

「契約の魔本、ここに書かれていることを必ず守ると誓うためのものです」

「守らないと?」

「……ご想像にお任せしますが……まともな生き方が二度と出来ません」


 そう伝えると少しビクッとしたあと顔が曇りサインしようとしていた手が震え出した


「まぁしっかり読んでからの契約をお願いしますね」

「はい」


 とはいえここに書かれているのはそんなに酷いものでは無いんだけどね


 アヤトさんを書葬した物を持ち帰った時にしっかりと金を払うのを誓うだけだ


 これは大切ね



「契約完了です。では」

「あ、お、お願いします」

「はい」



◇◇◇◇◇



「いや……うん?」

「耳がないんですか?ちゃんと言いましたよ?」

「いや、聞こえているんだが何勝手に契約且つ依頼受けてんの?」

「どの道誰が行かないと行けないんでしょ? じゃぁいいでしょ」

「そういうことじゃねぇよ! ギルドに所属してるお前の勝手を許せないんだよ!」

「まぁまぁそこは甘く見てくださいな」

「お前な~……まずまず整理課は今のとこお前しかいないじゃないか、さっさと人員を確保しろ、それにだな」

「長い、いいでしょ?」

「はぁ……」


 目の前禿げ頭は総合ギルド冒険課のまとめ役


 まぁ私の上司ですね


 一応


「そのため息は肯定でいいですね」

「護衛をつけないとな」

「必要ないですよ」

「ちっ、護衛じゃねぇよ調査員、ちゃんとした!」

「まぁわかってますがちゃんと言葉にしてくださいよ」

「お前な……」

「別に私も調査員の資格持ってますよ?」

「経験させないといけないだろうがダンジョンのランク調査なんて数年あるかないか、調査の実地をさせないとあとの時代の奴らが困る」

「あなたも丸くなりましたね」

「うっさいわ」

「1名にしてくださいね」

「お前なら3人はいけるだろ」

「ふふ、私の勘ですよ……2人死んでも良いならどうぞご勝手に」


 そういうとこっちの真意を覗くようにジッと見てくる


「わかった、その1人ならいいんだな」


 少し投げやり気味に言ってきた


 まぁそうならないと困るんでね


「難易度上がりますね」

「頼んだぞ」

「了解です」



◇◇◇◇◇



「あのぅ……」


 金茶色の髪の短髪の男


 歳は18~20くらいかな


 報告にあった記録通り今回付いてくる子だな


「はい」

「あ、はい、総合ギルド冒険課調査部所属のニノと言います。今回の『狼の魔回廊』の適正ランク調査の同行の件についてです」

「あぁ……うん、え?なんでそんな緊張してんの?」

「い、あ、調査は命懸けと聞いていて……」

「あ~そういう事ですか」


 確かに調査は命懸けだな


 普通の場合は斥候部か従魔部がマッピングし直しダンジョンそのものの変化変動を調査


 その後元々のダンジョンに入るとことの出来るランクの冒険者からかなり上のランクの冒険者を雇い調査員を派遣する


 そして適正ランクをつける


 冒険課として大きな仕事の1つだ


「今回はよろしくお願いします」

「はい、じゃあ明日行くからまた明日ね」

「え゛」

「じゃあ仕事しないとだからじゃあね」


 そう言って緊張で固まっている少年を置いて外に出た


 一応明日の準備は必要だからな



壱話は更新頻度高めにして弐話目以降はゆっくりという気持ちでいこうと思っていたけど壱話の終わりがまだ書けてないじゃんという最初の点に気づきました、どうも。ロキュです。


次は戦闘? をしますね、まぁメインをそこに置かないように頑張っていきます。


非常に長い目で……開いてないでしょと人に言われるくらいまで細長くした目でゆっくり見てください!


ではでは。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ