表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ししょの備忘録  作者: ロキューノス
壱話目
1/6

1ページ

二本目です。よろしくお願いします

=1=


「『我、汝の最後の存在を見るものなり、力果てし汝の記憶をここに記せ』『録葬』」


 目の前に光が降り人の形が次第に小さくなり本の形をとる


「あぁ……あなた……」

「これで書葬は終わりとなります。こちらの本には亡くなられた方の全てがここにあります。規定によりこちらを1度こちらで引き取り封印を多重に施した後にお返し致します」


「はい、ありがとう……ございます。母さん」

「すみません……ありがとうございます」



 人はいずれ死ぬ、その時はいつになるか分からない


 仕事の最中に事故で


 大切な人と暮らしている中に落ちる不幸で


 冒険者として過ごす中で突然相手が強くなり死んでしまう


 もう会うことが出来ないそれが死ぬということ


 死んでしまうと人の記憶から落ちていく


 大切に思ってくれる人でも掠れていく

 記憶は美化され真実が落ちていく

 他人からはすぐに記憶から落ちて積もる


「それでは細かい点についてお話させていただきます」

「はい」


「まず封印についてですがこれを施すことでこちらの本を開けることができないようになります」

「開けられなくなるのですか?」

「はい、こちらの本は今回亡くなられた方の全てが載っております。あの時のこうすれば、いや、こっちで、と心の中の部分も書かれていたり自分とは違った視線での話があったりします。ここで問題となってしまうのが心の奥底の潜在思考が出てしまうことです。多くの人が自分のみに留めておく秘密を持っていますそこを死んだから知っても良いよね。などと言うのは生きている人間のエゴです。そこでそれを秘匿しさらにアンデッド化を防ぐという点で封印処置をさせていただきます」


 これはとても大切、死んでから結婚相手の本当の心を知ってしまって愛に飢え結果後追いをしたなんて話もあれば


 死んだ奥様が隠していた株がすごいことになっていて奥様の死を踏みものにするなんてこと


 よそに愛人を作っていてそれがバレて大騒ぎなんてこともあった

 いや……あの時は大変だった……


「じゃあ……もう親父のことを思い出を見れないってことですか?」

「いえ、まぁこれは思い出という物でもないんですがこの本に触れば顔を思い出せます、これが他の死者の送り方と違う点なんですけど」

「司書さん、あなたはこの本を読めますか?」


 亡くなられた方の奥さんが泣き崩れそうな顔で聞いてきた


「病気の中何を思っていたかを知りたいということですか」

「……はい」

「それについて喋ることは法に抵触してしまいますし私もそれを行うべきではないと思います。人の苦しみをありありと乗っているのがこの本ですから」

「……」

「ですが、最後の願いを叶えるのも私の仕事だと思っています。」

「え?」

「『汝、最後の願いをここに』」


 本が宙に浮き、表紙に横に1本の線が走る


『………………アニシヤ、カナト』

「ッ!? あなた!?」

「お、親父!?」


 死者に口無しはよく言われることだが


 口があれば最後の言葉を言える本当に最後の言葉を


『時間はないみたいだな、すまなかったなお前を残して死んでしまって』

「そ、そんなこと……うっ、うぅぅぅ…」

「親父……母ちゃん」

『俺は最後に言えなかったことが気がかりだったけどこうして言えるのは嬉しいものだな』

「母ちゃん、親父の最後の言葉を聞こう」

「う、うぅ、うん」

『ありがとうな、俺は仕事に必死で家族を顧みなかった、仕事仕事で色んな苦労をかけて最後は病魔が来た、最初は天罰だと思ってたよ、次第にあぁ、終わるんだなって思った時に家族に自分のエゴでも良いから感謝を言いたかった。でもその時にはもう遅くて喋ることが出来なかった。お前達には苦労をかけた、すまなかった』

「ん゛~、ん゛ん゛ん゛~」

「親父……正直親父が病気で倒れるまで親父のこと尊敬もしてなかった。俺たちを見ないで仕事仕事仕事仕事、でも親父が倒れてから親父のやってる仕事がわかって少し調べたんだ。そしたら家じゃ糞野郎って思ってたのに外じゃもっと酷い連中と関わって国のために動いてるってわかって、凄いストレスのかかる仕事だって知った、多くの人が家族に当たったりしてるって知った、なのに1度もそんなことなくて凄いと思った。俺、今親父みたいになりたくて頑張ってるんだ。まぁなれるかどうかはわかんないし親父みたいになんかなれないかもしれないけど」


『ふふ、なれるさ。死んでからこんなにも嬉しいことを知るなんてな……生きていればお前の晴れ姿を見れた……のか』


「そろそろ時間ですね」

「うっ、うぅぅぅ」

『アニシヤ、カナト。愛し……てるよ。司…書さん、ありが…とう……ござ…ました……』


「うぅぅぅ……」

「親父……」


「お疲れ様でした」



 人の死の送り方は幾つかある


 火葬


 土葬


 樹木葬


 海送り


 いくつもあげられるが……


 さて、この魔の満ちる世界人の意思1つで天災のようなことを起こせてしまう世界


 死んだ人の未練が魔に干渉しないと誰が言えるのだろうか


 だが現に火葬、土葬、樹木葬、海送りと言うものは存在する


 まず火葬

 

 聖炎と分類されるものにて骨まで焼くという方法がある


 なぜ骨までか、それは骨に意思が宿ってしまえばそれで魔物の完成だ


 全てを浄化し、灰に帰す


 これによって火葬はなる


 次に土葬


 人を埋める、まぁすぐに思うだろうが意思があればゾンビになる


 まぁ普通に考えて筋肉が腐って無くなれば歩けないがそこは魔が補填するのだ


 人を埋めてゾンビが闊歩する世界を誰が望むのだろか


 そこで活躍するのが魔物から稀に落ちるとされる『聖魔の核』と呼ばれる魔核を一緒に埋め『聖土』に分類される魔法で周囲を変えることでゾンビ化を防ぐ


 これによって土葬はなる


 樹木葬は聖属性を持つ木の周りに埋める土葬の1つで種から行うことが多い


 先にあげる2つより負担が少ないように思えるが見かけだけである


 聖属性の木そのものがまず見つからない


 そこから種を採るのはさらに難しい


 聖属性の木は30年に1度しか種を成さない


 更に当然ながら種が人の手に届くところに成るとは限らず鳥類に食われることもある


 火葬、土葬は人の手だとすれば樹木葬は自然に頼るもの必然的に樹木葬を行なう者は少ない


 海送りは基本的に違法とされている


 アンデッド化を防ぐ方法が確立されていないためである


 唯一海に生きる者と国に認められた人間のみできるだけの対策をし送ることが許されている



 ここは総合ギルド冒険者課整理部



 総合ギルドは商業課、冒険課、魔法研究課、運搬課の4つを基本に細かく各課で分かれている


 王国内に5つしか設置されていないが各課で支部を出しておりいちばん多いのが運搬課


 1番少ないのが魔法研究課


 冒険課は2番目に多く支部を持っている



「ですから先程申し上げた通りにアヤト様の登録印がこちらにありまして、同じパーティだった方々が仰られた証言により死亡が認められたため我々が動くことは出来ません」


 受付の人と若い女の人が話し合っている


 いやまぁ、普通に話している訳では無いが

 

 周囲の冒険者の人達が相談に来ている女の人に加わるように見ている


 受付嬢の人もその視線を感じながら丁寧に話している


「あれはどうしたの」

「あ、おかえりなさいませイブキさん」

「あぁ、ただいま」


「あれですよ、2日前にAランクパーティの『銀の隼』が依頼失敗で帰ってきたじゃないですか」

「あ~あれか、確か討伐依頼と回収依頼のやつですね、冒険者の死亡事故にダンジョン変化の事件」

「そうです、今あのダンジョンの適正ランク調整があって冒険者の皆さんを派遣できないじゃないですか」

「そうだな、原則として行けるのはギルド職員のみですね」

「そですね、まぁ問題は」


「仲間の囮逃げですか」

「あ、知ってますか」

「その時近くにいましたから」

「あの女の方はその冒険者と恋仲の方で近々結婚の段取りを付けていたそうです」

「うわっちゃ」

「なんか反応古いです。まぁそんな人が囮になるわけがないとの講義でそれに他の冒険者の皆さんが反応してるって感じです」


 冒険課はパーティ内のことについて触れることはできない


 冒険者は基本に自由をメインとしている

 

 だが無法では世間に認められない


 それを取り締まるのは冒険課

 

 そこにルールはある


 その1つとして冒険印の有無だ


 冒険者に冒険課は個人認識の可能な冒険印を渡す


 それの権力として正確な実績や渡航歴その他色々なことを知ることが出来る


 そして重要なことに冒険印が冒険課に所属するということになる


 つまり死亡時に最後まで面倒を見る、死体を遺族の元まで連れてくるということだ


 冒険課の中にそれを専門とする部隊と部所があるがここで1つの問題がある


 ダンジョンにて突然ランクの変動が起きることがある


 その時パーティ内の誰か1人が囮ーー殿軍として残る


 小を捨て大を得る


 という行動をとる事がある


 これに関して言うと需要なのが冒険印を仲間に託し最後の言葉を遺族に言ってくれという美談めいたことを行うのだ


 そうして帰ってきたもの達を冒険者は暗黙として誰も責めない


 が今回の件は問題がある


 こうした事例の中に故意的に囮にされるということがある


 冒険者は自由を愛し信頼が大切である


 そんな中大切な仲間を裏切るようなことを行う者を許しはしない


 だが正直に言うと冒険課はこれに加担できないなぜならルールに乗っ取らず勘でそのパーティを判断するに近しいからだ


 まぁそんなことを言っても裏道としてその遺族にその話を通して依頼を作ってしまうということも出来なくないんだが


「なぁ! 俺たちを行かせろ! 十分にあそこの適正ランクを超えていた、多少上がったとこで関係ない!」

「そうだ、アヤトは後方支援職だ殿軍なんて出来るやけもないことをあいつがするとは思えねー」

「今は別れたとはいえ昔パーティだったんだよ! 最後に恩返しさせてくれ!」


「ですから! 今こちらも早急にダンジョンの対策を取っていまして協議してるのです」


「俺たちがランク調査するから依頼を出してくれよ」

「ここで出してこそだろ!」


 まぁ受付嬢からしたら板挟みなんだよなこれ


 冒険課も今回の件は怪しいと踏んでいる


 もし仲間を見殺しにし逃げかえったとするならば冒険課の規律違反だし


 そもそもご遺体を連れてきたいもんですが


「はぁ…」

「どうするんですか?」

「面倒ですが私の依頼になりそうです」

「え!? 本当ですか!? そうなるとこっちの負担が減りますね~」

「あの内心キレ気味嬢に耳打ちしてきてください。整理課に通すようにと」

「はい!」


ビシッと音がなりそうな綺麗な敬礼をしている



この話が何かと丸かぶりじゃ無いか不安の中真っ只中です。


この話が面白いと思っていただければ是非ブックマークと評価、感想をください


これ丸かぶりですよみたいなのも早めに教えてください、ああコワイコワイ


ではでは。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ