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履修E  作者: 馬の頭
7/10

知的財産法B

2019

<<出題意図、講評>>


Ⅰ 正誤問題 5題

 著作権法の基本的な論点を理解できているかどうかを問う問題を出した。多くの答案が根拠条文、理由づけともに良く書けていた。


Ⅱ 論述式 1題(小問3問)

 小問1では、著作者の権利の帰属、公表権の侵害の成立要件、公表権の制限規定の成否について、基本的な論点を理解できているかどうか、事例問題に当てはめて適切な結論を導くことができるかどうかを問う問題を出した。著作者の権利の帰属の検討を抜かしている答案が多かった。また、著作者人格権の侵害の成否ではなく、著作権の侵害の成否を検討している答案もみられた。問題文をよく読んで答えるようにしてほしい。

 小問2では、美術の著作物の原作品の所有者がその展示に際し小冊子を作成、配布する行為の著作権侵害の成否について、基本的な論点を理解できているかどうか、事例問題に当てはめて適切な結論を導くことができるかどうかを問う問題を出した。小冊子の配布行為が譲渡権の侵害にあたるかどうかの検討を抜かしている答案が非常に多かった。

 小問3では、美術の著作物の原作品を屋外の公園で常設展示する行為の著作権侵害の成否について、基本的な論点を理解できているかどうか、事例問題に当てはめて適切な結論を導くことができるかどうかを問う問題を出した。この問題については、比較的よく書けている答案が多かった。


*試験問題と解答・解説・講評をe-classに掲載しているので、受講者は必ずそちらを見てほしい。


2018

授業内評価(期末試験) 


<出題意図>

Ⅰ。正誤問題 8題

 著作権と所有権の違い、二次的著作物に対する原著作物の著作者の権利、実演家の録音権、同一性保持権、応用美術、上映権の制限規定、輸入に関するみなし侵害、著作権侵害の主体の問題について、基本的な論点を理解できているかどうかを問う問題を出した。


Ⅱ。 論述式 1題

  法人名義であるため存続期間の起算点が公表時となる著作物(著作権法53条)について、継続的刊行物である場合の公表時(著作権法56条)、二次的著作物の著作権の存続期間、抽象的キャラクターの著作物性など、基本的な論点を理解できているかどうか、事例問題に当てはめて適切な結論を導くことができるかどうかを問う問題を出した。「ポパイ・ネクタイ事件」判決(最判平成9年7月17日民集51巻6号2714頁)と同様の事例であり、多くの論点を抽出し、論理的に叙述することができるかを問うた。


<講評>

 Ⅰ。正誤問題は、小テストで出題し解説した問題と同一の問題については、小テストを復習していた人にとっては易しかったようで、よくできていました。しかし、それ以外の問題については、持ち込み条文を見ているにもかかわらず、問題の事案とは異なる条文を適用している解答が目立ちました。条文を正確に読み、事案に適切にあてはめるという基本を身に付けてください。


 Ⅱ。論述式問題は、授業で何度も解説した「ポパイ・ネクタイ事件」判決(最判平成9年7月17日民集51巻6号2714頁)と同様の事例だったので、授業できちんと勉強していた人には易しかったはずです。論理の順序として、まず、Xが著作権を有するかが問題となり、職務著作の要件(著作権法15条)を満たすことを簡単に述べる必要があります。次いで、法人名義であるために、存続期間の起算点が公表時になること(著作権法53条)を述べなければなりませんが、この出発点を述べていない答案が非常に多かったです。法人名義でない場合は、原則通り著作者の死後50年(著作権法51条2項)になり、継続的刊行物の公表時(著作権法56条)も何ら問題になりません。

 また、漫画の主人公の名前のみを利用することは、抽象的キャラクターの利用であって、著作物(著作権法2条1項1号)を利用したことにはならないことも論じなければなりません。存続期間の問題とは別の論点ですが、上記「ポパイ・ネクタイ事件」でも同じく問題になった著名論点です。

多くの論点をきちんと拾い、論理的に順序立てて論じることが求められました。よくできていた人もいましたが、大きな論点をすっぽり落としている答案が多く見られました。


 なお、単なる暗記は意味がありません。なぜそうなのかという理由をしっかり理解する学習習慣を身につけてほしいと思います。解答・解説・講評・採点結果をe-classに掲載していますので、受講者は必ずそちらを見て、誤解をそのままにしないでください。

                                     以上


2017

<<出題意図>>

Ⅰ.正誤問題 8題

 職務著作、複製権と公衆送信権の侵害、映画の原著作物の著作権の存続期間、著作隣接権、映画の著作物と頒布権、公表権、演奏権について、基本的な論点を理解できているかどうかを問う問題を出した。


Ⅱ.論述式 1題

 公開の美術の著作物の利用に関する著作権の制限(著作権法46条)について、基本的な論点を理解できているかどうか、事例問題に当てはめて適切な結論を導くことができるかどうかを問う問題を出した。「路線バス車体画事件」判決(東京地判平成13年7月25日判時1758号137頁)と類似の事例であり、判決の事案と異なる点を検討し、自分なりに考えることができるかを問うた。


*試験問題と解答・解説・講評・採点結果をe-classに掲載していますので,受講者は必ずそちらを見てください。


<<講評>>


Ⅰ.正誤問題は、小テストで出題し解説した問題と同一の問題については、小テストを復習していた人にとっては易しかったようで、よくできていました。しかし、小テストの問題を若干変更して別論点も併せて出題した問題については、正答した人は極めて少なく、小テストとの相違点に気づかず誤った人が多かったです。問題文をきちんと読むこと、丸暗記ではなく自分で考えることを心がけてください。なお、理由は、実質的な理由を述べることを求めています。例えば、問題文に「要件を満たさない」と書いてあるのに対し、「要件を満たす」と書いても、理由を書いたことにはなりません。


Ⅱ.論述式問題は、授業で解説した「路線バス車体画事件」判決(東京地判平成13年7月25日判時1758号137頁)と類似の事例だったので、授業できちんと勉強していた人には易しかったと思います。バスの車体が、屋外の場所に「恒常的に設置」(著作権法46条柱書)という要件を満たすか、これを満たす場合は、同条4号の「専ら美術の著作物の複製物の販売を目的」にあたるかが論点となります。前者については、設例の事実は本判決の事案と同一で、この点を非常に広く柔軟に解釈したことで本判決は有名であり、その手法には賛否両論があることも念頭に置いて解答できると高く評価されます。後者については、本判決の事案が幼児用学習絵本であったのとは異なり、画集であり、4号に該当する可能性が高く、この点につき自説を説得的に展開することが求められました。よくできていた人も相当数いて結構ですが、何が論点なのかも分かっていない答案も散見されました。


 なお、単なる暗記は意味がありません。なぜそうなのかという理由をしっかり理解する学習習慣を身につけてほしいと思います。解答・解説・講評・採点結果をe-classに掲載していますので、受講者は必ずそちらを見て、誤解をそのままにしないでください。

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