税法2
2018
(1)本年度の「税法Ⅱ」のねらいは、納税義務の確定の手続に始まり租税争訟手続に至る一連の手続の概要を理解するとともに、この領域における重要で具体的な紛争を法的に処理する方法を理解することにある。設問は、全て論述問題である。事前に出題の傾向を予告したこともあり、また、問題意識を持って講義を聴いていれば、それほど難しいものではないであろう(問題の多くは、見解が分かれ、対立する争点を含んでいる)。今後も、講義を丁寧に聴き、理解を深めていけば良好な成績を取ることが可能といえそうである。講義を聴かない場合は、解答はかなり困難かもしれない。基本的に、講義で詳しく説明し、論じた問題から出題することに留意されたい。
(2)問題Ⅰは、制度の基本的な仕組みに関する理解を問うものである。問1は、納税者による更正の請求の制度を問うものである。原則として法定申告期限から5年可能である。問2は、納税者による選択誤りは、更正の請求の対象外であることの理解を求めている。問3は、一般に、修正申告は義務かどうかを問うものである。重加算税が課されるとする解答があるが、重加算税の要件を満たしていない。問4は、任意調査か強制調査かが重要である。問5については、概ね良好な解答状況である。問6は、取消訴訟の排他性を理解していることが求められる。今年度も、基本的な問題を出題した。総じて、的確で正確な解答が示されている。
(3)問題Ⅱは論述問題である。2問から1問を選択することを求めている。正確な知識があるかどうか、論理的な記述かどうか、対立する見解に十分な目配りをしているかどうか、が問題となる。対立する見解とその法的根拠をどのように考えるか、は解答の良否を左右する。非居住者から土地を購入する者の源泉徴収義務の履行の当否については、源泉徴収義務の法的性格、注意義務の存否をどう考えるかが主要な論点となる。課税処分取消訴訟と還付金の処理の問題については、課税処分取消訴訟の意味と法効果、相続税の課税対象と課税時期をどう考えるかが主要な論点となる。
2017
(1)本年度の「税法Ⅱ」のねらいは、納税義務の確定の手続に始まり租税争訟手続に至る一連の手続の概要を理解するとともに、この領域における重要で具体的な紛争を法的に処理する方法を理解することにある。設問は、全て論述問題である。事前に出題の傾向を予告したこともあり、また、問題意識を持って講義を聴いていれば、それほど難しいものではないであろう(問題の多くは、見解が分かれ、対立する争点を含んでいる)。今後も、講義を丁寧に聴き、理解を深めていけば良好な成績を取ることが可能といえそうである。講義を聴かない場合は、解答はかなり困難かもしれない。基本的に、講義で詳しく説明し、論じた問題から出題することに留意されたい。なお、論点について判決がどのように述べているかを示すのみでは、十分ではない。判決は法律と同じ法的拘束力を持つものではなく、また、税法に関する判決には事例判決が多く、問題のある判決もないではないからである。批判的で多面的な視点が求められる。
(2)問題Ⅰは、制度の基本的な仕組みに関する理解を問うものである。問1は、納税者による是正と課税庁による是正の両面(納税者による修正申告と職権による増額更正処分)に触れる必要がある。問2は、特別の更正の請求の問題である。問3は、それぞれの調査の目的および任意性の有無の違いである。問4は、実額は推計を破ることを認めるかどうか、その根拠は何かが基本である。問5については、取消訴訟の存在理由をどう考えるかを問うている。問6のつまみ申告への重加算税の賦課の当否については、感覚論ではなく、明確な法的根拠を示すことが求められる。今年度は、とりわけ基本的な問題を出題した。総じて、的確で正確な解答が示されている。
(3)問題Ⅱは論述問題である。2問から1問を選択することを求めている。正確な知識があるかどうか、論理的な記述かどうか、対立する見解に十分な目配りをしているかどうか、が判断の基準である。とりわけ、対立する見解とその法的根拠をどのように考えるか、が基本的に問題となる。この論点を中心に論じるかどうかが、解答の適否を分けることになる。第二次納税義務の問題については、国税徴収法の当該条文の正確な読み方が問われる。課税処分取消訴訟と還付金の処理の問題については、課税処分取消訴訟の意味と法効果、相続税の課税対象と課税時期をどう考えるかが主要な論点となる。