No.01 ~朝~
転生、それは死が訪れたものが歩むことができる第二の人生。
ある時は神より授かりし異能力により最強になり、ある時は転生前の知識や知恵を生かして世界を救い、ある時は……
「はや…お……、おき…さい」
(誰だろう――僕を呼ぶ声がする。もしかして――神様?僕もようやく転生でき……)
「早く起きて!裏兎!」
「うわぁ!ごめんなさい神様ぁ」
「何寝ぼけているの、さっさと起きなさい。2学期始まったばかりなのに遅刻しても知らないからね!」
そういってお姉ちゃんはさっそうと部屋を出ていった。
「あー、だるい…眠いzzz」
正直、学校なんてどうでもいい。動きたくない。
転生できないのなら一生小説だけ読んであとは寝ていたい。それほどまでにとてつもない眠気と気だるさが僕を襲う。
僕は小説が大好きだ。
特に今は主人公が転生して別の世界で大活躍する『主人公最強』、つまりファンタジー世界の"神"もしくはゲームの世界の"ゲームマスター"的な存在にユニークスキルを与えられ、その世界で富も名声も手に入れる。
ベテランプレイヤーが低レベルのクエストをクリアするような、主人公の勝利が約束されたお話が最近のマイブームである。
しかし、いくら主人公が最強だからって敵が弱すぎてはヌルゲーだ。一瞬でも気を抜いたほうが負けるような、ギリギリでかつ迫力のある戦い。
敵に圧倒され窮地に追い込まれてしまう主人公だが、最終的には大逆転勝利。僕はそんな転生を題材にしたライトノベルが大好きなのだ。
それゆえ、一度小説を読み始めると圧倒的集中力が働き、よほどのことが起きない限り僕の集中力が途切れることがない。まぁ、そのせいでいつも夜更かしをしてしまうのだが、楽しいから気にしない。
僕はぼーっとしながらも、昨日見たラノベの話を思い出しながら妄想にふけっていた。
完全に目が覚めたのはお姉ちゃんが起こしに来てから三十分ほどしてからのことである。
「やばっ、もう七時二十分!?」
僕の家から駅まで十分ほど歩いて電車で五分、二駅目で降りて駅から出ると目の前に見えるごく普通の学校、それが僕の通う公立の学校。神有高校だ。
この高校は中高一貫校で近くに小学校もあるためクラスメイトは皆、幼い頃からの付き合いである。
いつものように教室に入り椅子に座ると、いかにも頭の良さそうなメガネ男が話しかけてきた。
「おはよう、裏兎。早くカバン片付けないと、HR始まっちまうぞ」
「大丈夫だって、いつもどおり間に合うさ。ところで氷堂、シャーペン貸してくれない?」
「新学期始まったばかりなのにもう忘れ物か、どうせ小説読んで気づいたら寝てたとかいうオチだろ?」
「まぁな、面白くてつい…」
このメガネ男が氷堂 月、僕の保育園の頃からの親友だ。最近は席が近いことが多いからか学校では大抵こいつと無駄話をしていることが多い。
「あ……数学の教科書も忘れた…」




