小説家になろう読者にも読んでみてほしい文学作品4―坂口安吾『無毛談――横山泰三にさゝぐ――』【毛が生えなくとも、悲しむべからず】
このハゲー!!
もうすでにちょっと懐かしいネタですが、今回は薄毛に関する坂口安吾のエッセイ(?)をご紹介したいと思います。『無毛談――横山泰三にさゝぐ――』という作品です。
この作品、安吾自身が若い頃から薄毛に悩んでいた心情なんかをユーモラスに書いていて、読んでいると、くすっと笑えるお話です。額からのハゲは「ハゲ型としては上乗」だけど「本人の目に見える弱点があり」、頭頂部のハゲは「見た目にカンバシカラヌ最下級品であるけれども、本人の目には見えないという強味がある」とか。
私が特にツボに入ったのは、「男の方はまだいゝのだが、アラ、おハゲになってるわネ、などゝ女の子に言われるのは、五臓六腑に、ひゞく」という部分です。「おハゲになってるわネ」というパワーワード。絶対に言えないけれど言ってみたくなります。
作品の前半はタイトルにもある友人の横山泰三のハゲいじりと安吾自身のハゲネタで、途中から安吾の家にいた女中トン子の話になります。そこでハゲネタが終わったと思って読むのをやめるのは非常にもったいない! 薄毛にお悩みの方もそうでない方も、ぜひ最後まで読まれることをおすすめします。