小説家になろう読者にも読んでみてほしい文学作品3(番外編?)―中国の民間説話『梁山伯と祝英台』【男装女子の恋の話】
文学作品と言っていいものか迷いますが、今回は『梁山伯と祝英台』をご紹介したいと思います。読んでみてほしいというか、こういうお話があるということを知ってほしいな、と。
この『梁山伯と祝英台』は中国の四大民間説話の一つとされています。ちなみに他の三つは『白蛇伝』『孟姜女』『牛郎と織女』です。日本で有名なのは『牛郎と織女』つまり七夕の伝説くらいで、その他の話はあまり知られていませんよね。ですがこの『梁山伯と祝英台』は「中国版ロミオとジュリエット」と言われるくらい有名な、悲恋のお話です。
民間説話なので、現在伝わっている話は細部が異なる様々なバージョンがあったりします。自分の知っている話と違う、と思われる方もいるかもしれませんが、ざっくりとあらすじをご紹介します。
昔、祝英台という女の子がいた。英台は詩を作ったり本を読むのが好きで、学問をしたいと思っていたが、当時女子が外に出て学問をするなどということは許されないことだった。
そこで英台は男装し、杭州へ向かう。その途中、同じく杭州へ遊学に行こうとしている梁山伯と出会う。二人は意気投合し、それから三年間一緒に学問に励んだ。共に過ごすうちに英台は山伯を好きになるが、山伯は英台が女であるということに気付かない。
山伯は家に戻った英台を訪ねた時にようやく英台が女であると気付き求婚するが、その時には英台の父親がすでに結婚相手を決めてしまっていたため、二人の結婚は認められなかった。
落胆した山伯は病気になって死んでしまう。それを聞き悲しんだ英台は、輿入れの時に山伯の墓の前を通ってほしいと要求した。
輿入れの当日、英台たちが山伯の墓の前に差し掛かると、突然雷が鳴り、雨風が吹き荒れる嵐になって、山伯の墓が裂けパッカリと穴をあけた。英台がその穴に身を投げると、穴は閉じ、嵐もピタリと治まった。
その後、山伯の墓の辺りに、二匹の蝶が仲良く寄り添って飛ぶ姿が見られるようになったという……。
と、こういうお話です。
前から思っていたのですが、女の子が男装して全寮制の男子校に入る、みたいな、なんというか、イケメンパラダイスが始まりそうな設定だなあなんて。あのドラマは見ていませんし、漫画も途中までしか読んでいないんですが。
この話の原形は晋の時代に成立したらしいので、今からおよそ1700年前の話です。人の感性って、変わる部分もあるけれど、変わらない所もあるんですね。
最後は悲劇に終わりますが、途中まですごくラブコメしそうな雰囲気があると思います。梁山伯は、三年も一緒にいてなぜ祝英台が女の子だと気付かないのか。気付けよ。
まあ、異性装モノは気付かないのが定番なのでしかたありません。
ちょっと思い付いたのですが、祝英台に転生した主人公がバッドエンドを回避するために自分が女だと梁山伯にわかってもらおうと奮闘する話とかどうでしょうか。どんなに頑張っても鈍感難聴系の梁山伯が手強すぎる、みたいな。当て馬の馬文才(後に英台の父が決めた結婚相手)は、早々に英台が女の子だと気付いて興味本位でちょっかい出してくるけど、いつの間にか本気になってしまうわけですよ。
こんな話があったら絶対読むんですけど、誰か書いてくれませんかね。元ネタがマイナーすぎてなんかシュールな感じがしなくもないですが、駄目でしょうか。