小説家になろう読者にも読んでみてほしい文学作品1―芥川龍之介『桃太郎』【昔話パロディ】
文学が好きです!
ということで、文学にまつわるエッセイを書いてみようと思います。
夏目漱石、芥川龍之介、太宰治など誰もが知っている文豪の作品を中心に近代の日本文学作品について語ったり、時には漫画の話、また時には学生時代の思い出なんかを思いついた時に書いていくつもりです。
文学というとなんだか堅苦しくて難しそうなイメージで敬遠される方もいるかもしれませんが、もっと気軽に触れてみたら意外と楽しめるのではないかと思うわけです。
このエッセイも筆者の好きなことを好きなように書いているだけですので、お気軽にお読みいただけると幸いです。
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さて、第一回目は「小説家になろう読者にも読んでみてほしい文学作品」ということで、軽く読める文豪の作品をご紹介したいと思います。
ご紹介する作品は、芥川龍之介の『桃太郎』です。
芥川龍之介といえば日本人なら誰でも知っているでしょう。『羅生門』『鼻』『芋粥』『杜子春』『蜘蛛の糸』……と、有名な作品を挙げれば切りがありません。本当に素晴らしい作品ばかりですよね。作品も好きなんですが、私はミーハーなもので、中学生の頃「芥川カッコイイ!」とか言って図書室に飾ってあるポートレートをなんとか貰えないかなんて考えていたのも良い思い出です。
とまあ、それは置いておいて。
ご紹介する作品『桃太郎』についてです。
内容を端的に説明すると、昔話『桃太郎』のパロディです。桃から生まれた桃太郎がお供の犬、猿、雉を連れて鬼が島に鬼退治に行くあの話です。
検索したら「小説家になろう」にも『桃太郎』をモチーフにした作品は結構ありました。現代版やファンタジー版など、皆さん色々と趣向を凝らしていらっしゃいます。
では文豪・芥川龍之介版はどんな『桃太郎』かと言うと、極悪非道な桃太郎が平和を愛する心優しき鬼達を虐殺するという、大変シニカルでブラックな話になっています。
歌ったり踊ったりすることが好きで、楽園のような鬼が島で人間と変わらないような生活をする鬼達。鬼のおばあちゃんは孫に人間の恐ろしさを語り、悪戯をしたら人間の島へ送ると戒めます。
そんな優しい鬼達が住む鬼が島へやって来た桃太郎達がやった残虐行為といったら、読んでいて気分が悪くなるくらいです。
いや、本当に桃太郎が外道なんですよ。犬、猿、雉が黍団子を「一つください」と言うのに、桃太郎は半分しかあげないし。ケチです。
桃太郎が鬼が島に鬼退治に行った理由も酷い。なんなんですか、あれ。サイコパスですよ。
犬、猿、雉もお互い馬鹿にし合ったりしていて性格悪いし、桃太郎サイドが酷すぎます。
全くスカッと爽快な話ではありませんが、青空文庫にも載っているので未読の方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。短いのでさくっと読めます。やっぱり文体はきれいですし、作品の中に教訓というかメッセージ性もあって素晴らしい作品だと思います。