プロローグ
初めての投稿です。読みにくいところはあると思いますが、よろしくお願いします(*^ー^)
苦しい。体が動かない。
怪我をした足が熱を帯びている。全神経がその怪我に集中し、悲鳴をあげる。「痛い」と。
ああ。ついに俺も死んじゃうのかな。短い人生だったけど、波乱万丈、楽しかったな。
思わず右手に力がはいる。手の内にすっぽり収まった愛剣の存在を確かめるかのように。強く強く。
「何をしているの」
頭上から声が降ってきた。エレナの声だ。
「何をこんなところでへこたれているの。立って。敵はまだいるのよ」
「でもエレナ。俺はもう疲れたよ」
戦うことに、ではない。血を浴びながら生きることに、だ。
「疲れたのはあなただけじゃないわ。私もよ。セナもジークもオルビスもリーチェルもジャンも。アレクだって」
「……アレクの戦況は?」
「無事王都へ着いたそうよ。城は目の前ね」
「…そうか」
「だからあんたも頑張りなさいよ。途中で死んだりなんかしたら、絶対許さないから」
「…うん。それに約束だってあるからね」
約束は、果たされなければならない。たとえこの身が、地の一部になり果てようとも。
『この血は常に、カルディナ王国のために』
『そしてこの身は、アレク王子の御身のために』
再度右手に力をこめる。血塗れた剣を頼りに立ち上がる。
足はまだ痛む。けれど、きっともう大丈夫だ。
視界に光がとびこんできた。朝だ。