表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
FPS世界ランカーの異世界転移  作者: 白雪
1章 異世界転移
3/19

王都への道中② 初陣

「タクト、注意しろ、魔物の気配がする。それも複数だ」


「魔物だと?あ、ああ。わかった。戦闘の用意はしておこう」


俺は戦闘初心者だからな、銃があるが、リアルでは撃ったことはないからな……

こんな事になるなら、試し撃ちをしておけばよかった。


まあ、FPSをやっているといえ、銃を撃てるとは限らない、ということだ。


だが、3日前、この世界に転移した時から奇妙な違和感がある。言うならば、自分の体が自分の体ではないような。凄く体に力が漲る。


これなら、戦闘も試してみてはいいのではないだろうか。


そして警戒態勢になり数分後、狼の群れが出てきた。大体15匹ぐらいか。初陣でいきなりこの量か。厳しそうだ。


だが、ワクワクしている自分がいる。これは、異世界にきて初めての戦いだ。ワクワクするのも仕方ないのかもしれないな。


装備をショットガンであるQBS-09に変更しておいた。ショットガンがどこまで通じるかはわからないが、地球でも狩猟には使われているそうなので、効くと信じたい。


「来るぞ、タクト!計17匹だ!」


「おうよ!さて、いくぞ!」


そして俺はBAの時にやっているように、前に出て


ドパァァァン!


派手な破裂音をさせてトリガーを引いた。


それは狼の前の方にいた6体を一気に撃ち殺し、大量の血を撒き散らした。脳漿や臓物も撒き散らされている。


「オエッ……」


これは……キツイ。日本にいる時は血なんて殆ど見なかったからなぁ……だけど、ここで止まったら殺られる。横にステップして、もう一発。


バァァァン!


横にいた3匹を更に撃ち殺し、バックステップでその場を離れる。


「カール!頼むぞ!」


「お、おう!オラァァァァッ!」


カールは俺の身長程もあろうかという大剣を軽々と振り回して見せる。


なんだあれ、俺よりチートじゃねーか。

その大剣が始めの1体に加え更に3体の狼を切り刻み、残りは4体。


「そこから離れろ、カール!」


「おう、わかった!」


カールは4体を引きつけ、こちらにやって来る。

そして十分に引きつけたところで、カールが大きくサイドステップ。そのタイミングで俺は三度、トリガーを引く。


ドパァァァン!


至近距離でショットガンを撃たれた狼たちは、頭を粉々に砕かれ、血と臓物を撒き散らして倒れた。


「カハッ、オェッ……」


やはりグロ耐性はないから厳しいものがあるな……

俺の問題点はこれだな、早く慣れないと……


「タクト、大丈夫か?」


「あ、ああ……でも、なんとか勝ったな」


「そうだな……ってか、お前強いな!大半はそのジュウ?とかいう武器の性能っぽいが……」


「ああ。これが銃、それの一種のショットガンであるQBS-09だ。俺は他にも幾つかこういうのを持ってる。だが、俺はコイツを対人には使いたくないな……」


「そりゃ誰でもそうだ。俺もコイツで人を斬りたくはないさ。だが、自分の身を守るためなら、いつでも俺はコイツを振り抜くだろう。だから、お前も躊躇うな。自分の身を守るためなら、いつでもそいつを使えよ」


カールはいい事を言う。そうだ。俺はFPSの世界で、殺し合いしかしてこなかった。そして、現代社会に住んでいた俺には、「銃は人を傷つけ、殺めるもの」という固定概念がある。だが、この世界は違う。魔物が闊歩し、自分の身は自分で守らなければならない世界だ。なら、その固定概念は取り払わなければならないな。


「カール……礼を言う。サンキューな。少しこのままでいいのか迷ってたんだ」


「礼なんて言うな、小っ恥ずかしい」


「ははっ、カールらしいな」


「おう。それでこそタクトだぜ」


ここまで、カールに感謝しっぱなしだな。だが、カールが居なければ俺は路頭に迷っていただろう。感謝してもしきれないな。


「そうだ、魔物から魔石を取らないと」


「魔石?なんだそれは?」


「ん?お前、魔石取ってなかったのか?魔石ってのは、魔物の中に絶対一個入っていて、そのサイズで売値が変わるんだ。この狼はランク1だから大体1個500zだな」


ランク1でも500zか。ランクが上がるとやはり高くなるのだろうか。そのことをカールに聞くと、


「そうだな。魔石はランク1〜5まであって、ランク5の魔石なんて早々取れるようなものじゃない。で、魔石の売値はランクが1上がるごとに桁が1つ増えるぞ」


「は?桁が一つ増える?マジで?」


「大マジだ。魔石のランクが上がるってことは魔物も強くなるってことだからな。魔石の値段も高くなる。魔石は魔道具の燃料にも使われるしな」


成る程、需要と供給の仕組みか。よくわかった。


「よし、なら俺も回収するか。」


「よし、わかった。魔石は主に魔物の胸、心臓の辺りにあるぞ」


俺は装備をナイフのバヨネットに変更し、狼の胸を切り開く。すると、薄く紫色に光る石があった。これが魔石だろう。


「カール、これか?」


「おう。それだ。それを集めてくれ。あと、お前は空間魔法が使えるんだったな。魔石を抜いた死骸も放り込んでおいてくれ。その肉は旨いんだ。王都で売ってもいいし、自分で食ってもいいぞ」


そうなのか。いい事を聞いた。と言う事で、胸の魔石と共に狼の死骸もitemタブに放り込んでいく。それが終わってitemタブを見ると、

「ウェアウルフの死骸×17」とあった。この魔物はウェアウルフというのか。あと、「ランク1の魔石×8」とも。


本当にランク1なんだな……まあ、小遣い稼ぎにはなるだろう。


「よし、終わったな?なら王都に向けて出発するぞ?」


「おう、行こうぜ」


「よし、出発だな」


そうして俺たちは、王都への道程を進む。

QBS-09 ショットガン

中国北方工業公司ノリンコが2005年から開発し、中国人民解放軍が2009年に正式採用した半自動散弾銃。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ