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Memory2 変わった俺

【変わった日常】



ガチャン。


玄関を開ける音が聞こえた。長男たちが帰ってきたんだな。


携帯を見ると、午後4時すぎ。


<長男>「ただいまー。.... リオ~?」


俺は2階の自分の部屋で寝てる。一人だからちょっとだけ寂しかったりする。


長男たちは1階のリビングに行ったようだ。微かな話し声がする。何を話してるか気になった。



<俺>「いっ.... .... .... ?!!」


いきなり、ひどい耳鳴りに襲われる。かなり耳が痛くて力強く耳を押さえてしまった。


しばらく耳鳴りは続いた。





.... .... どのくらいたっただろうか。やっと耳鳴りが収まってきたが耳がまだ痛い。

熱が高いせいか再び強い眠気がきたのでそれに逆らわず寝てしまった。


暗闇の世界へ、一人落ちていくように....



今思えば、この時すでに悪魔に遭遇していたのかもしれない。


普通の日常だったはずなのに....




※※※※※※※※


1月3日 午前9時頃 .... 起きた。



.... .... .... んっ?.... あれっ?!


俺が寝始めたのが1日の夕方頃だったはず。

2日間寝てた?!




<俺>「.... .... .... .... ?!!」


何でだろう?周りがいつもより静かな気がする。微かな音は聞こえてくるが、何の音だかはっきりしない。


窓の外を見ると近所に新築が建つため、工事していた。

いつもなら、もの凄く大きい音が聞こえるのに.....



部屋の中に一人。俺は不安や恐怖を感じた。


どうしよう?何で聞こえないの?俺は今ひとりなの?


<俺>「誰か.... .... .... 兄ちゃん!」


泣きながら叫んだら、リオ(にい)が慌てた様子で部屋に入ってきた。


リオ兄の部屋は俺の部屋の隣にある。


<次男>「どうした?.... 怖い夢でも見たか?」


リオ兄は咄嗟(とっさ)に大きな声を出していたので聞こえた。


その声に、音に、俺は安心した。


<俺>「えっと.... .... .... 音がいつもより聞こえなくて怖くなっただけだから。.... .... その.... 」


うまく説明できなくて、そんなことを言ったらリオ兄が驚いたような不安なような表情を見せた。


この時はまだ、その表情の意味がわからなかった。


<次男>「兄貴(長男)、ちょっと来てくれ。」


長男を呼んでる声が聞こえた俺は戸惑いながらも布団の中から出た。


<長男>「どーしたの~?お漏らしでもしたか~(笑)」


大きな声でそんなこと言うな。お漏らしなんかしてねーし。俺はそう思いながら心の中でツッコンだ。


長男は、いつものんきでマイペースだ。



次男と長男が部屋に入ってきて、リオ兄(次男)が不安そうな表情をしていたので長男が、


<長男>「どうした?はっきり言わんとわからないよ。」


<次男>「.... .... リュカが.... 音が聞こえにくいって.... .... 」


長男は驚いた表情で俺の方を見てきたので、俺は

<俺>「なに?... 」


と聞いた。長男はしばらくの間、なにかを考えているように見えた。


次男は俺の隣に座り、

<次男>「いつから聞こえにくいの?」


<俺>「えっと.... わからないけど、さっき起きたときにいつもより静かだから。」


次男は困ったように長男の方を見ていたが、長男はいきなり、

<長男>「とりあえず、病院に行くぞ。」




.... .... .... はっ??えっ?


<長男>「リュカ、すぐ着替えろ。」

そう言いながら長男は1階におりていった。


<俺>「何で?.... 何で病院いくん?嫌だ。絶対に行かない。」

この時の俺はことの重大さが理解できなかった。


<次男>「いいから、早く着替えて。俺も一緒に行くから、大丈夫。」


泣きそうな俺をなだめるように次男は言った。

嫌々ながらも、着替えた俺はリオ兄に手を引かれながら外に出た。


<長男>「早く乗って!」


俺とリオ兄は急いで車に乗った。小6の俺には何がなんだかわからず、不安な気持ちでいっぱいだった。


三男の蓮桜(れおん)ことレオと、五男(俺の双子の弟)の龍輝(りゅうき)ことリュキはお留守番。



20分くらいして病院についた。


俺が車から下りるのを渋っていたら、


<次男>「大丈夫。」


仕方なくおりた俺は恐怖心からか、リオ兄にしがみつくようにして歩いた。

今思えば、リオ兄は歩きにくかったんじゃないかと思う。リオ兄ごめん。



長男が受付をしたあと、なぜか『耳鼻咽喉科』の診察室前の椅子に座った。


普段は小児科しかいかないから耳鼻咽喉科は初めてで余計に不安になった。


待っている人が多く、30分くらい待っただろうか。


<看護師>「小鳥遊(たかなし)さーん。小鳥遊 龍榎さーん。」


そう呼ばれて、リオ兄の腕をつかみながら診察室に入った。

診察室にいた医師は優しそうな顔をしていて30代後半くらいのおじさんだった。


名前は松平秋徳(まつだいらあきのり)


<松平先生>「今日はどうしました?.... .... って小鳥遊(長男)くんと燐桜(次男)くんじゃないか。」


<長男>「お久し振りです、松平先生。」


松平先生と長男&次男は知り合いらしい。


<松平先生>「久しぶりー。えっと、この子は弟くんかな?」

松平先生は俺の方を見て言った。


<長男>「弟の龍榎です。今日は龍榎のことで来ました。今朝から耳が聞こえにくいみたいなんですが...」


<松平先生>「聞こえにくい?.... .... 最近、変わったこととかある?」


<長男>「二日前くらいから高熱が出て耳鳴りがしたことくらいです。」


こんなやり取りが続き、しばらくして


<松平先生>「う~~ん。検査をしてみたほうがいいかもしれないね~。.... 」


<長男>「やっぱり、そうなんですね。」

<次男>「.... .... .... .... .... .... .... 」


<俺>「??なに?」


長男は納得していて、次男は血の気の引いたような真っ青な顔をしていたので意味がわからず聞いた。


<松平先生>「龍榎くん、落ち着いて聞いてね。龍榎くんは難聴.... .... つまり耳が聞こえない病気になってるかもしれない。これから、どのくらい聞こえないのか検査をするからね。」


松平先生は俺にもわかるように説明してくれたが、俺は呆然としていた。


<長男>「リュカ、難聴っていっても完全に聞こえないわけじゃないから大丈夫だよ。」


<俺>「.... .... うん。」


この時は返事をしたが、現実を受け入れられず混乱していた。

今日、俺は障害者になるのかな。


そのあとも、検査が続き結果は難聴。

中等度難聴で、音が完全に聞こえないわけではないので大きい声ではなしてもらえれば聞こえる。



こんなの夢ならいいのに。


どうして、こうなってしまったんだろう。





今更ながら人物紹介



小鳥遊(たかなし)迅太(じんた)

長男であり社会人(医者)

『兄貴』や『迅兄ちゃん』と呼ばれてる


☆小鳥遊 燐桜(りおん)

次男であり中学一年生

『リオ』や『リオ兄』と呼ばれてる

双子(蓮桜)の兄


☆小鳥遊 蓮桜(れおん)

三男であり次男と同じく中学一年生

『レオ』や『レオ兄』と呼ばれてる

双子(燐桜)の弟


☆小鳥遊 龍榎(りゅか)<主人公>

四男であり小学六年生

『リュカ』と呼ばれてる

双子(龍輝)の兄


☆小鳥遊 龍輝(りゅうき)

五男であり小学六年生

『リュキ』と呼ばれてる

双子(龍榎)の弟


松平先生(まつだいら)

耳鼻咽喉科の医師



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