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第一話

 連載始めました。拙い文章ですがこれからよろしくお願いします。

「秋宮八代さん、貴女は死にました」


 私の目の前に居る女性がそう言った。

 女性の背中には天使っぽい羽が生えていて、年齢的には大体三十前後くらい。


 そんな彼女に、私は困惑しつつも慌てることなく返答した。


「でしょうね。なんとなく分かります」


 なぜなら、私の目の前、女性の居る更にその向こうに『天国』と『地獄』と描かれた門がそれぞれたっていたからだ。

 夢でなければ、死んでいるんだろうなー。と大体のところは予想がつく。さすがに死因まで覚えているわけじゃないけど、それも心当たりはある。


「・・・・・・そうですか。最近の若い方には珍しく物分りが良くて助かります」


 天使っぽい女性はご丁寧にも私に軽く頭を下げて続ける。


「さて、ここから本題なのですが、死んでしまった貴女にはいくつかの選択肢がございます」

「選択肢?」

「はい。具体的には貴女が選べる四つのうち、そこから一つ選んでいただくこととなりますが、その内容についてはこれから説明いたしますのでどうか良く考えてお決めください」


 もしかして私、天国に行けないのかな。生まれてからずっと病弱で学校にも行けなくて、お母さんやお父さんにも迷惑かけて、結局二人よりも先に死んじゃって・・・・・・よく考えなくてもものすごい親不孝してる。


 そんなことを考えていたら女性が指を一本立てた。さっき言っていた選択肢に関しての説明を進めるつもりらしい。


「一つ目、天国に行く。人生の中で大きな罪を犯していない貴女にはその権利があります。そして、これは貴女の両親の願いでもあります」


 その言葉に私は少しだけほっとした。加えて最大の親不孝をしてしまった両親に対して、心のそこから感謝した。

 けど、それよりも、本当に謝りたくてしょうがなかった。

 ありがとう、ごめんなさい、と。


 そんな私の気持ちを察してか、女性も次の説明をするのに少しだけ待っていてくれているようだ。

 ある程度私が落ち着いたのを見ると、女性は二本目の指を立てる。


「二つ目、地獄に行く。これはあまりオススメしません。一応権利としては選ぶことが出来ますが、これは稀に地獄に行きたがる奇特な方がいる故の権利です。貴女の場合、両親の願いもありますのでこれは選ばないほうが良いと思われます。

 次に三つ目ですが、地球の中の生命に生まれ変わることが出来ます。輪廻転生というやつです。何に生まれ変わるかは完全なランダムなので、人類に生まれ変わる確率は限りなく低いと言っておきます」


 人に生まれ変われれば両親にも謝れるかもしれないという考えが一瞬よぎったが、そうじゃない場合がいったい何になるか分からないし、たとえ人に生まれ変わったとしても、記憶が残っているかどうかすら怪しい。

 私にはその選択肢を選ぶにはちょっと勇気が足りなかった。


「そして最後ですが、これは二十歳以下で死んでしまった人限定の措置です。八代さんは十六歳ですからこの選択肢が存在いたします。貴女は病弱だった様ですので、本などに触れる機会は多かったと思われます」


 ・・・・・・まあ、自慢じゃないけど世間一般ではオタクと分類される程度には漫画もラノベもゲームやアニメも嗜んでいる。

 ベッドの上だとあんまり動くことが出来ないからそういうことをするしかない。親も私が欲しいといった物は何でも買ってくれたから本来私の年齢では出来ないゲームとかもいっぱいやっている。

 けれどいったい何の関係があるんだろう。


「四つ目の選択肢、それはファンタジーの世界に行くというものです。


 ファンタジー、その言葉をきいて気持ちが高ぶる。私が創作物に良くあるようなファンタジーの世界に行くことが出来る? 心踊らないわけが無い。


「説明を補足しますのでよく聞いてください。これには多くのメリットもしくはデメリットがございます。具体的にどんなものかといいますと、世界を超える際に身体もしくは立場、その他もろもろに影響が出るというものです。矢代さんの場合、うまくいけば病弱な体が治りますが、悪化する可能性もあります。それこそ一週間と生きられない体になるかもしれません。また、性別が変化したり始めから奴隷の身分だったりと、何が起こるかも予測不能です。

 以上のことを踏まえて、四つの選択肢のうちから一つお選びください。

 まことに申し訳ありませんが、時間は十分です。次が使えておりますので・・・・・・。時間内に選べない場合は貴女の両親の意向もあり天国に送る予定です」


 制限時間は十分もいらない。この時点で私の心はもう決まっていた。

 天国に言って欲しいと願った両親に申し訳ない。それでも。

 一度死んだ命だ。今度は私の自由に使ってみたい。


「私はファンタジーの世界に行きたいです」


 そう、たとえすぐ死んでしまうことになろうとも、幼いころから病院のベッドの上で何度も夢見た世界だ。

 お母さん。お父さん。ごめんなさい。でも、もうちょっとだけわがままを言わせて。


「了解いたしました。ゆっくりと目をつぶってください。次に目覚めたときは貴女の望む世界です」


 言われるままに、私は目を閉じる。

 一瞬だけからだが何かに引っ張られるような感じがして、私は恐る恐る目を開けた。


 私は崖の上に立っていて、眼下には地平線まで覆い尽くす大森林が広がっていた。



 始めなので一時間後にもう一話投稿します。

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