出逢い
そこには一人の少女が佇んでいた。
歳はおそらく十代前半──13か14だろう。
月光のもと艶やかに照らしだされた、きれいな彩りの銀髪が少女の頬にかかっている。
人形のように整った顔立ちで、陶器のようになめらかな白い肌がひどく印象的だった。
何かを堪えながらも結局泣いてしまっている。
その頬を伝う涙の透明感はその少女の心の内を物語っていた。
浮世離れした美しさ。
神様の人形のような精巧な顔立ち。
幼いのにまるで触れてはならぬような神聖さ。
そしてその高貴な様に、僕は思わず吐息をもらす。
僕はこの少女から目を離せなかった、、、見惚れていたのだ。
っと、
思わずその、幼さを感じさせる柔肌に触れてしまった。
「え?」
心底驚いて、声も満足に出せないらしい。
その丸く開かれた口をみて、少し冷静になる。
やばいことしてしまった...
所謂セクハラというものを流れでしてしまったのだ。
それほどまでにその少女が美しかったのだ。
「すまない、僕は黒後だ。君は?」
なんとか誤魔化すことに成功した気がする。
流石にあの流れのままの発言だから警戒されているかもしれない。
「なんですの、いきなり人の肌触っといてその言い草は」
そう言いつつ、少女は携帯に2進法で何かを打ち始めた。
1・1・0と。。。
「ちょっと待ってくれ」
さりげなく携帯を差し押さえる。
この流れは非常にまずい。
どうやら、警戒されているレベルではなかったらしい。
「かっこつけてますけど、自分のしていること理解してます?」
少女は聡いらしい。一瞬で真相を見抜いてしまった。
「可愛さは罪だよな...君の名前は?」
ここは強引に流れをかえるしかない。
もう何も考えずに応答しよう。
「だからなんですの、このセクハラさん」
「これには深い理由があってだな」
「聞かせてもらいましょうか」
「桜が咲いてると、君も愛でるだろう」
「ええ」
「それは何故だ?」
「美しさと儚さを同時に兼ね備えているからでは」
「・・・(そういう難しいことは言わないでいい)」
「間違っていますの?」
「いや、正解だ
「可憐なものは思わず無意識に溢れる思いをぶつけたくなるだろう
「それと一緒だ」
少女は急に俯いてしまった。
何か悪いことでも言ってしまっただろうか。
「褒めても何も出さないわよ
「あなたがセクハラさんなことに変わりはないのですから。
「でも、興味をもったのは確かだわ」
うむ、どうやら事なきを得たらしい。
詐欺師を夢の一つに加えてもいいのかもしれない。
「ゆう」
少女が呟いた。
「それが私の名前」
「偶然、僕も同じ名だ」
これで自分がこの少女とうまくかみ合わないわけが分かった。
同族嫌悪。
僕は素で自分の名前を好ましくは思っていない。
故にこんな感情を抱くのだろう。
いや、むしろ自己嫌悪だろうか。
ただ嫉妬しているだけかもしれない、そのあどけなさに。
何もしらない、無知な少女に。
頭が冷えてきた、どうやら舞い上がっていたのかもしれない。
「そ、嫌な名前ね」
図らずとも同じ意見のようだ。
それから、僕たちは数刻ほど話した。
僕は最初っから最後まで自分のペースで話せなかった。
どうも、女性には弱いのかも知れない。
一つ、気になったのは...
歓談中、ゆうは一度も笑うことはなかった。
ただ、、、
嫌がっている節はなかった。
むしろ、何かから自分を覆っているような
そんな印象をうけた。
「またここに来てくれないかしら?」
帰り際、そう囁かれた。
ここは冷静沈着なお兄さんアピールをしなければ。
「僕が淋しくなったらね」
「ありがとう」
まただ。
ゆうはまた出会った時のような表情でそう言った。
それでも、笑ってくれたのならいいんだ。
4月中旬の夜、少年と少女はこうして時を重ねることになった。
では本編の方に行きたいと思います




