一流の引きこもりVS一流の人気者(第1回戦)
「はぁ……何でこうなったかな……」
ため息をつきながら横を見ると、押し掛けてきた転校生、水無月 麗が何やら棚をイジっている。
「おい、何してんだ……」
「いえ~たくさんゲームあるんですね~」
本当にこの非常識人は一体何なのだろうか、とりあえず頭のネジが数本ほどぶっとんでるに違いない。
「勝手に漁るなよ……!」
「大丈夫ですよ、クラスメートですから」
そう笑顔で返してくるが、言っている事は常識から逸脱しているわけで……
「大丈夫じゃねぇよ! 何でもクラスメートで片付けようとするな!!」
どうやら間違えたらしい。この女の頭のネジは数本どころか、数十本はぶっとんでいる。
「良いじゃ無いですか!貸して下さいよ!!」
水無月は気に入ったらしいソフト数本を棚の上にピックアップしていた。
「何借りる気満々な感じでゲーム取り出してんだよ! 貸さねぇよ! てか帰れよ!!」
この女め……ツッコミどころが多すぎるぞ。という心の叫びをよそ目に、今度はアニメなどのBD用の棚を漁り始めた。
「えぇい……!! もう!!出ていけぇぇぇぇぇええええ!!!!!!!!」
そう叫ぶと、淋崎は強引に水無月を追い出したのだった。
「痛っ!!」
「二度とくんな!!!」
ガチャン!!とかなり強めにドアを締める音と共に、カチャン!と鍵を掛ける音も聞こえた。
「淋崎君!明日は学校来て下さいね~!!」
かくして、引きこもりVS人気者の戦いはあっけなく引きこもりの勝利で終わったのだった…………とはいかず。
次の日から水無月の怒涛の反撃が始まるのだった。




