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童話

見つけてくれて、ありがとう

作者: A
掲載日:2012/01/07

 玩具箱に熊の人形がいた。熊の人形の体中にはホコリがつき、腕がほつれている。しかし、熊には真っ赤な可愛らしいリボンがついていた。

「はやく、僕もお外に出て一緒にあの子と遊びたいなあ」

 熊はそっと首についているリボンを触った。

「また、新しいリボンをつけてほしいなあ。あの温かい手で僕のほつれた右手をなおしてほしいなあ」

 暗い、星空もない空に熊は願う、どうか、あの子がまた僕を見つけてくれますようにと。


 あるとき、フランス人形が言った。

「あなたなんて、もうお古じゃない。私みたいに綺麗じゃなきゃダメよ」

「そんなことない!あの子は大好きって言って、このリボンをつけてくれたよ!」

「ただのリボンじゃない」

「違うよ、大好きの証だよ!」


 あるとき、兵隊の人形が言った。

「君の右腕、取れているじゃないか。これじゃあ捨てられるな」

「きっとあの子がなおしてくれる!」

「分からないぞ、あの子は君を捨てて新しいものを買うかもしれない」


 あるとき、兎の人形が言った。

「大変だ、そのうち誰か捨てられるかもしれないぞ」

 玩具箱の皆は不安になった。捨てられたくないと。

 熊が一番不安だった。もしかしたら僕が捨てられるんじゃないか・・・。

「(僕のこと、大切じゃなくなったのかな)」

 熊の心が張り裂けそうになる。自分の腕が取れたときより痛い、苦しい痛み。


 ある日、暗い空から光が射す。目を細めてしまうほど眩しい光。

 熊の体が掴まれ、地面からゆっくりと離れていく。

 目を開けると、目の前には熊が大好きな女の子がいた。

 女の子は小さな手で熊を撫で、抱きしめる。

「くまさんいたあ!!」


「おかあさーん!くまさん見つけたよー!!」


 熊は見えない涙を流した。


「(抱きしめてくれて、ありがとう・・・そして)」


END

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― 新着の感想 ―
[一言] こんばんは、はじめまして。 譲木那音と申します。 不思議と胸の温まるお話しでした。 読ませていただきありがとうございました。 僭越ながら評価もさせていただきました。
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