見つけてくれて、ありがとう
玩具箱に熊の人形がいた。熊の人形の体中にはホコリがつき、腕がほつれている。しかし、熊には真っ赤な可愛らしいリボンがついていた。
「はやく、僕もお外に出て一緒にあの子と遊びたいなあ」
熊はそっと首についているリボンを触った。
「また、新しいリボンをつけてほしいなあ。あの温かい手で僕のほつれた右手をなおしてほしいなあ」
暗い、星空もない空に熊は願う、どうか、あの子がまた僕を見つけてくれますようにと。
あるとき、フランス人形が言った。
「あなたなんて、もうお古じゃない。私みたいに綺麗じゃなきゃダメよ」
「そんなことない!あの子は大好きって言って、このリボンをつけてくれたよ!」
「ただのリボンじゃない」
「違うよ、大好きの証だよ!」
あるとき、兵隊の人形が言った。
「君の右腕、取れているじゃないか。これじゃあ捨てられるな」
「きっとあの子がなおしてくれる!」
「分からないぞ、あの子は君を捨てて新しいものを買うかもしれない」
あるとき、兎の人形が言った。
「大変だ、そのうち誰か捨てられるかもしれないぞ」
玩具箱の皆は不安になった。捨てられたくないと。
熊が一番不安だった。もしかしたら僕が捨てられるんじゃないか・・・。
「(僕のこと、大切じゃなくなったのかな)」
熊の心が張り裂けそうになる。自分の腕が取れたときより痛い、苦しい痛み。
ある日、暗い空から光が射す。目を細めてしまうほど眩しい光。
熊の体が掴まれ、地面からゆっくりと離れていく。
目を開けると、目の前には熊が大好きな女の子がいた。
女の子は小さな手で熊を撫で、抱きしめる。
「くまさんいたあ!!」
「おかあさーん!くまさん見つけたよー!!」
熊は見えない涙を流した。
「(抱きしめてくれて、ありがとう・・・そして)」
END




