〜影の悪戯〜
今日はちょうどあなたと出会った時のような日だ。
だから、窓を開けてみた。
貴方がいる気がして…
その時、まばゆい光が私を包み、その先に貴方が見えた気がした。
貴方はあの頃と同じで、とても愛しいと思えた。
しばらくすると、光は消えた。
私は貴方の姿を探した。
…いるわけないか…。
早く私の心から出て行って下さい。
あの頃の貴方はもういないんだから…
貴方の影を見た瞬間
━━愛しい━━
と思ってしまった。
この気持ち…
もう抱いてはいけないの。
私はあまりにも貴方を愛しすぎた…
だから今になってまた…
お願いだから、もう出てこないで。
秘密にしておけば時が解決してくれる…
忘れさせてくれる…
でも、そんな気持ちとは裏腹に貴方の想い出は私の心の中を波打つ。渡り廊下に響く貴方の声。
愛しかった、愛していた。
私は今まで恋は何回もした。
片想いと言われるものも、
両想いと言われるものも。
でも相手を
━愛しい━
と思えたのは
これが初めてだった。
だからこそ
中学生の私には
とても大きな恋で、
自分の気持ちが
どれほど
大きなものだか
分からなかった。
私は自ら掘り返す事はしない。
たぶん、貴方への想いまで蘇ってしまう気がするから。
でも神様、
今だけ…今だけは
私の心を波打つ想い出を…
貴方への想いが蘇るのは嫌。
だけど、貴方を忘れるのも嫌な自分がいる。とても我が儘だけど…
お願いだから…