02 神の刻印
あっという間に全ての授業が終わった。1時間目から神浜と早乙女は会話をしなかった。しかし、神浜は早乙女の席に行き、思いきって早乙女に話しかけた。
「なぁ早乙女…」
早乙女は少しビクッとすると聞き返した
「なんだ?」
「担任ってどんなやつだ?」
神浜は入学式ウトウトしていて担任の先生を聞き逃していた。さらに今日の遅刻もあって担任の顔を見ていなかった。
「来たら分かるよ。」
神浜は嫌な予感がした。その先生だけは担任であってほしくない奴だ。しかし、神浜の嫌な予感は当たってしまうことになる。
「お前らー席に着けー。」
そこにいたのは谷川だった。
「帰りのホームルーム始めるぞ。」
生徒は全員席に座る。
「じゃぁ挨拶は1時間目もお世話になった神浜!!」
「きり~つ、れ~い」
「よし、じゃぁ連絡するぞ…」
谷川は不審者情報や保険だよりの配布をしてホームルームを終わらせた。その中でひとつ気になることがあった。
「あと、もし部活に入りたい奴がいれば呪学部がお勧めだからな。じゃぁおしまい解散!!」
(呪学部…?)
神浜は早乙女を誘って見学に行こうとした。
「早乙女!!呪学部行くか?」
「別に興味ねぇし行かねぇ。」
「そうか…」
神浜は諦めて早乙女と一緒に帰ることにした。
「そういえばさお前本当に呪いあるのか?」
神浜は聞いてはいけないと思っていたが、今後一緒に仲良くやってく者としてしっかり聞いておきたかった。早乙女も同じ気持ちだったのだろう。口を開いて言った。
「あぁ、俺は呪いを持っている…詳しくは言いたくない。」
「そうか…」
神浜はそれ以上聞かなかった。すると今度は早乙女から質問が来た。
「お前は呪い持ってるのか?」
「俺は自覚はないけど…ないと思う。親いないからそんなの教えてくれないし。」
「そっか。悪いな…」
「いや、別に。」
神浜は父親は神浜が小学校2年のときに家を出ていって、母親は去年トラックに轢かれて死んだ。
「それじゃ、俺ここ曲がるから。」
曲がり角まで来ると神浜は早乙女と別れた。その後しばらく歩いて家の前まで来た。1人暮らしなのに一戸建てで造りは古いものの十分広い家だ。神浜は玄関を開けてすぐ左の居間にカバンを置いてトイレに行こうと思った、そのとき神浜はとんでもないものを見た気がした。
「遅いぞお前。」
それは見間違いではなかった。今日朝あった死神が居間でくつろいでいた。
「何でお前がここにいるんだよ!!」
「言っただろ、続きはまた話すと。」
とりあえずスルーしてまずはトイレに行く…居間に戻って少し間をおいてから神浜は叫んだ。
「ふーざーけーるーなー!!!」
「ふざけてなどいないつもりなのだが。」
「誰も続きが聞きたいとは思ってねーよ!!」
「朝は神はそのような存在ではない!!というようなこと言って終わったな。」
「スルーですか!!初対面だから我慢してたが勝手に話を進めるなよ!!」
「おや?寿命をのばしてあげたのに感謝のひとつもないのか?」
「別に感謝してねーよ!あとなんで寿命を延ばしてくれたかも謎だし。」
「それはだなぁ…お前気づいてないのか?」
「どういうことだよ?」
神浜は少し戸惑った。
「お前には神の刻印が入っているのだ。」
「別に体に何もないが…」
「体ではない、お前の脳だ。」
「脳?」
「そうだ、神の刻印というのはだなぁ、簡単に言えばある特定のことだけでは神に並べる力を発揮することができることを示す証だ。」
「特定のことって何だよ?」
「それは私にも分からん。」
「分からんって…」
「それはさておき私たちは神の刻印を持つものを優先的に長生きさせなければいけないのだ。」
「なんで?」
「それを知る権利はお前にはない。そして神の刻印をもつ奴の本来の寿命から我々死神が側につくことになっている。」
「はぁ?」
「本来の寿命が過ぎると他の人より死にやすくなるのだ。よってその死にやすさを補うのが死神の仕事だ。」
「なぁ…側にいるってどのくらい?」
神浜は恐る恐る聞いた。
「私がすぐ駆けつけれる距離、そうだなぁ…ここからあの建物ぐらいまでなら大丈夫だろう。」
死神は窓を開けて遠くにある学校を指差した。
「結構離れられるんだな。」
「何を言っているあの建物が大きいからぎりぎり行けるのだ。」
「建物の大きさ関係あるのかよ…」
「あるに決まっている。建物が大きいほど神の力は強力になるのだ。」
「どんな原理だよ…」
「お前に言っても混乱するだけだ。」
「そりゃそうだ…」
「だからここで寝泊りとかもさせてもらうからな。」
「はぁぁぁぁ!?」
神浜はこの世のものとは思えない奇声を上げた。
「なんでだよぉ!?」
「これだけ広いのだ使ってない部屋などあるだろう。…お前も早死にしたくないだろう?」
そういって死神は近くにあった階段を上ろうとした。
「まてっ!!」
「なんだ異論は認めんぞ。」
「お前のことはなんて呼んだらいいんだ。」
「死神と呼べばいいだろ。」
「いや、なんか俺が痛い奴みたいになるから…」
「私は死神以外の何者でもない。」
「そっか…」
「参考になるかは知らんが死神にはナンバーがある。ついでに私は137だ。」
「137?イチ…サン…ナナ…そうだ!!」
「どうした?いい名前でも浮かんだのか?」
「語呂合わせだが…イサナはどうだ。」
「…勝手にしろ。」
そういって死神改めイサナは階段を上っていった。神浜の家に変な同居人ができてしまったが、神浜は正直迷惑なわけではなかった。家族が増えたかのように嬉しかったというものもあったし、なにより今日だけで神や呪いといった不思議なものを知ってしまったことに対する興味がわいてきたからだ。神浜は死神が2階にいってしばらく経ってから、2階にある自分の部屋に行って寝た…。




