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空白の殺意

作者: 推理小説

のりでかいてみました。東野圭吾さんのレベルの高さを痛感しました。・

序章


「俺はやってない」

確固たる自信の元、彼は自分自身にそう言い聞かせ続けた。しかし、現実と彼の自信は、大きく異なっていた。


確かにそこには彼女がいた。赤に染まった白いカーディガンが彼女の身に起こったことを物語っていた。そして、彼の右手にはまぎれもなく、彼の家の包丁がしっかりと握り締められ、彼女の左胸部を深く突き刺していた。


「りょ・・・う?・・・」


それが彼女の最後の一言だった。


一章


昨日までの休みはまるで嘘だったかのように、一転して多忙と化した奈良県警捜査一課の沖田は不満を心の中でぶつくさと言いながら事件現場へ到着した。

現場は都内のホテル。被害者は左胸を料理包丁で突き刺され死亡していた。しかし不思議なことにそれ以外の傷は全くなく性的な行為の痕跡もなかった。

「身元ははっきりしてるのか?」


「はい、被害者のポケットの中から財布が見つかり、確認しました。えーと・・・」

新米の工藤はメモを再確認した。

「名前は霧島由梨。奈良市内にすんでいて18歳ですね・・・市内の高校に通っています。」


「高校生か・・・」

同じ位の娘を持つ沖田としては被害者の両親の気持ちは痛いほどわかった。



この事件に対し、すぐに捜査本部が立てられ本格的な捜査に入ったもののしばらくすると刑事たちの顔に緊迫感はなくなった。

それも当たり前である。

凶器の包丁にはしっかりと犯人の指紋が付着しており、頭髪によって血液型もABと判明している。

また、被害者の周りの聞き取り調査により彼女と交際している同高校の男子生徒、安斎亮、という人物がいることが判明。彼の血液型はAB、指紋も一致。事件当日、被害者と一世に歩いているところを目撃した。という報告も受けていた。そう、目星が付いてしまったからである。

誰もが確信していた。

しかし、事件はそうも簡単には解決しなかった。


「容疑者の安斎亮が、事件のあった日から家に帰っておらず母親から捜索依頼が出されていた。」


この事実は沖田の口により捜査本部へと伝えられた。


「今後は安斎の捜索、それと平行して聞き取り調査を行い被害者の周辺になにか怪しい者がないかを調べていくように」


しかし、時間がすぐに解決へと導いてくれる。と沖田は考えていた・・・



事件発生から二日、新しく入ってきた情報の報告書に目を通しながらコンビニで買った缶コーヒーを車内で口に運ぼうとしたとき


「プルルルルルル・・・プルルルルルル」


彼の携帯がポケットの中で鳴り響いた。着信音は黒電話・・・非通知である。


「はい、沖田で・・・」


「俺はやってない・・・」


沖田の言葉を途中でさえぎり、冷たい口調で電話の向こうの男は言った。


「誤解だ。俺はやってない・・・」


「どういうことだ?お前は誰なんだ?まさか安斎亮か?」


「そうだ。」


「どこにいる?どういうつもりだ?」

突然の電話に沖田も取り乱していた。第一、なぜ彼の携帯番号を知っているのだ?


「いえない。でも俺はやってない」


「きちっと説明しろ!あやふやなことは言うな。どういうことだ?」


「俺は・・・事件のときの記憶がない。自分が刺したなんていう記憶は一切ないんだ。」


そんなめちゃくちゃな・・・沖田は心の中で失笑した。そんなことを言ってしまえばどんな事件も解決できない。


「いいか?よくきけ。今ここで逃走を続けるとさらに罪が重くなる。考えて行動するんだ。」


「やってない・・・」



ぷつっ・・・電話はあっさりと切れた。


「安斎から電話があった。公衆電話だ。逆探知してくれ」


これもあっさりと場所がわかった。奈良市内の南部。コンビニエンスストアの前にある公衆電話だった。


この件についてと、新しい情報をまとめるために捜査本部で再び会議が行われた。







続編は・・・誰も期待しなかったらありませんw

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― 新着の感想 ―
[良い点]  まだ話が途中なので分かりませんが、ここまでの話としてはまとまりがあって面白いです。刑事の会話も想像しやすく、読んでいて瞼の裏に浮かびます。 [気になる点]  ダッシュや、三点リーダの使い…
2012/01/09 18:14 退会済み
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