表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/116

73



 ちょっとした森を抜けて、もう少し進めば湖の畔に辿り着く。

 そこに屈み込んで、何時もの様に感覚を研ぎ澄ました。


 湖の底、深い部分にあった澱みに意識を向ける。

 ついでの練習とばかりに、魔力も意識して伸ばしてみる。


(ん……やっぱり魔力のように感じるけれど、何となく自分の中にあるモノとは異なる様に思えるのは何故…?

 魔力じゃない可能性……。

 まさか妖精とか怪異とか?

 あぁ、やっぱりこの世界の魔法の根幹がわからなくて、何もかもが手探りだわ……これではいつまで経っても…)


 だが、ふと『そう言えば』と小さく零れた。


(魔力じゃない魔力……環境魔素とかなら?

 環境魔素が存在した世界の時は確か……あぁ、そうよ。あれは瘴気に近くない?

 魔物が発する瘴気と少し違うのは、環境魔素が澱んだものだからと考えれば…。

 なら、あの蜘蛛の巣の様に広がっている残滓は…)


 背後でガサリと木の葉を揺らす音がして、エリルシアはハッと振り向く。

 瞬時に視線を走らせ……魔物の気配ではなさそうとわかり、エリルシアは緊張と警戒を解いた。

 ザッザッと下草を踏みしめる音が近づいてくる。


 木々の後ろに人影が見えてきた。

 領民の誰かだろう。

 湖の様子を見に来たか、それとも水を汲みに来たか……何にせよ、エリルシアが此処(ここ)に居ては邪魔になるだろうと立ち上がった。


「あれ、エリー様?」


 領民で冒険者のソッドが目を丸くして立ち止まった。

 ソッドの後ろには、彼の先輩にあたるファングもいる。


 後ろのファングはエリルシアと目が合うと、途端に顔を俯かせて会釈した。

 毎度の事なのでもう慣れはしたが、嫌われる理由に心当たりはない。もしかしたら身分を気にしての事かもしれないが、何にせよ、ちょっぴり途方に暮れてしまうのも事実。

 そんな、エリルシアと兄貴分であるファングの微妙な空気感も知らず、ソッドが嬉しそうにエリルシアに駆け寄る。


「何してんすか? 釣り?」


 にこにこと屈託のない笑顔のソッドに、エリルシアは苦笑を浮かべる。


「釣りではないわね。

 それで? ソッド達はどうして此処(ここ)に?」

「サキュンツァ探しに来たんすよ。

 前に比べたら、めちゃくちゃ減っちゃってるから、探さないといけなくなっちまってて」


 なるほどとエリルシアは頷いた。


 たった3年程前の事なのに、随分と昔に感じる。

 レヴァンから提案された魔物買い取り云々(うんぬん)のアレだ。

 エリルシアは王宮を後にした後、そんな話はすっかり他の記憶に圧し潰されて、思い出しもしなかったのだが……。

 暫く経ってエリルシアは領地に、両親を始めとした他の者達は官舎館に戻ったのだが、戻った父ティルナスからある日手紙が届いた。


 エリルシアが王宮から去ったので、レヴァンはティルナスに話を持って行ったのだろう。

 その話はゆっくりと現実味を帯び、そして実現した。

 冒険者ギルドとも連携を始めた事で、その規模も拡大出来た。


 あの当時は毎日のように、サキュンツァという金にならない魔物の退治と処理に追われていて、機械的に対応してたのに、それが生きたままならお金になると言われたのだ。

 冒険者は勿論、そうでない領民達も大喜びで生け捕りに参加した。

 そうして盛り上がったサキュンツァ捕獲だったが、水源に水が戻り始めた頃から、その数は瞬く間に激減した。


 元より弱い種で、環境への耐性力、適応力で勢力を伸ばす様な在り方だから、環境が変われば、その時に一番即した競争相手に生息域を奪われるのは想像に難くない。


「それで成果はどう?」


 聞いてみると、ソッドが眉をハの字にして肩を竦める。

 ついでにお手上げのポーズまで追加済みだ。





ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


もし宜しければ、ブックマークや評価、リアクションに感想等々、とても励みになりますので、何卒宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ