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申し訳ありません、そろそろ死の表現が出てきます。
苦手な方は自衛お願い致します。
タグ『R15は念の為』外しました……(直接的に書くか、最初は迷っていたので…すみません)
エリルシアは王宮を抜け出し、一人露店通りへ向かって歩いていた。
分岐に差し掛かり足を止める。
以前通った道は、馬車でも問題なく通れるよう整備されているが、その場から見る限り大きく迂回しているように見えた。
対して左手の道を進めば、近道が出来そうに思える。
普通の御令嬢ならば考えそうもない事だが、エリルシアは元より普通の令嬢とは言い難い。
ごく一般的な『令嬢』と呼ばれる生き物は、一人で買い物等考えないだろうし、町まで徒歩なんて思い付きもしないだろう。
エリルシアは少しだけ悩んで、結局左側のルートを選択した。
遠目に見ても、通るのは建物の隙間、路地になる事は明らかだが、だからこその発見があると知っている。
(そうそう。
すれ違うのがやっとの様な路地とかに、美味しい穴場があったりするのよね。
こう、お肉の焼ける香ばしい香りが……って、あ~早く領地に戻りたいわ)
自領にある冒険者ギルドの建物は、一応大通りに面してはいるものの、裏手はスラム感がある。
登録したての頃は流石に近付かなかったが、冒険者としての階級が上がる頃には顔見知りも多くなり、裏通りも問題なく歩けるようになった。
その裏路地にある店の一つに、串焼き肉が名物の店があったのだ。
思わずそれを思い出してしまったが、エリルシアはその情景を振り払う様に、ふるんと頭を一振りする。
(いけないいけない。
ついつい妄想が……さっさと行かないと)
路地に入り込む。
出来るだけスラムと思しき場所を避けつつ、露店通りを目指しているが、建物の密集具合がやはり領地とは全く違った。
あと、空気感も……。
領地の居住区だと、住人達が忙しく行き交ったり、集っておしゃべりに興じているなんて姿も、そこかしこで見る事が出来たが、此処ではそんな光景にお目に掛かれるか疑問だ。
人の微かな話声、包丁で何かを刻んでいるような音……確かに人が暮らす場所だと示しているのに、通りはと言うと閑散としたものだ。
すれ違えるか心配する必要もない。
ついまた物思いに耽りそうになるのを慌てて止めて、エリルシアは先を急いだ。
……ほんの少しの違和感に足が止まる。
周囲の気配を探るが、今しがた感じたモノはもう霞のように消えていた。
だが一瞬だけ走ったひりつく様な感覚は、錯覚等ではない。
そっと気配を殺し、路地に身を潜ませながら慎重に進む。
風向きが変わったのか、急に異臭が流れてきた。
王都の居住区なんて初めてで、普段の状況を知らない。
だが領地とは事情が異なるだろう…くらいは考えが及ぶ。
領地だと冒険者ギルドの解体場等のせいで、血臭が漂う事もあるにはある。
だが、比較的王宮に近い場所だから、普通に考え難いのに、血臭がするなんて穏やかじゃない。
更に進めば一気に臭いがきつくなった。
見れば壁に血痕が残っていた。
それが根源かと思ったが、この臭気のきつさと、飛び散った血痕が比例しない。
明らかに臭いの方がきつい。
(喧嘩…?
……いえ、喧嘩程度の臭いじゃないわね。
むぅぅ……対人なんて御免被りたいんですけど……って、別にそうと決まった訳じゃないんだから早合点してはいけないわ…)
とは言え、万が一現場に出くわしてしまったら、見て見ぬふりが出来るかどうかは自分でも怪しい。
どう考えてもやばい感しかない路地を更に進むと、人影が見えた。
しかも、すこぶる剣呑な現場だ。
覆面の男が、幼い子供を抱え、手で口を塞いでいる。
その上、喉元に剣を突きつけているではないか。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
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