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「それは何よりです」
子爵家以下はわからないが、伯爵家なら候補になりそうなのは2家。
一つはキゾット伯爵家。
ラフィラスと年齢の合いそうな令嬢が二人いるが、有力候補とは言い難い。
それと言うのも、キゾット伯爵家はラフィラスの母フィミリーの生家で、当の令嬢二人はラフィラスにとって従妹にあたる。
それ故、他に候補が居るのであれば、候補から外れる可能性が高い。
もう一つはニフニル伯爵家。
ラフィラスより少しばかり年上だが、年齢的には許容範囲だ。
最有力候補候補だと思われるが、エリルシアは、寡聞にして存じ上げない御令嬢である。
しかし話はきちんと進んでいると言うのなら、ラフィラスも一安心だろう。
そう思ったのに、彼の表情は険しくなっていた。
「ぜんぜん『何より』じゃないよ…」
険しかった表情が更に剣呑さを増し、ラフィラスは口をへの字に曲げた。
(あぁ、そうだったわ。
王子殿下のヒロインはあのアーミュさんだったわね……最近見かけないからすっかり忘れてた…。
けれど、彼女の事は懸案事項よねぇ…)
つい老婆心が顔を覗かせる。
「そうかもしれませんが、殿下の幼馴染とおっしゃるあの令嬢には、ちゃんとお話しなさった方が良いと思います」
曲がりなりにも侯爵家の令嬢であるエリルシアに、あんな事をしでかしかけたのだ…伯爵家の御令嬢なら更に心配になると言うものである。
だがラフィラスの反応は想像と違った。
目を丸くして、一瞬きょとんとする。
「……幼馴、染、って………もしかして誰もエリルシア嬢には伝えてない?」
「どう言う事でしょう…?」
今度はエリルシアの方が首を傾げた。
「そうか…ごめん。
当事者に話が届いていないなんて思ってなかった…。
もう王宮内には居ない。
金輪際、足を踏み入れる事もないと思う」
思いがけない言葉ではあったが、どうりで見かけなかったはずだ…と、反対に納得してしまう。
「本当はもっと重い刑罰を科するべきだったと思う。
その上伝えていなかっただなんて……本当にごめん…」
ラフィラスは立ち上がって頭を下げた。
「や、やめてください!
見かけないとは思ってましたけど、私に大きな被害はありませんでしたし、殿下に謝られたら私の方が困ってしまいます」
暴言等のちまちまとした嫌がらせが殆どだったし、件の『恋のお茶掛け事件』ならぬ『故意のお茶掛け事件』でも、実害を被ったのはレヴァンであってエリルシアではない。
だから、謝罪する必要があると言うのなら、それはレヴァンに対してだろう。
それに重い罰と言われても、あまりピンとこない。
この辺は、前世以前の記憶が蘇った事の影響も大きいと思われる。
しかし、ラフィラスは頭を振った。
「僕がいけなかったんだ。
幼馴染と言う事に甘えて、僕は誰ともちゃんと向き合わなかった……。
甘えて良い事ではなかったし、彼女が増長したのは、間違いなく僕のせいだから……」
王族なのだから頭を下げるなんて勘弁して欲しい。
だが何度止めてと言っても、ラフィラスは頭を上げない。
本当に真面目で不器用な人である。
王族として生きるのは、もしかしたら辛いかもしれないと、エリルシアは苦く笑んでラフィラスの顔を覗き込んだ。
「もういいって言ってるだろ?
そんなだから面倒な奴だって言うんだ」
ラフィラスが友人として欲した『ルシアン』の口調……男の子だと誤解されていた時なら兎も角、今はかなり恥ずかしい。
「……ぇっと……ですから、もうやめてください……ね?」
気恥ずかしさに、プイと顔を背けた。
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