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 ウィスティリス領の商店外とは比べ物にならない程、露店通りは賑わっていた。

 住人の数も違うから当然と言えば当然である。

 ただ物価はやはり高く、大したものは買えそうにない。それでも幾つか見て回り、前世のエキナセアに似た植物を見つけた。

 夏に咲く花で色々と薬効もあった植物だったと記憶している。

 育つかどうかは実際に植えてみないとわからないが、乾燥にも強い種だったと思うので、その苗を購入した。


 他にはお茶を少し。

 使用人のポーラとソラック夫妻がどちらもお茶が好きなので、一緒に楽しむには丁度良いだろう。

 それにお茶なら日持ちする。

 涼しくなるのはまだ先の事なので、腐ったりしないと言う条件は必須だ。


 多くは買えなかったが、それでも土産としては十分だろう。


「本当にありがとうございました。

 おかげでお土産を買う事が出来ました」


 エリルシアはまずレヴァンに一礼する。

 そしてレヴァンの従者とスザンナ、その後は気配のする方向にも頭を下げた。

 行き交う人が多いだけでなく、エリルシアの身長が低い事も相まって、護衛騎士達の姿を視認する事は出来なかったが、気持ちの問題と言う事でお許し頂こう。


「私は強引についてきただけですから、気遣いは不要です。

 しかし…他はもう見て回らなくて良いのですか?」


 レヴァンの言葉にエリルシアは頷いた。


「はい、十分ですので、戻りましょう」


 護衛がついているからと言っても、これ以上公爵子息を連れまわすのは、流石に不味い。

 レヴァンはラフィラスの側近でもあるのだから、長く王宮を離れるのは良くないに決まっている。


 そそくさと来た道を戻るエリルシアに、レヴァンは苦笑を浮かべながら声を掛ける。


「最後にルダリー商会の店を覗いてから戻るとしましょう」


 声につい足を止めてしまったが、どう反応するべきか迷う。

 先だって聞いた話では宝飾品を取り扱う店のようだし、文具とは言えかなりお高い雰囲気を感じてしまう。

 残金もそんなにないので、立ち寄ったとしても冷やかしにしかならない。

 困ったように眉尻を下げて何も言えずにいると、レヴァンが困ったように笑って肩を竦めた。


「私も見たいものがあるので、もし良かったらお付き合い願えませんか?」


 世の御令嬢方が騒ぐのも納得だ。

 こんな気遣いをされて、舞い上がらない女性は居ないだろう。

 しかも、すこぶるつきの美少年の微笑み…等と言うおまけまで付いている。

 とは言え、エリルシアのような幼女にそんな気遣いをする必要は、全くないと思うのだが……。


(ぁ……そうね、うん。

 もう少しで領地に戻るから、最後に綺麗な宝石とか見せてあげようって思ってくれたんだわ。

 まぁ確かに領へ帰ったら、御令嬢ごっこなんてしてる暇はないものね……。

 最後くらい目の保養したって罰は当たらないはずだわ。

 うんうん、やっぱり女の子だもの、綺麗なモノや可愛いモノは私だって嫌いじゃないし)


 そんな事を考えつつ頷けば、レヴァンが先に立って歩きだした。



 商業区に降り立った最初の場所に戻って来た。

 馬車は同じ場所に止まっていて、何時でも出発できそうだが、レヴァンの従者――名前はケラックと言うのだそうだが、彼が小走りで馬車に近づき、御者と何やら話している。

 その様子を横目に、レヴァンは店の扉を開いた。


「これはロージント公子様、ようこそ御出(おい)でくださいました」


 よく通る柔らかな声に出迎えられる。

 一瞬性別不祥に感じたが、姿を見ればまだ若そうな男性が一礼していた。


「あぁ、見せて貰っても良いだろうか?」

「勿論でございます。

 今日は何をお探しでしょう?」


 レヴァンと店員らしき男性が話しているが、エリルシアは単なる冷やかしで客ではないのだからと、すすっと二人から距離を取って、一人で店内を見回した。

 落ち着いた内装ではあるが、屈強な警備員が扉脇に立っていて、さっきまで見ていた露店との差が凄まじい。

 高級店と言うのがありありと見て取れて、エリルシアは少し居心地悪いと言うか…落ち着かない。

 その空気の原因は、並ぶ展示台にはあまり商品が並んでいない事だと思う。


 恐らくだが、客の求めに応じて店員が品を見繕って出すのだろう。

 それだけで、どれほどの高級品か分かろうと言うものだ。


(こっわ……絶対値札には『0』が馬鹿みたいに並んでるのよ、きっとそう!)






ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


もし宜しければ、ブックマークや評価、リアクションに感想等々、とても励みになりますので、何卒宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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