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破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします  作者:


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35 狭間の物語 ◇◇◇ ラフィラス4



 大好きな幼馴染……なのに僕は少し負担に感じるようになった。

 僕の事を一番だと言ってくれるのに、アーミュは僕の事を本当には理解はしてくれない……そんな気がする。

 だからかな、僕は徐々にアーミュを持て余すようになっていった。


 僕は別に悪い事をしている訳じゃない。

 アーミュ以外の友達に会いたいだけ。


 アーミュは女の子だし…根本の所で話が合わなかったのも、それが原因の一つかもしれない。

 僕は教師から習った事をもっと復習したかったし、そうする義務が僕にはある。だから帰りはその話を深めたいのに、アーミュはいつだって『つまんない』『あたしにはわかんない』『過去の事なんて関係ないじゃん』……こんな事ばっかり…。


 だけどルシアンは違った。

 公共事業の重要性、税の使い道、果ては魔物談義と幅広い。

 幅広いと言っても、広く浅く…ではなく、それなりに深さもあるから話していて本当に楽しい。

 ルシアンを僕の側近に取り立てられないだろうか……お祖父様にお願いしてみようと思うようになった。

 その為にもルシアンの家名が知りたい。

 例え男爵家の出でも、お祖父様が何とかしてくれる……そんな事を考えていた矢先、衝撃の事実を知る事になった。




 ルシアンは、本当は同性ではなく女の子で、ウィスティリス侯爵令嬢。

 僕の婚約者候補――僕が初めて守りたいと思った女の子だった。


 本当に恥ずかしい限りだよ…。

 女の子を同性と勘違いするなんて……しかも顔合わせもしたと言うのに…僕はなんて間抜けだったんだろう。


 だけどそれ以上に心は弾んでいた。

 側近にとお願いしなくても、婚約者候補なら傍に居られる、居てくれる。

 それこそ未来永劫……。

 彼…いや、彼女と過ごす時間は本当に楽しくて、それがこれからも続くのだと思うと、僕は本当に嬉しかった。



 神様は浮かれた僕に罰を下したのだろう。

 本当にアーミュの事をわかってなかった…それを痛感する。


 まさか、幼いとは言え侯爵令嬢相手に、あんな馬鹿な真似をするだなんて、想像の斜め上を行きすぎだ。

 ……いや、自分の責任でもある…僕とアーミュの温度差を、僕は軽く考えていたんだから。


 本当にロージント公子には感謝しかない。

 彼がウィスティリス嬢を庇ってくれなければ、どうなっていたか……。

 本当に反論の余地もない……そう、アーミュは僕の幼馴染だけど、王宮内での身分は男爵令嬢にすぎない。

 一体どうして男爵家の出でしかないアーミュが、侯爵家の令嬢を害せると思ったのか、許されると思ったのか……きっと僕のせい…。

 僕がしっかりしなきゃいけなかったんだ。


 この件は報告しなければならない。

 僕がしなくても、侍女や護衛達、何よりロージント公子が黙っていないだろう。

 アーミュは取り押さえられて連行されていったのだから、どのみち隠しようもない。


 ウィスティリス嬢の事は気掛かりだったけど、ロージント公子がその場から離れた後、僕もお祖父様の所へ急いだ。






 執務室にはいると、お祖父様が動かしていたペンを止めて顔を上げた。


「フィス?

 何かあったのか?」


 僕は一瞬グッと詰まったけど、何とか声を出す事が出来た。

 つい今しがた起こった事を、僕はお祖父様に説明する。

 お祖父様の表情はどんどんと、険しくなっていった。


「……むぅ…アーミュは何を考えておるんじゃ…。

 にしても騎士達が連れて行ったか……まぁ流石に牢に入れる事はないだろうが…いや、ウィスティリス嬢とジョストルの孫の手前、1日だけでも牢で反省させた方が良いのか…いや、可哀想じゃの……。

 よし、後で騎士団長に話しておく。夜までには解放するよう申し付けておくから、安心するが良い」


 僕は耳を疑った。

 あんな事をしでかしたのに直ぐに開放だなんて、ウィスティリス侯爵やロージント公爵に何と言い訳するんだ…?


 あぁ、そうか……僕だけじゃない…。

 僕とお祖父様が、アーミュを増長させた…。

 僕とお祖父様が、貴族社会のあたりまえを蔑ろにしていたんだ…。


「いえ、お祖父様。

 アーミュのやった事は、到底許される事じゃありません。

 男爵家の者が、侯爵令嬢を故意に害しようとしたんですよ? 直ぐに解放だなんてウィスティリス侯爵やロージント公爵に何と弁明するんですか?」

「う……そ、れは…」


 そうしてアーミュが直ぐに解放される事は無くなった。

 ただ、牢じゃなく懲罰房だったのは吃驚したけれど、それもこれも、僕とお祖父様がアーミュを特別扱いしすぎた結果だ。

 反省しなければならないのはアーミュだけじゃない。


 それを話そうと、こっそり懲罰房へ向かったのに……そこで目の当たりにしたのは、アーミュの醜悪な姿と聞くに堪えない罵詈雑言。


 だけど、そんなモノはまだ序の口だったんだ。

 本当の後悔はまだ……もう少し先で待ち構えていた。





ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


もし宜しければ、ブックマークや評価、リアクションに感想等々、とても励みになりますので、何卒宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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