表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/116

31



 エリルシアは曖昧な笑みで武装し、ゆっくりと顔を上げる。


「王子殿下、そのような誤解を受けかねない事はおっしゃらない方が賢明です。

 誰が何処で聞き耳を立てているかわかりませんから。

 此方(こちら)の本は…ありがとうございます。部屋に戻ってから読ませて頂きますね」


 そう言うと、エリルシアは机に置かれた数冊の古びた本を抱え深く一礼すると、くるりと背を向けて急いで図書館を後にする。


 後ろで止めようとしたラフィラスの手が、エリルシアの残り香を追う様に伸ばされていた事も知らないまま。





 昨夜は結局夕食を取り損ねた。

 図書館から逃げる様に戻って来たエリルシアは、ラフィラスが探してきてくれた本を抱えたままベッドに潜り込み、気付けば朝になっていたと言う次第。


 慌てて飛び起き、まず本の確認をする。

 破けたり、汚れたりはしていないようで一安心だ。


 今日は図書館には行かず、自室に籠ってラフィラスの本を読む事に決める。


 感情が不安定になっている事は自覚している。

 独り言まで聞かれていた衝撃に加え、自分を持て余している状態で、もし彼と出くわしてしまったら、どんな顔をしてやり過ぎせば良いのかわからない。

 今は気持ちを切り替えて、魔法の手掛りを探す事に専念するのが良さそうだ。


(いや、手掛りというか……魔法は使える。

 今も使うだけなら可能なのよ。

 だけど、魔力の経路にすんなりと力が流れて行かない…そんな違和感を感じて仕方ない…。

 その原因も探れるなら探りたいし、水脈探索って補助魔法系…で良いわよね?

 前世以前の魔法の記憶って攻撃か治癒のみで、それ以外はさっぱりなせいか、上手く感覚が掴めないのがもどかしい……。

 例えば水や雷を出現させる事、それらを用いて攻撃を加えたり、変形させて壁にしたりは…多分問題ない。

 まぁ…水が操れるなら、それをそのまま不足分に充てれば問題解決……とは行かないわね。流石に魔力が持たないし、そんな事をすれば絶対に魔法が使えると露見してしまう。

 だけど、探索となると……前世のダウジングロッドの様な魔具があれば話は早かったのに、そっちは望み薄だものね…)



 頁を(めく)る音しかしない部屋で、エリルシアは頬杖をつきながら文字を追い続ける。

 スザンナが来てお茶を淹れてくれたが、すっかり冷めていた。


 ラフィラスが探してきてくれた数冊の本。

 数冊と言うか3冊……そのうち2冊は読み終えた。


 確かに『魔法』という言葉は出てきたが、内容はと言うと古い民話を集めただけの物で、エリルシアが求めている内容ではない。

 最後の1冊は表紙も何も擦り切れて、辛うじて本の体裁を保っている紙の束だ。


 表紙だけでなく、本文の方も掠れてたり汚れてたり……酷いと破れていたりして、廃棄を検討されたのも仕方ないと納得出来る。


 だが、読み進めていくうちに、エリルシアの双眸が鋭く細められた。


(これ……これは、探してたものじゃない?

 あぁ、何でよりにもよって此処(ここ)が破れてるのよ……。

 えっと…つまり、魔力回路は身体の成長に合わせて変化する…って事みたい?

 読める文字だった事は感謝しかないけれど、掠れに汚れ、破れも然りながら虫食いの穴で文字が……あぁ、本当に保管状況さえ良かったなら…って、今更な事を嘆いてもどうしようもないわ。

 何にせよ、私が感じてる違和感は、子供の内は仕方ないと分かった事は収穫よ。

 それにしてもこの世界の人間って不便ね。

 力量とか以前に成長も楔になってしまうだなんて……)


 更に読み進めようとしたが、扉のノックの音が割り込んできた。

 ノックの後も開かれない様子に、スザンナではないとわかる。スザンナならノックの後少しして扉を開くだろう。なのに開かれないと言う事は……居留守を決め込むと、再び意識を本へと向けた。


「(ウィスティリス嬢、在室しているのは確認しています。

  開けて頂けませんか?)」


 途端にエリルシアの表情が険しくなった。







ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


もし宜しければ、ブックマークや評価、リアクションに感想等々、とても励みになりますので、何卒宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ