表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/116

22



「だから~、わかんないんだって」


 同学年の生徒数もそれほど多くないと聞いているので、同じクラスだと思うのだが……。

 この辺りは前世及びそれ以前の記憶に、影響されているかもしれない。


「……もしかして複数クラスあったりするんです?

 こう、少人数でがっつり学習……とか」


 ティルシーは更に残った最後の菓子も、自分の口に放り込み、満足そうに飲み下した。


「んふ♪

 はぁ~もう最高、美味しかったわぁ。

 おかわりしたい所だけど、流石に太っちゃうわよね……ぅぅ…。

 で、なんだったかしら? クラス?

 クラスは一つよ」


 どう言う事だろう…。

 クラスが一つなら、同じ教室で机を並べているのではないのかと訊ねてみると、予想外の言葉が返って来た。


「王子殿下…というより、ピンク金魚が煩くて、別室で授業受けてるらしいのよ。

 学年は同じだけど、顔を合わせる機会もないんだもの、わからなくても当然じゃない?」


 納得したくはないが、納得せざるを得ない…。

 ティルシーが言う『ピンク金魚』とは、恐らくアーミュの事だろう。

 色は確かにピンクだし、ラフィラスにべったりだから、金魚の〇と言われても仕方ない。


 学院での事は知らなかったが、知ってしまえば更に気の毒に思えてくる。

 ラフィラスは友達を欲しがっていた。

 けれどその機会さえメイド……ではなく小間使いのアーミュに奪われているとは、全く思いもしなかった。


(私に怒鳴ったのは、木剣を飛ばした犯人だと誤解されたから、ガンを飛ばしてきたのは、てっきり素性が知れない事を警戒されたから……だと思ってたんだけど…。

 彼女は四方八方に吠えまくって、最愛の王子サマが人脈を得る機会もぶち壊していると言う事ね。

 まぁ確かに不憫ではあるけれど、王子サマ自身もアーミュさんと一緒にいる事を選んでいるのだし、他人がとやかく言う事でもないのかも………)


 ……………


    …………




  ………………………ィ……ィルス嬢? ウィスティリス嬢!?」


 ラフィラスの声に、エリルシアの意識が現実に戻った。


 つい回想に(ふけ)ってしまったが、そう言えばラフィラスが部屋に来て、時間はあるかと聞いていたのだと思い出す。


「ぁ、申し訳ございません。

 ……何か御用でしょうか?」


 慌てるエリルシアに、ラフィラスはふわりとした柔らかい笑みを浮かべた。


「料理長が新作の菓子を焼いたらしいんだ。

 良かったらお茶でもどうかなと。

 お祖父様からも、ウィスティリス嬢を是非誘う様にって」


 ホメロトスからの声掛(こえがかり)となると、無下にする訳にもいかない。

 しかし、本当に良いのだろうかと、エリルシアは微かに首を傾けた。

 ラフィラスとアーミュは相思相愛っぽいのだから、さっさと婚約なんて拒否れば良いのに…と思ってしまうのだ。


(いやまぁ、新作のお菓子と言うのは興味がありますけどね…。

 でも、ずっとアーミュさんに睨まれるのも、精神削られるのよねぇ……はぁ)


 何をどう言った所で、断るのが難しいのも事実。エリルシアは引き攣った笑みを貼り付けつつ了承するしかない。


 準備があるからと、ラフィラスを部屋から追い出すと、入れ替わりに女性が部屋に入って来た。

 ホメロトスからの命で、エリルシアの部屋付きとなった侍女だ。

 名前はスザンナ・カルゴー、伯爵家の出のベテランである。


 最初はエリルシア付きとなるよう命じられたらしいのだが、王宮に長く滞在する予定はなかった為遠慮した。

 しかし、それならば部屋付きに…と強引に押し切られた。

 確かに部屋の掃除の担当等もあるだろうし、エリルシアもそれ以上は渋らず受け入れている。


 スザンナが髪の手入れをし始めた。

 領地では勿論、王都の館でも使用人の手を煩わせる事なく、自分の事は自分でしていたエリルシアだが……そのせいか、人様に何かして貰うと言うのに慣れず、毎回酷く緊張してしまう。


「エリルシア様、そんなに固くならないで下さいまし」


 優しく微笑まれて、つい恥ずかしさに俯いてしまう。

 恐縮していると、スザンナが溜息交じりに溢した。


「ですが……ぁ、申し訳ございません。

 つい…」

「ごめんなさい、私何かしてしまいましたか!?」


 気付かないうちにスザンナの手を煩わせてしまったのかもしれない。

 振り向いて慌てて謝った。


「ち、違います。

 エリルシア様には問題はございません。

 ただ……」


 言い難い事なのか、スザンナの言葉は歯切れが悪い。


「その……訊ねて良い事なのかわかりませんけど……。

 どうかしたのですか?」


 エリルシアの問いに、スザンナは再び溜息を落とした。





ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


もし宜しければ、ブックマークや評価、リアクションに感想等々、とても励みになりますので、何卒宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ