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破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします  作者:


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 魔具で封じられていた部屋から、手前の書庫に戻る。

 ヴィンデ家やラカール王太子による婚約拒否騒動の諸々の詳細は気になるが、流石にお腹もすいたので、一旦切り上げる事にする。


 『封印を割った』と言っていたが、まさしくその通りなのだろう。最早書架と書架の合間から覗くのは、壁ではなく部屋だった。

 もしかすると再度封じた方が良いのかもしれないが、エリルシアにはその方法がわからない為、このままにしておくしかない。


 エリルシアは書庫を出て、1階へ下りる階段の方へ向かう。

 後ろからロザリーが付いて来ているのは確認済みだ。


 階段を降りかけたところで、ポーラに声を掛けられる。


「お嬢様、今日はもう遅いのでお部屋の方は既に整えてございます。

 ですがその前に、お夕食をお召し上がりください。

 ゾラックが腕によりをかけて御用意させて頂きましたので、どうか是非……」


 少しばかりの不安を滲ませるポーラに、エリルシアは苦笑する。

 これは流石に、振り切って帰宅する事は出来ないかもしれない。

 ティルシー夫妻が領邸入りをするにあたって、料理人等の使用人を追加で雇っているが、それまではポーラの夫であるゾラックが、そういった雑事を一手に引き受けてくれていた。


 だからゾラックが厨房に入ったという事実は、エリルシアの為に特別に…と言う事に他ならない。

 しかし、気掛かりが一つ…。


 リコだ。

 彼女をあの小さな家に一人で残しておくのは不味いだろう。何しろ彼女は武の方はからきしなのだ……いやまぁ、知の方もからきしではあるのだ……無残な程に…。

 だが、それも……。


「リコですが、使いをだしてありますので、間もなく此方(こちら)に到着すると思います」


 全く……未だに矍鑠(かくしゃく)として、隙のない老女だ。

 ここまで退路を塞がれては、提案に従うしかないだろう。

 困ったような笑みのまま頷けば、ポーラが珍しく満面の笑みを浮かべた。


 そのまま一旦部屋へ案内される。

 家でなら今の服のままで問題ないが、領主夫妻が暮らす領邸である以上、曲がりなりにもドレスに着替えざるを得ない。


 ティルシー達が領邸入りする前…エリルシアだけが暮らしていた頃は、ドレスに着替えて…等と言う余裕もなく、作業着のまま芋に齧り付いたりしたものだが、領政が回復の兆しを見せ始めている今、これまでと同じ様に…とはいかないのだ。


 部屋は既に準備済だというポーラの言葉に嘘偽りはなかったようで、エリルシアがずっと使っていたその部屋は、埃っぽさも何もなく快適に整えられていた。

 何度も片付けて良いと伝えていたのだが、まだ維持されていたらしい。


 まずは湯あみ。

 小さな家に移ってからは、贅沢する訳には行かず水風呂がデフォルトで、湯あみなんて久しぶりだ。


 エリルシアの滑らかな肌にゆっくりと温かい湯が掛けられる。

 ポーラの手が右肩で止まった。

 薄くなったとはいえ、まだ傷跡は消えたわけではない。

 肌で感じる指の動きと、微かに聞こえた嗚咽に、エリルシアは思わず謝罪した。


「……ご、めん…な、さい…」

「ぃ、いいえ、いいえ!……お嬢様が悪いのではありません!」

「でも、随分と動かしやすくはなったのよ」


 あえて明るく言葉にする。

 ロザリーの謎の儀式もあってか、魔力の引っ掛かりも少なくなったように思う。

 実際、リコも傷跡が薄くなったと言っていた。

 いずれそれが無くなれば、治癒・回復魔法を試してみるつもりだ。

 補助系と違って、前世以前の記憶に治癒魔法も回復魔法もあるので、すんなり使える筈である。


 湯あみを終えれば、次に待っているのは拷問(ドレスアップ)である。

 エリルシアはそれを思い出し、途端に顔を引き攣らせた。






ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


もし宜しければ、ブックマークや評価、リアクションに感想等々、とても励みになりますので、何卒宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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