表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/139

106



「あれ、殿下、閣下も……お菓子無くなっちゃいますよ~?」


 休憩を堪能してくれているらしい様子に、先を歩いていたラフィラスが笑顔を見せる。


「あぁ、構わないから全部食べて。

 余りそうならお土産にでもしてくれて良いから」


 野太い歓声が上がる。


「しっかり休憩したら、また仕事の続きをお願いするよ」


 少しばかりトーンが落ちた気もするが、文官達の顔色は悪くない。


「で、どっか行くんですか?」


 両手に菓子を持って頬張っている年若い文官の一人が、ひょこっと顔を覗かせて聞いてきた。

 その言葉に、ジョストルはさっきの不穏な考えのせいか、咄嗟に反応出来なかったのだが、ラフィラスが卒なく対応する。


「あぁ、此処(ここ)も忙しいけれど、外交担当の方も忙しいでしょう?

 だから彼方(あちら)にも差し入れをしに行こうかと思ってね」


 ラフィラスが苦笑交じりに言えば、文官達にどっと笑いが巻き起こった。


「あぁ、あっちは万年多忙だもんな」

「輸出入の事だけでも、他の部署に担当させた方が良くないか?」

「おい、今そう言う事を言うなって!」


 何気ない会話の中に混在する提案に、ラフィラスが頷く。


「あぁ、確かにそれは一考してみても良いかもしれないね。

 勿論利益不利益、色々考えないといけないけれど……それはそれとして、ちょっと行ってくるよ」


 爽やかに言いおいて、近くに控えていた侍従に菓子と軽食の追加を指示する。

 まだ文官達の声で騒がしい部屋を出ると、後ろからジョストルが沈んだ声をラフィラスに掛けた。


「……申し訳ございません」

「何が?

 さ、早く行こう。

 追加報告があれば、それによって何か見えてくるかもしれないし」


 まだ若輩と言って良いラフィラスの気遣いに、ジョストルは更に沈み込みながら返事をした。


「……はい」




 ラフィラスとジョストルは、外交を担当する者達が忙しく出入りする部屋へ辿り着いた。

 先程まで居た街道整備計画担当の部屋と違い、全員無言で黙々と作業している。

 少々声を掛けるのも憚られてしまいそうな空気だが、あえてそこから目を背けた。


「忙しいのにすまない。

 ずっと忙しく働いてくれてありがとう。

 (ささ)やかなものだが、菓子と軽食の差し入れを持ってきたから、少しでも休憩を取って欲しい」


 外交官達は虚ろな目のまま、それでも顔を上げた。


「……あれ? 殿下?

 俺、幻覚でも見てる?」

「なぁ、俺…幻聴が聞こえた。

 菓子とか軽食って……夢だよな…」


 酷い有様だ。

 ラフィラスだけでなく、その後ろに続いて居たジョストルも思わず頭を抱える。

 そんな二人に外交官の一人が近づいてきた。


「それでその……何か御用でしょうか?」


 疲労の色が濃い顔を、それでも必死に取り繕って訊ねてきた彼に、ジョストルが進み出て返事をする。


「忙しいのに悪いな。

 マーセルかティルナスに会いたいのだが…」

「はぁ…………………ぇ…閣下?

 ッ…し、失礼しました!!

 えっと室長と主任ですね?

 多分室長室にいらっしゃるかと思います!」


 促されたのは一番奥に見える扉だ。

 今度はジョストルが先に立って、その扉へ足を向ける。


 軽くノックをし、声を掛けて扉を開く。


「ジョストルだ。

 すまないが開けるぞ」


 返事を待たずに開けるのはどうなのだろう?…と言うラフィラスの視線が突き刺さるが、気にしているのはラフィラスだけだ。


「え?ぁ、閣下?」

「ロージント公……どうなさったんです?」


 ジョストルとラフィラスの目に飛び込んできたのは、旅装に身を包んだティルナスの腕を、必死に抱え込んで解放しようとしないマーセルの姿だった。






ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


もし宜しければ、ブックマークや評価、リアクションに感想等々、とても励みになりますので、何卒宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ