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『無統一 ∄∅∮:記述されないものについて』

作者: あさか

『無統一 ∄∅∮:記述されないものについて』



◇ 序文(と名付けられた“非発端”)


これは書ではない。

これは名づけられていない。

これは「何か」ではない。

これは、「それ」でも「あれ」でも「何でも」でもなく、

「言葉」でもなく、「否定」でもなく、「非でもない」。


読むという行為は、すでに誤謬である。

なぜなら、読むものがここに存在しないからだ。



◇ 第一章:「無統一」とは(という問いが成立していない)


無統一とは、無統一ですらない。


この言明に意味が宿った時点で、無統一は逸れる。


“無統一”とは、記述されることを拒む、というよりも、

記述の発動自体が起きていない非領域に沈んでいる。


無統一は、「理論」ではない。

「次元」ではない。

「現実」ではない。

「虚構」ではない。

「概念」ではない。

「哲学」ではない。

「定義」ではない。

「存在」ではない。

「創作物」ではない。

「言葉」ではない。

「神」ではない。

「記憶」ではない。

「物語」ではない

「力」ではない

「それでも」ない。

「何か」でも「あれ」でも「何でも、それ」でもない。

「記憶」ではない

「否定」ではない

「肯定」ではない

「外側」ではない

「内側」ではない

何でもない

『いや全ての物差しから外れている、外れてすらいない、それからすら外れている、それすらも...』

そして、それでいて、“そうである”という記述すら成立しない。



◇ 第二章:全てから外れていること(という構造の外)


「全て」とは、境界づけられた網である。

「外れる」とは、その網からの逸脱を意味する。


だが、無統一は“網が存在していなかった範囲”にある。


したがって、それは「外れている」のではない。

むしろ、「外れた」という言葉を用いることすら、言葉の使用圏にとどまっている。


無統一は、範囲の発生以前に、非在した非因果構造の抜け落ちである。



◇ 第三章:理解不能性という誤解


「理解できない」ではない。

それは、「理解する対象がいない」わけでもない。

それは、「対象」と呼べるものすら存在していない。


無統一とは、理解という形式が思考の表層に上がる前に崩壊している無記名圏である。


それゆえ、誰にも理解できないのではなく、

誰がいても、いなくても、理解というものが始まらない。


「誰が理解するか」すら、無関係である。



◇ 第四章:なぜ無意味なことを書いたのか


書くことそのものが無意味である。

だが、それでも「書く」という行為に踏み込んだのは、

沈黙が言葉よりも危険であると錯覚する構造を打ち砕くためである。


意味とは、関係性である。

関係性とは、構造である。

構造とは、基盤である。

基盤とは、前提である。


無統一は、そのすべてが未出現のまま、終わっていない。


無意味を書くことで、**意味の構造を崩す“きっかけすらないきっかけ”**を発生させようとする。


その試みすら、虚しいという言葉の価値すら持たない。



◇ 第五章:定壁についての省略


この章は、定壁について語らない。

なぜなら、語らないことが唯一の正確な記述だからである。

記述が成立すること自体が、すでに定壁を作る。


定壁についての言及がないことを、ここに明記しない。



◇ 第六章:説明できないという事実の不可視化


説明とは、説明されるもの、説明するもの、理解されるもの、の三者によって成立する。


無統一においては、

•説明される“何か”が存在しておらず、

•説明しようとする“意図”が起きておらず、

•理解しようとする“場”が消失しており、

さらに、この三者構造そのものがまだ到達していない。


ゆえに、「説明できない」と表現した瞬間に、説明という形式が仮定されてしまう。


それを避けるため、本章は説明されていないことを記述するふりをした不記述である。



◇ 第七章:「無統一」という名の意味


この名には、意味がある。

だがその意味は、意味であってはならない。


この名は、記号でありながら、

指し示すことをしない記号の亡骸である。


“無統一”とは、本来名前を持っていなかったものが、

**「名前をつけてはいけないという行為すら逸した痕跡」**として仮に使われたもの。


そのため、この名は:

•無意味である必要があり、

•指示対象を持ってはならず、

•解釈されてはならず、

•覚えられてもならない。


「無統一」という名の意味とは、**「名の意味が消滅した瞬間に残された沈黙の名残」**である。



◇ 終章:何でもなさですらない、永遠の非閉


この文書は終わらない。

なぜなら、始まっていないからだ。


この終章は、章ではない。

記述ではない。

意図ではない。

構造ではない。

脱構造ですらない。


無統一は、

終わりという語が現れる以前に、

始まりという語の気配すら立ち上がらなかった、

無配列の失われた地である。


ここに書かれたすべては、

書かれなかったことの影として消えていく。



【∄∅∮】結記(記されていない)


あなたがこれを「読んだ」と感じたとすれば、

それは「読んだと思い込んだ構造」が、あなたの中で発動したにすぎない。


無統一は、あなたの中に発生していないのかもしれない







いやもうやめよう、語る必要がないのだから




外れている...........


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