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いわゆる転生ってやつらしい…

暇なときに流し見していってください。

この物語はフィクションであり、登場人物や他の物事に関係性は一切ございません。

「なんじゃこりゃーーーーーー!!??」


意味がわからない状況に、思わず『久遠 正人(くおん まさと)』は驚愕をする。昨夜は自分のベッドで寝たはずだ。そう…だったはずなのに…

「夢?…だよな?」

正人はまだ信じれない顔でそう口にする。一瞬大きな声を上げたせいで、その細い光の先から少しだけこちらに視線を感じた正人は「よっこいしょ」と言いながらその重い腰をあげる。

どこか分からない、というより…細い路地裏のような場所で目を覚ましたせいか背景もほとんど見えなく、ただ白い光が差しているようにしか見えない。ただハッキリと分かるのは、今自分が外にいるということだった。

恐る恐るその細い路地裏を1歩ずつ、壁に手を添えながらゆっくりと歩く。そしてその路地裏先の光は次第に強くなり、寝起きである正人の眼孔に強く差し込む。咄嗟に右手で眩しいなという動作をし、見えてくる背景を目にし再度驚愕していた。

「…は?いや待て、やっぱ夢だよな?」

そう…その信じれない光景に思わず目を見開いた。そこに移る光景はさながらSF漫画のような街、日本とは程遠い、どちらかと言えば海外よりと言った方が正しいのか。

正人は嘘だよなと言わんばかりの表情を浮かべ、ぽかんと口を小さく開けながら歩道橋を渡る子供のように右、左、へと顔を左右に動かす。

色々な人が歩いていた。信じられないかと思うが漫画でよく見る耳が長い…エルフという人種。そして鎧などを身に纏い、今からダンジョンへと向かうような人。そして正人はその長い迷路のような街を少しだけ歩くことにした。

(へぇ~、まじで色んな人がいるな)

何故か少し感心した様子でゆっくりと歩きながらその状況を整理していた。

(嗅覚、視覚は間違いなく夢じゃねぇな)

体感時刻はまだ朝の8時ぐらいといったところか…匂いは少しだけ甘いパンのような匂いがこの街全体に漂わせていた。

それもそのはず…正人が歩いている左右に、屋台らしきものがあるからだ。朝からせっせこやいて売るその姿を目に内心「いいな」と思いつつ、そのパンを買っている赤髪で、耳元が隠れているほどの長くは無い髪、15歳くらいの女の子を見てここは完全に日本じゃないと確信する。

その女の子がポケットから出したのは日本円ではなく、銀貨や銅貨と言ったものだったからだ。

無論、それだけでは無い。街ゆく人全員が、青髪、赤髪、金髪、黒髪も居るが逆に黒髪の方が珍しいのではと一瞬思考をめぐらせてしまう。

今の正人じゃ何も買えないので、一先ずさっき起きた場所、路地裏へと戻った。

「やっぱ嘘だ…そんなこと有り得るのか?」

頭をポリポリと掻きながら片眉を上にあげてそう口にする。正人は分かっていたのだ、分かっていてなお『理解したくなかった』のだろう。

漫画やアニメは当然見たことあるし、むしろどちらかというと好きな部類だ。当然その視聴してきたものの中に『転生もの』も見たことがある。

そうだとしても、非現実的なその転生という考えはどうしても出来なかった。

ぐぅ~とお腹が鳴り響き、咄嗟に抑える。

「さすがに腹減ったなぁ~」

…と、その言葉を口にした直後、冷静に戻ったのか慌てるような顔を浮かべる。

真希(まき)は!?」

慌てふためく様子で、薄い希望を抱きながら後ろを向く。当然そこに妹である久遠真希の姿はなかった。冷や汗というものなのか…本当によく分からない汗が全身から出ているのがわかる。

拳を強く握り、奥歯を噛み締めぎしぎしと鳴らしながら…

「…クソが!」

語気強めに、怒号しながら壁を殴った。

アドレナリンがでているせいか、殴っても()()は感じられなかった。

しかし、今の正人にとってそれはさほど重要では無い。一刻も早く帰り、真希の世話をしないといけない。世界大会の練習をしないといけないという言葉が正人の思考を鈍らせていた。

「つっても…どうやって帰るって話なんだが…」

額に手を当て、ため息混じりにそう呟いた。だがその束の間…

「…えっとぉ…」

優しい、耳に残るような優しい声が聞こえ咄嗟に顔を上げる。

「…え?」

思わず正人は目を見開いた。

そこにあった姿は白髪で腰にも届きそうな長い髪に、瞳は赤く、きゅるんとした表情。そして家族に渡すものなのか、それとも仲間達に渡すものなのか、紙袋から少しだけパンの先が飛び出しそれを抱き抱えている可憐な少女をみて…

「…真希?」

「…?」

当然の反応だ、違うに決まっている。ただ今の正人にはそう思わざるを得なかった。

朝起きれば非現実的な場所へと来ており、妹と容姿がものすごく似た少女を前にしたら無理もないだろう。

俺は咄嗟に両手を前に出し、弁明するかのように少し早口で…

「あーわりぃ!あまりにも妹に似てたもんでつい…」

「…はあ」

ぽかんと口を開けながら言う少女を目に、再度正人の腹が鳴る。しかも先程よりも少し大きく。

「………!?」

これにも思わず正人も頬を赤らせる。なんでこのタイミングでと言いたくなるがしょうがない。これは生理現象なのだから…。そしてその白髪の少女はクスりと小さな笑みを浮かべて紙袋に入っている少し長めのフランスパンのようなものを手に取り近づいて…

「よかったら、どうぞ」

「いいのか?これだけの量があるって事は他にも食べる人とか…」

「いいんですよ、少し多めに買ったので…」

白髪の少女は気持ち少しだけ耳たぶを赤くさせながらもじもじと口ごもった言い方をしていた。

正人は今正常な判断ができない、いつもなら当然人からものを貰うということはしないがこんなチャンス二度と来ないだろうと思い、その差し出されたパンを手に取る。

「…ありがとう」

パンを手に取り視線を少し逸らし、恥ずかしそうにする正人を見て白髪の少女はクスりとまた小さい笑顔を見せた。

正人はその恥ずかしさを誤魔化すためにその白髪の少女に質問をなげかける。

「どうして…路地裏なんかに?」

正人はただ思った純粋な事を聞いた。

白髪の少女はと言うと、左腕でぎゅっと紙袋を持ち、右の人差し指を顎に当てながら首を傾げる。

「…ここを通った方が近かったからですかね?」

「…なるほど?」

思わぬ返答に正人も首を傾げた。

そして白髪の…妹に似たその容姿をみながら我慢ができず手に取ったパンを口に頬張る。

「…美味」

自然と溢れ出る言葉に、白髪の少女は目を輝かせながら身を乗り出す。

「それは良かったです!ここのパンはすごく美味しく、カリッとして、ほのかに味も着いてるんですよ!」

白髪の少女は饒舌にパンの美味しさを語り、恥ずかしくなったのか頬を赤くしながら右手で髪先をクルクルと触る。

「ごめんなさい…私ったら…つい」

その言葉を聞いて正人は笑みを浮かべる。

「…!?」

その優しい笑みを見て白髪の少女は赤くしていた頬をもっと赤くしていた。

(マジで似てるなぁ)

そんなことを内心思いながらパンを頬張る。何回が咀嚼していくうちに、白髪の少女が言っていた美味しさに気づく、カリッとした表面に、中は少しふんわり、砂糖のように甘い味付けに最後まで食べ進んでしまう。

「ご馳走様でした…」

両手を合わせ、感謝を伝えるようにその言葉を発する。

すると、よかったですと言う表情を浮かべながら白髪の少女は口を開く。

「お名前は…なんて言うのですか?」

「久遠 正人だ…君は?」

右手を後頭部付近に触れながら正人も名前を聞く。白髪の少女はこれまたすごく可愛らしい表情を浮かべながら口にする。

「私の名前は、ミニ・フラストレアスと言います。よく皆さんからは『ミア』と呼ばれています。」

どことなく香る天然っぽさ、淡い期待をしていた正人。妹の名前ではないとわかった直後…これが現実で、いわゆる転生ってやつはしたらしいと理解する。

きょとんとする表情を目に、慌てる様子もなく正人は聞く。

「皆ってのは家族か?」

「家族…もそうですが、今はパーティメンバーですかね…」

なるほどと言いながら顎に手を当てる。その様子を見た白髪の少女はそれに察したのか…

「一度会ってみますか?」

「え?いいのか?」

ツッコミを入れるような素早い返しをしてしまうのだが、今の正人の服装を見て白髪の少女のパーティメンバーがどう思うのか…。

部屋着も部屋着、素足ということもあり、口をピクっと動かす。

「や、やっぱ大丈夫かも…」

「そうですか?」

「こんな格好だし?」

「…あぁ」

白髪の少女は引き攣らせた表情をしながら気まずそうにしていた。まるで、確かにこれをメンバーがみたら…と言いたげな。

(そりゃそうだわな)

白髪の少女…ミアの表情を察して声のトーンを下げ心の中でそう呟いたのにち、肩を竦める。

正人がこの場所を離れようとした直後、前方から勢いよく迫り来る一人の少女を目にする。

「い゛い…!?」

少し遠目でもわかる。何私のミアと仲良くしてんだ今すぐそこをどけと言わんばかりの表情で、ふしふしと奥歯からでる音を聞いておぞましさを感じていた。

それに気づいたのか、ミアは振り返り優しく声に出す。

「大丈夫ですよ、困った人を助けていただけです。」

「ミア!なんであんたはいつもいつもこうふらつくの!毎回心配になって探しに来る私の身にもなってよね!?」

「ご、ごめんなさい?」

ミアとは正反対であろう性格、そしてその口調に正人は目をぱちぱちさせていた。ミアと話していた赤髪の少女は覗き込み、正人にジト目を向ける。

「それで?あんた誰?」

冷たい目線と共に発せられるその言葉、正人は背筋がビシッとなりながら赤髪の少女に焦点を当てる。

「久遠 正人と言います…その、おたくのミアさんにパンをおすそ分けして貰ってました…すみません」

正人の目は泳ぐことなく、ただ本当に申し訳なさそうにしていた。何かを察したのか、ふ〜んと鼻を鳴らす。

そしてミアはその空気を壊すように赤髪の少女に話しかけていた。

「え、シーちゃんもパン買ったの!?」

目を見開きながらいうミアを見て少しだけ頬を赤らめる赤髪の少女。確かによく見てみればミア同様茶色い紙袋を左手で持っていたのだ。

そして正人は先程歩いている時に見かけた赤い髪の毛の少女なのだと勝手に答え合わせをする。

「仕方ないでしょ?買ってないと思ったんだもん!」

頬を少し赤らめ、ふんっと視線を逸らす赤髪の少女。ミアは「アハハ…」という言葉を漏らしながら持っている紙袋を眺める。

「どうしましょう…食べきれませんよね」

ミアはそう首をかしげ、小さな笑顔を向けて言っていたが何か思いついたように正人の方へと振り返る。

「これ、どうぞ!」

紙袋を渡され、正人は手に取る。

「いや、わりぃよ…さすがに」

欲しいなぁと内心思いながらその紙袋を手に取ろうとする。

「…待った!」

「…!?」

右手を伸ばし、パンが何本か入っている紙袋に触れようとした直後…赤髪の少女が少し強めにその右手首をガシッと掴む。

「シー…ちゃん?」

その様子を見てどこか気まずそうにするミア。

続いて赤髪の少女がそのミアを気にもとめず語気強めに話し出す。

「タダであげるわけ無いでしょ!見たところあんたはなんか訳ありみたいだし、《《条件付き》》でそのパンをあげるわ」

「…条件?」

「そうよ!」

高々と口角を上げながら話す赤髪の少女をみて、口をぽかんと開けていた。

「ここじゃなんですし…場所を変えませんか?」

ミアは優しい笑みを浮かべながら提案する。

「そうね。詳しい話はその場所に着いてから話すとしましょうか。」

まさとの右手首を掴んでいた手を離し、紙袋を抱き抱えるようにしてふんっと視線を逸らす。


そう…狭い路地裏で会話をする3人であった…

なんかこういうのを書いていると自然とニヤついてしまいますよね

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