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病弱な妹

暇なときに流し見していってください。

この物語はフィクションであり、登場人物や他の物事に関係性は一切ございません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

先程まで暗闇の中ゲームしていたせいか...自分の部屋から出ると、眼光に光が差し込む。

眩しいとつぶやきながら左目を瞑り、右手を顔の前に出して右目でその光っている方向へと視線を向ける。

「あぁ...そうか、電気つけっぱなしにしてた」

独り言のようにつぶやき、てくてくと隣の部屋に歩く。

扉の前に立ち、立てかけられている『妹の部屋』というのを目に、正人はノックをする


「開けるけど、いいか?」

どことなく、心配した声でドアをコンコンと優しくノックする。

すると、それに反応した正人の妹が弱弱しい声で返事をする。

「はい…どうぞ」

返事が返ってきたのを確認し、ガチャっと扉を開ける。部屋の構想は正人とは異なり、右側にベッドがあり、左側には少し大き目なテレビが掛けられている。

正人の容姿は黒髪の短髪、ザ・普通といった感じのに対し妹である『久遠 真希(くおん まき)』は腰に届きそうな長い白髪…瞳は赤色でお姫様のような容姿をしていた。

もじもじとしながらテレビが見えるようにベッドの上にくまのぬいぐるみをぎゅっと握りながら体操座りをしていた。正人はすぐに異変に気付く。

「どうした真希…なんで泣いてるんだ?」

正人が近づきながらそう言うが、妹である真希はぐすんと鼻をすすりながら唇を震わせながら話し出す…

「…その、テレビでお兄様の活躍を見ていたんです」

左腕で胸を隠すようにぎゅっとくまのぬいぐるみを持ち、右手の人差し指でテレビの方向へと指をさしていた。

正人も指をさしていたテレビの方に視線を向けるが…その画面を見て安堵の気持ちがスーッと入り込む。

どうやら状態が悪化したとかそういうわけではなさそうだ。

そのテレビを凝視すると、先ほど部屋で閲覧していたコメント欄が目に映る。

『強すぎだろw』

『頑張れ!』

を最後に、俺はそっと目を閉じて再度、真希の方に視線を向けた。

「ゴホッ…ゴホッ…」

妹は直後せき込んで、一瞬にして安堵の気持ちが消える。

「おい!大丈夫か真希…」

「はい…大丈夫です…ゴホッ、ゴホッ」

明らかに大丈夫ではなさそうな真希の姿を見ていてもたってもいられなくなり、持っていたくまのぬいぐるみを枕の横に置き、優しく真希の背中に手を当てて態勢を横にさせる。

妹である真希は兄を信頼、信用しているので思うがまま…小さくごめんなさいと呟き、正人はそれを聞きながら掛け布団を優しくかける。

「何度も言うが謝らなくていいぞ、お兄ちゃんに任せなさい」

右こぶしを前に出し、親指をくいっと上げる。真希はその様子を見て本当に申し訳なさそうにしていた。

うるうると涙と赤い瞳に浮かべ、ぎゅっと掛け布団を少しだけ強く握る。

 正人はいつものように妹の真希の額に手を当て、体温を確認する。

「…あっつ、ほんとに大丈夫か?」

すごく心配そうに見ている真希、少しだけ目を瞑り、気持ちに整理がついたのか、その正人の問いに答える。

「はい、本当に大丈夫です…ただ…」

正人はその妹の話が終わるまで何も言わなかった。そして数秒が経過したのちに、再度口を開いた。

「お兄様ばかりに負担をかけさせてしまい、本当に申し訳ないなと…」

ゴホッゴホッと咳こみながら話す真希を見て、正人は右手で頭を撫でながら優しい表情を向ける。

チームメイトや他の出来事に対しては何も興味をなさそうにする正人が唯一、甘い態度を見せるのが妹である真希だ。両親は今、母親の方の祖父母の看病をしないといけないため、海外へと飛んでいる。そのためここ数年は俺は妹の面倒を見ているということだ。

 家族構成は、日本人の父、フィンランド出身の母、正人、真希、といった感じだ。

正人は父親の血を色濃く受け継いでおり、妹である真希は母親の血を色濃く受け継いでいる。

 正人はゆっくりと真希の頭を撫でながら、優しい顔つき、優しい声色で話す。

「大丈夫だ、本当に…俺は真希の顔を見て、こうして話しているだけですごく落ち着くし疲れも吹っ飛ぶから」

優しい顔、優しい声でそう話すがどことなく恥ずかしそうにしている兄を見て、真希はクスっと笑みを浮かべる。

「私も…お兄様と話していると心が落ち着きます」

そのまた照れくさそうに口元を隠しながらいう真希の姿を見て「これが幸せというやつか」と胸を躍らせる。

 正人は立ち上がり、濡れたタオルを持ってくるといい立ち上がり、歩き出そうとしたとき…

「その、もう少しだけ…ここにいてくれませんか?」

右手で軽く、正人の袖を引っ張っていた真希。少しでも微量の力を入れてしまえば離れそうな手を見て、正人は再度、先ほどまで座っていた場所につく。


 しばらくしてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ガクッと顔が落下しそうになり、正人はハッと目をぱちぱちさせる。

「あっぶねぇ、寝落ちするところだった」

手に顎をのせ、その重さに耐えられなくなったのだろう。正人は痺れている手をさっさっと軽く振り、眠っている真希の方に視線を向ける。

 スースーという寝息が静かな部屋に響き渡る。カチカチと時計の秒針とともに…。

(そら眠くなるわな)

心の中でそうつぶやき、座っていた椅子を元に戻して電気とテレビの電気を消す。ドアノブに手を当てて部屋を出ようとそれを捻った直後だった…

「お兄…ちゃん…」

「……っ!?」

その手はぴたりと止まり、一瞬だけ涙を浮かせながら真希の方へと視線を向けた。数秒が経過し、手にかけていたドアノブを捻って妹の部屋から出る。起きないようそっと閉めて、大丈夫かと確認したすぐに背中をその扉につけ、正人の顔は地面を向き、ゆっくりと目を瞑る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「お兄ちゃん!私ね!お兄ちゃんの事が大好きなの!」

幼少期の真希、白く美しい髪は肩にかかる長さ、そして大きな目を丸々とさせながら抱き着くように正人にそう言っていた。確かこれは10年ほど前の事だったと思う。5歳の妹、昔こそは元気だったが年を重ねるにつれて、段々と持っていた持病が悪化した。中学を上がる頃はろくに学校に行けず、そこに追い打ちをかけるように両親は海外にいる母方の祖父母の介護に行ってしまった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


閉じていた目を開き、拳をぎゅっと握りしめながら正人は今日一低い声を発していた。

「金だ…金を稼がないと意味がない。」

世の中は金だ。金さえあれば全てが手に入るとまではいかないがある程度のものは手に入る。それはこの世の中だ。

 そしてそう呟いたのと同時にチームメイトに言われた『なんでお前ってそんなに喜ばねぇの?』という言葉を思い出す。当然、チームメイトに話す気もないし、話したくもない。本気でゲームをしている奴に、金が必要だからと…そう言える程正人の肝が据わっていない。正人は生まれつき全ての才覚が備わっていた。動体視力、身体能力、五感、現代社会において何不自由なく…というよりものすごく有利な能力が備わっていたのだ。

 それではなぜ、正人がその『完璧な人間』なのにプロゲーマーになったのか、それは至極簡単な理由だったからだ。()()()()()()()、それ以外の理由はなかった。バイトをしたりして金を稼ぐのは容易いことなのだが、正人は真希の手術代を稼ぐため、一気に大金を得る必要があった。だからこそ…そのプロゲーマーという職業は正人にとってお手軽だった。自分の持っている才能を存分に生かし、日本の頂点に立つ正人。それでも正人は金を稼ぐためにやっているのに変わりない。

 気持ちを落ち着かせ、ふぅっというため息のようなものを吐き階段をくだる。階段を下ったすぐにリビングがありそのキッチンに足を運ぶ。キッチンにたどりつき、ぶら下がっている紐を引っ張り電気を点ける。チカッと光る蛍光灯を眺め、正人はそそくさとタオルを手に取り水道の蛇口をひねる。ジャーって出る水にタオルをつけてその水気を取る。後ろにある冷凍庫から数ある保冷剤を手に取りそれをタオルに巻き付けながらまた階段を上がる。

 妹の部屋を再度ゆっくりと開けて、額にタオルを優しく置いた。スースーという寝息を耳に正人は真希の部屋を出て自分の部屋に戻る。

「あ~疲れた」

ボフっとベッドに身を投げ、電源がついているパソコンの方へと視線を向ける。

「…消さないと」

そう口にし体を起こそうとするが…

(めんどくせぇ)

12時から19時の間フルで大会を出たというのもあり、体は思ったより疲れていた。そのまま仰向けになり、右腕を額に当てて天井を眺める。

「世界大会…か、適当に始めたゲームだったけど、ここまで大きくなるとは思わなかったな」

 先程も言ったが正人は金を稼ぐためにやっている。チームメイトのように観客の前でゲームができるとか、正直どうでもよかった。優勝して金さえ手に入れれば…あとは適当に引退をして真希の手術代にあてる。ただ…それだけのはずなのに、正人はどこかもったいなさを感じてしまっていた。

(まぁこんだけ考えても仕方ねぇよな、とりあえず寝よ)

心の中でつぶやき、正人は数分もしないうちに眠ってしまった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


聞こえるはずもないガヤガヤと耳に入る人の声、これまた聞こえるはずのない、数多くの地面をける音。正人は夢の中かと思いながらも、その確実に聞こえるドタドタと歩く人の足音を聞きながら…

「…るっせぇ」

機嫌悪く、耳をふさげながらそう言う。多分眠り度で言うならもうほぼゼロに近い。例えるのなら朝少し早く起きてしまったがもう少し寝たいなという時の感覚。もう一度言おう、正人はもうこの時点でほとんど起きているのだ。

 明らかにおかしいという違和感を覚え、正人は勢いよく起き上がる…その光景は先程まで眠っていたせいなのか、はたまた細い路地裏のような場所にいるせいなのか、よく見えなかったが思わず大声をあげてしまう。


「なんじゃこりゃーーーーーーーー!?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

本当はここまでを前回の話で載せたかったんです…お許しを

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