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運命のマスティマ  作者: 鏡 香夜
(4) Vigil もう一つの仕事
43/112

【番外編】 実録、幹部会議!

議題 【幹部を動物に例えたら……】


幹部が集まっての会議中。議長はもちろんジャザナイア隊長。ボスを除いた四人が席に着いている。

 ジャズ隊長「今日のお題は、皆を動物に例えるとしたら何なのかだ」

 アビゲイル「客観的な視点が必要よね。難しいわ」

 レイバン  「ボスは考え付くが他は知らん。それより、ボスはいらっしゃらないのか」

 アビゲイル「先に本社の書類に目を通さないといけないって。後から来るって言っていたわ」

 グレイ   「客観的って、あいつに聞いたらいーじゃん」

グレイの意見で、会議室の隅で休憩用のコーヒーを用意していたマイケルことミシェルが呼ばれる。

 ミシェル  「動物? 何かの任務と関係あるんですか?」

 ジャズ隊長「部内報に載せるんだ。まあ、余ったスペースを埋めるための苦肉の策って奴だな。真面目な内容ばかりだと飽きるだろ」

 ミシェル  「コミュニケーション・ツールになるってことですね。それじゃあ……」

 レイバン  「ボスは百獣の王ライオンだ。それしか考えられん」

 ジャズ隊長、アビゲイル、グレイ(それちょっとイメージが違うような……)

 アビゲイル「レイバンの言葉は気にしなくていいから。あなたの考えを言ってみて」

 ミシェル  「えっと……ジャズ隊長は虎で、アビゲイルは猫、グレイが豹でレイバンは猪でしょうか」

 アビゲイル(皆猫科なのに、どうしてレイバンだけ猪になるのかしら)

 ジャズ隊長「猫科最大のシベリアトラだな。縞の派手さがいいもんなぁ」(しみじみ)

 レイバン  「自分は納得いかんぞ」(怒)

 グレイ   「そうかー? オレはしっくりいくと思うけどなー」(笑)

 ジャズ隊長「じゃ、ボスは何だと思う?」

首を左右に傾げてしばらく考え込むミシェル。何かを思いついたように掌を拳で叩く。

 ミシェル  「僕のイメージでは狼。それもはぐれ狼です」

 ジャズ隊長、アビゲイル、グレイ(なんで、はぐれてんの? でも、なんだか納得かも)

 レイバン  「そんなわけがない。ボスは王者ライオンなのだ」

会議室の扉が開き、はぐれ狼ことボスの登場。

 ボス    「なにを騒いでる?」

 ジャズ隊長「部内報について話してんだ。幹部を動物に例えたらって記事を載せようと思って」

 ボス    「くだらねえ」

 ジャズ隊長「たまには砕けたコーナーも入れないと。息が詰まるだろ」

 アビゲイル「いいじゃない、ジャズ。ボスは関係ないって言ってるんだから。自分がどんな動物に例えられようとも構わないって。じゃあ、マイケルの意見で決定ね」

ボスの鋭い視線はマイケルことミシェルへ。息を詰める彼女。

 レイバン  「自分の意見はどうなっているのだ」

レイバンの言葉には誰も反応を見せない。

奥の自分の席に着いたボスは、いつものようにテーブルの上に組んだ足を乗せる。

 ジャズ隊長「ボスは自分でどう思ってんだ? どんな動物のイメージだと思う?」

隊長を睨みつけるボス。

 グレイ   「オレもそこんとこ知りてー」

 アビゲイル「そうよね。ボス本人の意見を載せてもいいんだし」

グレイ、アビゲイルへと流れるボスの視線。やがて、目をそらして床を見つめた彼は、ぼそりと回答を口にする。

 ボス    「……狼か」

固まる周囲。

 アビゲイル「ねえジャズ、はぐれていない狼ってことかしら」

彼女の耳打ちに噴出しそうになるジャズ隊長。何笑ってんだと鬼気に満ちたボスの視線がとんでくる。唾を飲み込む隊長。

 ジャズ隊長「そうだよな。ボスは狼だ。皆もそう思うだろ」

頷くアビゲイル、グレイ、ミシェル。

 レイバン  「だから、自分は……」

抗議しかけるレイバンの口を塞ぐグレイ。

 グレイ   「狼だって立派な猛獣だろー。それに狼の群れはボスに絶対服従なんだぜ。格好いーじゃん」

耳元で小声での説得。不承不承であるが、納得するレイバン。

こうして、ミニコーナーの記事は無事決定し、刷り上がりを待つだけになった。


数日後、出来上がった部内報を見てミシェルは絶句することになる。

その内容は……

 ≪幹部を動物に例えたら≫

 レイバン:猪 グレイ:豹 アビゲイル:猫 ジャザナイア隊長:虎 ボス:狼(はぐれ狼)

 【某コック談】

コックはマスティマには一人しかいないため、某なんて付けても差すのは一人だけ。

その後、ミシェルがボスに呼び出されたのは言うまでもない。

 ボス   「なんで、はぐれた狼なんだ?」

 ミシェル 「いえ、なんとなく……」(汗)

 ボス   「ああ?」

凄むボス。慌てるミシェル。

 ミシェル 「ボスは孤高の人だってイメージがあって。それで」

 ボス   「それを言うなら一匹狼じゃねえのか」

 ミシェル 「あっ、そう、それです!」

 ボス   「ざけんな」(怒)

衝撃銃の音は聞かなかったことにして。

仲良きことは美しきかな。マスティマではそれは夢のようで。

悪魔デヴィルなボスことディヴィッド&大天使ミカエルミシェルのせめぎ合いは、まだまだ続いていく模様であります。 

次回予告:翌朝、早々アビゲイルが厨房にやってくる。彼女から伝えられるボスの言葉に、ミシェルはある決意をするのだが……。

第43話「疲労困憊」


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