8 カップを割ってしまった犯人は誰?
カップを割ってしまった犯人は誰?
「お嬢様。悲しそうだったね」とお屋敷の緑のお庭で三人で集まってお話をしているときにりんごが言った。
「え? そうだった?」と大きな木の木陰の中で足を伸ばして座っているれもんがいった。
「うん。とっても悲しそうだった」とみかんは言った。
お嬢様はみんなに隠そうとしていたみたいだったけど、今朝のお嬢様は元気がなかった。きっとお気に入りのカップが割れてしまったからだろう。
しかしカップが割れてしまった犯人はいないのだ。(みんな割っていないのだから)だからなんでカップが割れてしまったのか、その理由を見つけなければいけない。
三人でお昼休みに(ぐーぐーとお腹を鳴らしながら)いろいろと話をしたのだけど、あんまりいい案はでてこなかった。
「まあ考えてばかりいてもしかたないから、僕は少し動いてみるよ。なにかわかったから教えてね」と言ってりんごはぱたぱたと走って(走っちゃだめだって言われてるのに)お屋敷のほうに犬のしっぽを楽しそうにふりながら行ってしまった。
元気でわんぱくで男の子まさりのりんごはじっとしているのはあんまり好きではなかったので、いつものようにとりあえず動いてみることにしたらしい。
「私は様子を見ようかな? お嬢様はめろんを説得してくれるって言っているし、カップが割れた理由なんて調べてもわからないからね。じゃあ、私は午後のお仕事に行くよ。またねみかん。もし明日もお昼ご飯ぬきだったらさ、一緒に食堂に忍び込んでなにか探してこっそりと食べようね」と言ってみかんに手を振って、いたずらっ子でようりょうのいいれもんはお屋敷に戻っていった。
一人残されたみかんは悩んだ結果、とりあえず割れてしまったお嬢様のカップを見せてもらうことにした。